アメリカ食い道楽で肝臓フォアグラ一直線(1日目)

1日目機内食1 恐怖のUA機内食-1

【時 刻】 18:00
【場 所】 UnitedAirline 成田→サンフランシスコ便エコノミークラス
【料 理】 WESTERN SELECTION

WESTERN SELECTION

旅行中、ずっと手記を取っていた。この旅の思い出を忘れないように、というワケなのだが、先ほどの天ぷらうどんからこの機内食に至るまでのメモ書きの長いこと長いこと。後で読み直してみると、うんざりしてしまった。何がそんなに長文を招いたのか?・・・物心ついてから初めての飛行機だったもんで、離陸の瞬間、おっかなびっくりだったわけ。その時の心理状態をリアルタイムでメモしていたら、夏休みの作文の宿題一つ完成するくらいのボリュームになっちまった。

今回の旅行の楽しみの一つが、機内食だった。「飛行機」で「食事」という組み合わせが、旅行に不慣れなおかでんを激しくコウフンさせたのだ。乗り物の中で食事するんだったら、電車の中で駅弁食べたって一緒じゃん、何を今更・・・って言われそうだが、なんだか分からない高揚感があったという事は事実。理性じゃ計れない、それが機内食なんである。きっとそうだ。全員同じ料理が支給されるという「給食方式」がココロの琴線に触れたのかもしれない。

あと、出発前から「ユナイテッドの機内食はおいしくないよぉー」という話を各方面から聞かされていた、というのもコウフンを招く一因だった。「そこまで話題になるまずさとはこれ如何に」という、夏休みの自由課題的好奇心でおかでんの小さな胸はいっぱいに満ちあふれていた、ってわけだ。

何しろ、「乗る飛行機は何?」「ああ、ユナイテッドだよ」というやりとりがあった時、必ずその次に返ってくる言葉が「ユナイテッドか!あそこはメシがまずいからなあ」だったのだ。

いままで人生25年間、幸いにして「まっずぅ」という料理にはぶちあたった経験が少ない。たぶん、少々まずい料理でも平気で食べられる許容力を持っているからなんだろう。しかし、そんな自分が「まずいと評判」のユナイテッド機内食にぶちあたったらどうなるのか。

と、長い前置きはこれまでにして、本題。

事前に配られていたメニューを見ると、機内食は二種類の中から選べるらしい。「REGIONAL SELECTION」と「WESTERN SELECTION」だ。見開きで日本語で対訳されているので、英語と読み比べてみると楽しい。

せっかくだから、二種類のメニューをすべて掲載しておこう。

[WESTERN SELECTION]
(西洋料理)
・Bedeviled brisket with garlic mashed potatoes
(牛肉のブリスケット、ガーリック風味のマッシュポテト)
Designed by America’s own chef,Sheila Lukins
(有名シェフ シーラ・ルーキンスの作品です。)
・Accompanied by chicken roll with potato salad
(チキンロール、ポテトサラダ)
・Garden fresh salad with dressing of the day
(ガーデンサラダ、ドレッシング)
・Chocolate cake
(チョコレートケーキ)

[REGIONAL SELECTION]
(オリエンタル・メニュー)
・Sliced honey soy chicken
(鶏肉の蜂蜜醤油風味)
Presented with sticky rice and stir-fried vegetables,
(野菜炒め、ご飯)
Designed by International Chef Martin Yan
(有名シェフ マーティン・ヤンの作品です。)
・Accompanied by sushi and green beans
(寿司、さやいんげん)
・Chasoba noodle salad
(茶蕎麦)
・Fresh seasonal fruit
(新鮮なフルーツ)

「WESTERN SELECTION」を「西洋料理」と訳すのはまあいいが、「REGIONAL SELECTION」を「オリエンタル・メニュー」と訳すのは少々無理があるような気がしませんか。REGIONALって、本来「地方の、地域の」って意味がある。なんか、米国中心主義ってのがこの表現で見え隠れして、どきどきしてしまった。うん、いいねえ、こういうさりげない表現。

登場するは謎の二人の料理人。まるで料理の鉄人みたいだ。こっちも、こういう「有名シェフ○○の作品です」なんて言われた日にゃ、岸朝子みたいに「とってもおいしゅうございます」なんてニコヤカにコメントせにゃならんような気がしてきた。

「有名シェフ」なんて自称するあたり相当胡散臭いなとはおもったのだが、英語メニューを見るとそのどこにも「有名」を意味する「famous」というコトバが見あたらない。そのかわりに、「America’s own chef(アメリカ独特のシェフ)」だの、「International chef(国際的なシェフ)」なんて記述が。なんじゃあ、こりゃあ。これをどう意訳すれば「有名」になるんだろう。そもそも、「国際的シェフ」ってなんだ。ますます、機内食が楽しみになってきた。

機内食は「マーティン・ヤン」という胡散臭さレッドゾーンぎりぎりな名前に惹かれ、REGIONAL SELECTIONにしようと身構えていた。が、いざ機内食を配りに来たスチュワードは「Beef or chicken?」としか聞いてこない。げっ、見る献立を間違えたのか。不覚だ。想定していた状況と違っていたので、初めての海外旅行であるおかでんは見るも無惨なありさまで動揺してしまった。

牛肉?鶏肉?あわわわ、どっちにしようか。

隣のジーニアスは「chicken,please」と答えていたので、何も考えずにこちらは牛肉をセレクトした。後でジーニアスに聞いてみると、「マーティン・ヤンが鶏肉でシーラ・ルーキンスは牛肉」とのこと。なるほど、言われてみればそうだ。献立を読むと、ちゃんとそうなっている。てっきり「うん、僕はマーティン・ヤンの料理にしようかな」「あたしはシーラ・ルーキンスの料理を頂戴」なんてオーダーするものだとばかり思っていた事からきた、油断だった。なかなかやりおるわい。まあいい。

さて、感動のご対面の後ファーストコンタクトだ。一口、付け合わせのコーンと空豆の炒め物を食べてみる。まあ、こんな料理だったら、うまいもまずいも無いだろう・・・いや・・・これは・・・あれれっ・・・ほぉー。思わず感嘆してしまった。いやあ、まずい。まさか、こんな付け合わせ程度の料理ではっきりとおいしくないとは思わなかった。どうやったらこんなにまずくできるんだろう、不思議でしょうがない。酸っぱく、大味、しかも濃い味付け。

牛肉のブリスケットは、肉を食べているのだか何だか分からない謎の食感。ローストビーフの感覚でかぶりつくと、そのギャップに「うっ」と来る。あと、マッシュポテトが牛肉の付け合わせについているというのに、また別の皿でポテトサラダがつくあたり、日本人にはちょっと信じがたい。いやあ・・・アメリカでは、こんな料理を出していても「有名シェフ」の称号がもらえるのだな。

いや、待て!ここで、単純にまずい、まずいと馬鹿にしていていいのだろうか。こういう料理だって、飛行機会社側は「うまい(もしくは十分乗客に出すに値する味)」だと判断しているワケだ。ということは、アメリカ人にとってはこの料理は普通、なのだろう。それならば、単に自分の味覚と合わなかったからといって、一刀両断に「まずいっ!」と言い切ってはイカン。それもこれも食文化の違い、って事で許容しないと相手の良さなんてわかりっこない。なぜアメリカ人はこういう料理を平気で食べることができるのか、という立場で考えなくちゃ。・・・でも、それにしてもまずかったけどなあ。

食後のデザートとしてか、恐ろしくあまったるいチョコレートケーキが付属していたが、一口食べてやめにした。食事の締めとして、こういうお菓子が出てくるあたりすごい。日本人だったら、お漬け物とかでさっぱりと、ってパターンを愛するのに。あまりに濃ゆい甘さで、それまでの料理を記憶から抹消しようとしているがごとし、だった。こんなモン、おやつの時間にでも食ってろ。

ジーニアスがセレクトした「オリエンタル・メニュー」もひどいありさま。やっぱりこちらも濃くて大味というパターン。こんな料理を日本国内で出すお店があったとしたら、確実に閑古鳥が鳴くだろう。「愛の貧乏脱出大作戦」に出演したって、再生できっこない。

ちなみに、「茶蕎麦」は、麺同士がくっついてしまい太い棒状になってしまっていた。まるでワイヤーだ。「Fresh seasonal fruit」はスイカとメロン。おい、どこがseasonalだ。一体どこの国を基準にしてるんだろう。

ジーニアスいわく「うまかったのは茶蕎麦についてきたショウガと、牛乳」
おかでんいわく「うまかったものは・・・ないなあ」

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