
ヘブンスそのはらのセンターハウス。
カキフライ定食が「期間限定」で売られている。ああ、もう冬の訪れが近いんだな、と気づく。ちなみにお値段は1,500円。
口コミによると、ここで二郎系ラーメンを提供しているということだったが、2022年11月時点では提供していなかった。なんだ、提供していたら食べたかったのだけれど。スキー場のゲレンデで二郎風のラーメンって、面白い。
これがスキーシーズンになれば提供開始になるのか、それともコロナ前の時代の出来事なのか、わからない。

メニュー。
さすが場所柄、どうしても高くはなる。しかし、「チャーシューメン」とか「カツカレー」など、「まあこれなら値段が高くても仕方がないよね」というメニューが目立つ位置に書かれているので、ぱっと見はそこまでお高い印象はない。
でもよく見ると、下の方に「しょうゆラーメン1,000円」などと書いてあって、「あ、やっぱり場所相応に値段は高くなるんだな」と気づく。

センターハウスの気温は11度。
ホワイトボードの下に、ヘブンス展望台と萬岳荘を結ぶバスの時刻表が張り出してあった。紅葉シーズンということもあってか、臨時便含めて10往復近い便数が運行されている。
これだけ見るとダイヤが密のように感じるが、ヘブンス展望台から萬岳荘に向かうバスの最終便は13:15と驚異的な早さだし、萬岳荘からヘブンス展望台に戻って来るバスの最終便は15:15だ。とにかく終わりがはやい。
きっと、乗りそびれて山に取り残される人が毎年何人もいるはずだ。
なお、これだけの便数を誇るバスだけど、それも今日まで。明日、つまり11/7月曜日からはオフシーズンダイヤになり、便数がぐっと減る。だから、「バス乗り場に行って、ちょうど来た便にのればいいや」というわけにはいかない。
ましてや、僕の場合は15時に下界のロープウェー山麓駅まで降りきっていないといけない。かなり明日の登山はヒヤヒヤすることが今から予想される。果たしてちゃんと帰宅できるのだろうか?山に取り残される不安がいっぱいだ。または、下山できてもそこで行き場を失うこともありえるので、それはそれで怖い。

12:38
ヘブンスそのはらのゲレンデは、センターハウスを角にして90度に折れ曲がっている。
センターハウスからクワッドリフトに乗って、展望台を目指す。
紅葉が綺麗だが、さすがにピークを過ぎた感はちょっとある。「疲れたー」という雰囲気が、葉っぱの色から感じられる。
それでもバキッと鮮やかな色で空やら木々が写真に収まっているのは、ひとえにカメラに装着したPLフィルターのおかげだ。こいつぁいいや。霞んだ感じがなくなって解像感が高まる。

リフトでぐいぐい上へと昇っていく。
さすがに標高1,500メートルを越えてくると、紅葉の終わりは隠しきれない現実として見えてくる。

12:48
リフトを降りたら、そこには砂利道の車道があって、ちょうどマイクロバスがやってくるところだった。萬岳荘からやってきたバスだ。
こんな場所まで車が行き来していることにちょっとびっくりする。僕はリフトでぐいぐいと上ってきたというのに。
このバスを運転している運転手さんはどこからやってくるのだろう?昼神温泉とか、山の麓からやってくるのだとするとかなり通勤時間が長い生活になる。

バスの券売機がリフト乗り場の脇にあったので、券を買っておく。
片道400円、往復800円。子ども運賃の設定はないので、幼児でも同じお金を払うことになる。
弊息子タケのように、まだ抱っこ紐がないと外出できないような子どももお金の支払いが必要なのかどうかは不明。
なお、その後2024年時点では片道500円に値上がりしているので、注意。

ヘブンス展望台からの眺め。
これはすごい。なかなか他に類を見ない、大絶景だ。南アルプスを、誇張表現抜きで一望できる。

うーん。。。
山座同定するための解説板は設置されているのだけれど、眼の前の山々とその解説板の写真とがどうにも一致しない。
写真は望遠で撮影したものを横につなげていったもので、池口岳から北岳まで、ほぼすべての南アルプスを網羅している状態だ。しかし人間の目には、そういう見え方にはならないので、比較ができない。
しかも写真は山の頂が冠雪しているものであり、余計雪がない現在の山と見比べても、同定が難しい。

さらに少し丘を上ったところが、正式な展望台らしい。そこまで登ってみる。
展望台周辺は白樺の木が生えているが、すべて葉っぱが落ちてしまっている。もう冬だな。

展望台への道

ヘブンス展望台。
ベンチと、小さなあずまやと、有料の双眼鏡が設置されている。

景色はリフト乗り場脇で見たものとほぼ一緒。
ここのメリットはリフト乗り場を見下ろせるくらい。
リフト乗り場脇には、デッキチェアのようなベンチが並べられており、空席があるならばそこにだらんと寝転がりながら景色を楽しむことができる。あと、写真映えするようにと、この絶景を見下ろすように木のブランコもある。

一応記念写真を撮ったが、柵ばっかり写っていて、何を記念にしているのかよくわからない。
でも、これは自分の保身のためでもある。脚力に自身がないので、いつ遭難しても良いように証拠を残しておくのが目的だ。「私はこのとき、この場所にいましたよ」ということを時々パートナーのいしに送っておく。すると、その後消息不明になったときに捜索がしやすくなる。

ここでお昼ごはんを食べることにする。
38リットルのザックはパンパンだ。はみ出そうになるまでものが入っている。
成城石井や矢場とんで買ったお惣菜・弁当類が入っているからだ。
そういう食べ物は、食べ終わっても容量が減るわけではない。ゴミはすべて持ち帰らないといけないからだ。ビニール袋に入ったパンなどと違って、弁当や惣菜の容器は食べ終わってもなかなかコンパクトにはならない。ということは、帰るまでこのサイズ感はキープされるのだろう。邪魔だなぁ。

お昼ごはんは、家から持参した缶詰パン。
相変わらず毎度おなじみ、僕の登山仲間だ。会社から、賞味期限切れで放出されたものだ。家でも食事としては全く食べないので、必然的に登山メシになる。
これもまた、硬い缶に入っているので、食べ終わったからといってコンパクトにはならない。

13:08
萬岳荘行きのバスに乗る。
この便が本日最終便で、13:15発だ。
これ以上遅い時間にバスを運行すると、山を甘く見た人が日没になっても戻ってこられず、遭難するという展開が多発しそうだ。僕のように萬岳荘に宿泊するなら、もっと遅い便でも全然平気なのだけど。
萬岳荘行きのバスは人がほぼ満席。
軽装の人も多い。萬岳荘からその背後にある富士見台高原を軽くハイキングして戻って来るつもりの人が多いようだ。僕のように、「さあ萬岳荘に泊まるぞ」という人はいなかった。

萬岳荘目指して出発。
未舗装の道で、バスがガタピシと跳ねる。

舗装道路に合流して、乗客としてもほっと一安心する。
美しいカラマツ林の中をバスは走っていく。
(つづく)
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