1日目昼食 チャイニーズコンボ
【時 刻】 14:00
【場 所】 カリフォルニア州 州道140号線沿いのど田舎スーパー「DIAMOND」脇の芝生
【料 理】 チャイニーズ・デリ COMBO

サンフランシスコ国際空港でレンタカーを借り、一路ヨセミテ国立公園へ。500キロのドライブだ。慣れない左ハンドル・右側走行の運転にどぎまぎしながら、快適なドライブ。この国では、地平線が見える事なんて何の価値も無い事を、ドライブ開始1時間で思い知らされた。
フリーウェイを降り、州道140号線のひたすら真っ直ぐな田舎道を時速60マイルで走る。1マイル=1.6キロ相当なので、一般道を時速100キロ近くも出してぶっ飛ばしていた計算になる。日本じゃ信じられない光景なんである。
そんな中、視界の片隅にちょっとした集落が見えてきた。その集落の中心には、「FOOD & DELI DIAMOND」というスーパーがあった。渡りに船だ、ここでお昼ゴハンを調達する事にしよう。
DELIのコーナーは、中華のお総菜がアルミパンに入れられて、たくさん並んでいた。まるでアイスクリーム屋だ。きっと、地元住民はここからよりどりみどりPickupしていくのだろう。それにしても、こんなアメリカの保守的な田舎でも中華料理が普及していたとは知らなかった。中華、恐るべし。
しかし、さすがに「本場」から地球を半周まわった先にあるお国だけある、どう見ても食指が動かないでき映えなんである。作ってから時間が経ちすぎて、砂漠の枯れ木のようにひからびた焼きそばだとか、春巻きとおぼしき「物体」があったり。これを買って食え、といわれたらそのスリリングさで激しく困惑することは間違いなかろう。
ここで、3.29ドルのCOMBOと0.69ドルのミネラルウォーターを買う。店員は「これから作るからfew minutes待っててね」と言っていたが、10分待ってもでき上がる気配すらしない。一体何をやっているのだろう。目の前に、たくさん中華総菜が並んでいるというのに。こんな国と戦争をして負けたのかと思うと情けなくなる。
COMBOができ上がるのを待っている間、スーパーの中をぶらぶら散歩。見回してみるとお菓子コーナーがえらく広い。しかも、そのどれもがお徳用ドッグフードじゃないかってくらいデカイ袋に詰められている。そのパッケージに描かれたお菓子は、どれも見るだけでうんざりするような甘ったるーいもの。こんなお菓子を、こんなに大量に消費するアメリカ人・・・そりゃ、太るわなあ。
さて、COMBOができ上がったらしい。先ほど「数分待て」と言っていたお姉さんが、カウンターの奥でごそごそと袋につめている。よく目を凝らすと、その袋・・・えらく大きい。そこだけ、時空が歪んで縮尺が変わってしまっているのではないかというデカさだ。二人分の昼食が入っているとはいえ、小学生のランドセル並のデカさがあるのだからたまらない。何をどう間違えればこんなになってしまうのだろう。その割には、受け取った時の重さが妙に軽い。ますます怪しさ満点だ。
スーパーの隣が芝生の広場になっていたので、そこに座り込んで昼食と相成った。玉手箱を開ける浦島太郎の心境で、オープン・ザ・弁当箱。
わっ、わわわっ。そこにあったのはフライ三昧。っていうか、フライオンリー。フライの国へようこそ、ってな状態だったのだ。なんじゃあ、こりゃあ。おかずばっかりで、主食になるものがない。いや、それ以前にこのボリュームは一体なんなんだ。頭の中で、いくつもの「!」と「?」がスパークしてしまった。そのスパークがしばらくして収まってくると、残された感情ってのは「やられたなぁ」の一言。それ以上でもそれ以下でもない。このときの心境を一言で表現すると、「φ」(空集合)。
チャイニーズ・デリのコーナーでCOMBOを買ったのだから、当然中華のお総菜セットがでてくるものだと思っていた。でも、このフライは360度どこを見ても中華じゃないぞ。じゃ、こりは一体なんぞや。
フライの山盛りを見ているうちに、食べる前から胸焼けがしてきた。しかし、買ってしまったからには食べるしかあるまい。フライの山を突き崩しにかかった。
フライは、(1)ささみ肉のフライ (2)チーズのフライ(二種類) (3)フライドポテト (4)ズッキーニのフライ の計4種類。それが「これでもか、これでもか」と入っているわけだからたまらない。ビールのおつまみならともかく、お昼にフライだけを水のみで食べろ、ってのは新手の折檻以外の何者でもない。
アメリカ人はかりかりした料理が大好きだ、とは聞いていたがこのフライがまさにその通り。全ての料理において、日本では「揚げすぎ」の部類に入る揚げ方だった。確かに衣はかりかりになるかもしれないが、その為にささみ肉はぱさぱさ。無性に水が欲しくなる。
いや、揚げ方なんてこの際どうだっていい。最も頭を抱えてしまったのが(4)のズッキーニのフライだ。何でこんなものをフライにしてしまったのか、と調理した奴の胸ぐらをつかんで真意を直接問いただしたくなる位おいしくなかった。いや、「おいしくない」という表現じゃえん曲過ぎる。「まずかった」と声を大にして宣言しておこう。それくらい、あわなかった。。凶悪だ。殺意すら覚える。どういう味覚回路でこれをおいしいと感じるのだろう。
「料理を残しちゃ駄目」というしつけを受けてきたおかでんは、フライの山をとにかく全て片づけようと躍起。しかし、それを尻目にさっさとリタイアしていた友人Kが疲れ切った顔で一言。「こんなもの残した方がいいぜ、全部食べても何もいいことないし」。
この一言で一気に疲れがどっと出てきて、2/3ほど食べたところでこれ以上自分自身をいじめる事をやめることにした。うぐっ、もうしばらくフライはいいよ・・・。
ジーニアスはおごそかにこう言い放った。「このアメリカでそんな食い方してると、すぐに太るよ。まずいモノ食べて太る事ほど情けないことは無いから、やめておけ」
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