魚まみれお泊まりオフ2005

ばんやの湯メニュー

二時間半ほど、わーわーと大喜びしながら箸を振り回し、気が済んだところでお店を後にした。入り口では、通行するのさえが困難なくらい、順番待ちのお客さんでいっぱいだった。一体どこからやってくるんだ、この人たちは・・・と思う。ま、われわれもそのうちの一人だが。

車からお泊まり道具を取り出し、ばんやのお隣にある「ばんやの湯」に向かう。本日のお泊まり先だ。現在、魚尽くしでおなかいっぱいではあるが、まだまだこれは序の口。魚三昧全3食のうちの1/3をクリアしたにすぎない。

「もう魚を見たくない!という気持ちになった?」

「まだ大丈夫」

そんなやりとりが交わされる。

12時30分ということで規定よりも相当早めのチェックインだったが、5分ほど待った程度ですんなりと部屋に入れてくれた。全4部屋しかない宿なので、ここら辺の融通は利くようだ。ありがたいことだ。ただし、4部屋であるがゆえに、週末の予約が困難だ。場所柄、宿泊するにはちょっと向いていないような気がするので、ここに泊まる人は確信犯で「ばんや魚尽くし」を狙っていると思われる。

この宿は、1泊2食つきで10,500円。素泊まりで6,300円。せっかくここに泊まるのに素泊まりはアホみてぇ、と思うが、ばんやの豊富なメニューをアラカルトで頼んだっていいわけだ。これはこれで賢いお泊まり方法かもしれない。

朝ご飯にも舟盛が付くよ、という予告文言に血湧き肉躍る一同。アンダーラインがわざわざ引いてある、ということは宿側も相当の自信作なのだろう。

ばんやの湯でも食事は出来る

ばんやの湯は、入り口入って玄関の正面がお風呂、右手が宿泊施設、左手が休憩所兼宴会場となっている。宴会場では、ばんやのメニューと全く同じものを食べることが可能だ。ばんや本体が混雑しているとき、このばんやの湯に来るというのは案外穴場といえる。

建物は道路を挟んで別の位置にあるので、お昼時はばんやの勝手口からばんやの湯の勝手口に、ひっきりなしに店員さんが料理を運んでいた。さすがに、ばんやの湯厨房では一から調理はしないようだ。

宴会場入り口には、サンプルが置いてあった。サバ唐揚げあんかけ、カマスフライ、さんが焼き。どうやらこの3品を本日の特推品と決めたのだろう。

宴会場をのぞいてみたら、ぎっしりとお客さんが埋まっていた。「穴場」だと思っていたのだが、こちらもすっかり一般的に定着しちゃったようだ。お風呂と生ビールがセットで割引、というサービスをやっているせいか、生ビールを飲んでいる人が非常に多いのがこちらの特徴だった。

ばんやの湯の部屋

通された部屋は、通路を挟んで海側と山側の二部屋。男性陣と女性陣に分かれて、それぞれ部屋に入った。

こちらは男性が陣取った海側の部屋。

まだ新しいせいもあって、シンプルながらも清潔感ある部屋だ。トイレ付き。バスはついておらず、シャワールームがあった。まあ、風呂は20mも先にいけば大浴場があるので、設置する必要などさらさらない。こういう割り切り方、いいよな。

ばんやの湯個室から外を見る

障子をがらりと開けてみた。

ぬぅ、目の前には道路と駐車場にびっしりと停められた車。

景色という点では全く期待できない。あと、すぐ目の前を人や車が通りすぎるので、原則障子は閉めておかないと。

山側の個室眺望

こちら、山側の部屋。

ありゃー、こっちは国道に面しているのだけど、竹で編んだ塀が眼前に迫っていて、こちらも景色ゼロ。ただ、障子は開けていても特に問題はなさそうだった。

ま、ここにきて「眼下に見下ろす絶景が楽しみでねぇ」なんて言うやつはいない。腹いっぱいお魚を食べて、夜になったら「ううもう食べられない」と布団にひっくり返ってさっさと寝ろ、と。

館山で海水浴

夜の、ばんやの猛攻に備えて英気を養うことにした。

夏の総決算、というサブタイトルがついた今回のオフ会、夏といえば海水浴でしょう・・・ということで館山ちかくの海水浴場に行った。2時間ちょっと、泳ぐ。

道の駅とみうら

帰り、花火及びスイカ割り用のスイカ購入のため立ち寄った富浦で、名物のびわソフトを食べることにした。

びわソフト、道の駅とみうら周辺には何店舗か提供するお店があるのだが、そのいずれもが微妙に製法が違う。どれが一番おいしそうか、うろうろしながら吟味するわれわれ。

びわソフトといってもいろいろある

ほら。同じ「びわソフト」といっても全然違うでしょ。

左は、バニラソフトの中にびわが練り込まれている状態のもの。

右は、びわのジャム状のものがソフトにかけられているもの。

いずれも優劣はつけがたいできだったが、バニラの味わいが強いせいもあって「・・・で、びわって本当はどんな味なんだっけ?」と食べ終わってみんな首をひねっていた。

「こんな味だったっけ?」「さあ?」

肉料理に惹かれる

びわソフトを購入したお店の隣に、「魚食堂 北浜」というお店があった。

魚食堂というだけあって、金目定食、海鮮丼、刺身定食・・・といろいろな品そろえ。しかし、その中に異彩を放っていたのが「荒挽ソーセージ定食900円」の文字。

「うわ、ちょっと惹かれる自分がいる」
「惹かれますねぇ。荒挽きっすよ、おかでんさん。そそられまくりっすよ」
「いらっしゃい。どうぞ良かったら食べていってくださいねー」

わ。店員さんが出てきた。いや、食べたい!という気持ちは満々なんですが、今おなか空いていないし、これからボリューム満点の舟盛夕食が控えてますし。ごめんなさい。

「荒挽きソーセージっていう文字に惹かれたってことはだ、既にお魚づくしで相当嫌気がさしてるって事なのかな?」
「そうかもしれませんね」

ちょっとうれしくなる。魚を見るのもイヤになるくらい、魚を食べよう!というのが今回の企画主旨。既に目的達成しつつあるわけか。でも、そうはいってもまだ「夕食の刺身盛り、楽しみだなあ」と思っている自分がいるわけで、真の意味で「魚見たくない」症候群にはなっていない。もうちょっと魚を食べないと。

ばんやの湯パンフレット

スイカ、花火の買い出しを終え、ばんやの湯に戻ってきた。夕食は18時なので、まだ1時間ほどある。たっぷりと、まずはお風呂に入って夕食に備えよう。

ばんやの湯は、「高濃度炭酸温泉」を名乗っている。温泉、といっても御利益ありまくりなものではなく、人工的に作り上げたものだ。早い話、炭酸ジュースを作るがごとく、お湯に炭酸を混ぜたものがこのばんやの湯のお風呂だ。炭酸泉の効能は、血行が良くなること、体が暖まりやすいこと、弱酸性なので、肌がきれいになることが揚げられる。ドイツの方では炭酸泉が結構多いんだとか。

実際、入ってみると体中に気泡がつくのがわかる。細かい気泡が体中にびっしりとつくので、体からオーラを発して光っているように見える。炭酸泉の場合、通常の湯温よりも2-3度ほど高く 感じられる。結構あっけなく、のぼせ上がる事が可能。

部屋から食堂に向かう廊下

さあ、夕食時だ。宿泊スペースからまっすぐな廊下を通って、宴会場に向かおう。

隣の部屋は、人数が少ないということもあって部屋食になっていた。われわれは、6人という大所帯であるために宴会場夕食となる。宴会場は、まだ日帰り入浴のお客さんがいっぱい食事をしている場所なので、われわれだけ浮いた状態での食事となる。浮く、ということは分かっていてもあえて僕は浴衣を着用して、宴会場に向かう。「僕、今日ここで宿泊なんですすごいでしょエヘンエヘン」という、さりげない自慢。

ばんやの湯食堂

さすがにお昼時ほど混んではいなかった宴会場。従業員さんに「あちらです」と指さされた場所は、部屋の一番片隅で、窓側の席だった。なにやら、他のテーブルとは異彩を放っている。ごてごてとお皿が並べられているぞ?

舟盛りがお出迎え

あはは。

もうね、笑っちゃうですよ。でででーんと、ホントにでっかい舟盛りがテーブルの真ん中に用意されてるんですもの。えっと、ここって数十人規模の立食パーティー会場でしたっけ。・・・そんな感じの、デカさ。

みんな、うれしい気持ちと、待ちこがれていた舟盛りとのご対面に恥ずかしくて照れる気分をごっちゃまぜにして、複雑な笑顔を浮かべながら着席した。

舟盛りだけじゃない、すごい料理

舟盛りに目が釘付けにあんってしまうが、まずは自分専用の料理もチェックしておかないと。デカい舟盛りとの対比になってしまうので、思わず「小皿料理」と形容してしまいそうだが、決してこれだって小さいお魚ではない。

金目鯛の煮付けがあって、海老をはじめとした数品の天麩羅、そして酢の物。茶碗蒸しや陶板焼きといった凝った旅館料理ではない。至ってシンプルだ。とはいっても、これだけのキンメが一人一匹出るって、さりげなくすごいことだと思う。

あらためて、刺身盛り

んで、さっきから気になってしょうがねぇ刺身盛りだ。

見よ、このボリューム。6人前なので、一人前あたりどれくらいになるのかちょっとわかりにくいが、とにかくでかいぞ、大きいぞ。切り身一切れのデカさ、分厚さは写真からでも十分に分かって貰えると思う。もうね、見ただけでね、おなかいっぱいになるですよこれは!

普通、船のへさき部分には海草やわさびを配置してお茶を濁すものだが、この舟盛りの場合、先端までびっしりとお刺身三昧。鯛焼きのアンコがしっぽまでいっぱい!というお得感をはるかに超越した、すげー盛り方になっているのであった。

見ているうちに、何だか息苦しくなってくるような、そんなお刺身。

おかげで、何の魚が盛られていたのか忘れてしまったぞ。えーと、金目鯛、カンパチ、イワシ、メジマグロ、あと何だったっけ?覚えていない・・・。(オフ会に参加した人の情報求む)

客席の様子

周囲のお客さんは、風呂上がりなので生ビールを飲んでいる人が多かった。しかも少人数での来店、ということもあってビール+ちょっとしたお魚料理、という注文の仕方が大半。それに比べてこちらのテーブルの派手なこと派手なこと。お客さんの視線が痛いぜ。

われわれはしばらく、まるで結婚披露宴のケーキカットみたいに、カメラを手にバシバシ写真をとりまくっていた。異様な光景だ。

自動生ビールサーバ

もちろんビールを頼まなければ、ということで生ビールをオーダー。もうこの後、車を運転するといったことはないので、飲みたいだけ飲んじゃってください状態。

ここは厨房スペースの関係か、客席内のメニューボード下にビールサーバーなどが据え付けてあった。おや、生ビールサーバーは自動化されてるぞ。

ジョッキを据えてボタンを押すと、あとはじょーっと自動的にビールが注がれるという便利な仕組み。注ぎはじめは、泡がでないようにジョッキが30度ほど傾き、ビールが注がれるに従って角度がゆるやかになっていく。で、最後は泡だけが追加で注がれて、完成。よくできたもんだ。

でも、左右のジョッキで泡の出方が違うようだ。さすがビール、ジョッキの清潔度や温度などいろいろな要素で仕上がりに差がでるということか。自動化されていても、こればっかりはどうしようもない。

ばんやの湯のメニューボード

メニューを眺めてみた。お昼とほとんど変化はないようだ。今日もお客さんはとても多かったことから、よっぽど本日のお魚はたくさん捕れていて、在庫に余裕があったということなのだろう。時によっては、昼過ぎにはメニューが随分と寂しくなっている事もあるのだが、本日はほら、「売り切れ」札が増えてきているものの、まだボードにはいっぱいの料理が。

ミンククジラはまだ健在。頼む人が少ないのか、それとも大量だったのか、いやいや一匹からすごくたくさんの肉がとれるのか。謎だ。

寿司

ビールを飲みながら、目の前の魚を頂く。お昼食べたものと一部重複するなーと思いながら食べ進めた。「夜にはキンメの煮付けが出るはずだから、お昼に注文するのはやめておこう!」ということは事前に計画していたのだが、肝心の舟盛りのことはすっかり忘れていた。舟盛りに刺身がてんこ盛りされるのは分かっていたことだったんだから、お昼はお刺身や活き作りの注文を減らしておくべきだったか。

お酒を飲まない人もいるし、お酒を延々と飲んでいる人もいるので、従業員さんに「先に全部料理を持って来ちゃってください」とお願いした。すると出てきたのが、ご飯・・・ならぬ、お寿司。ここでもしつこいくらいにお魚登場。

まぐろ、金目鯛、鯛、イカ、イワシ。5カンで登場。

炭水化物は、これにて終了。ご飯党の人にとっては結構しんどいシチュエーションといえる。ご飯、極少。

この夕食においては、主食はご飯で、おかずを食べるという構図は全く存在しない。主食:刺身。おかず:その他魚料理、という構図だ。これが結構きつい。

宿側としては、「ご飯食べて胃袋ふくらませるくらいだったら、魚食え、魚を!」ということなのかもしれない。その挑戦的な態度非常にエクスタシーです。たまらんものがあります。われわれの旅の趣旨を十二分に理解してくださっている。

とはいっても、案外食べられないもんですな、魚ってもんは。

かなり満腹状態

「僕なんてね、ビール飲みだからお酒飲んでいるときはご飯食べないの。だから、シメでラーメンやご飯さえ食べなければ、ローカーブダイエットと同じことになるんだ。たくさん飲み食いしても太らない。この半年で体重を減らしたのは、飲酒時と後に炭水化物を採るのを控えているからなんだ」

なんて語るおかでん。「ビール飲みにはご飯はいらねーよ、お寿司5カンは丁度いい塩梅だぜ」なんて調子こいていたのだが、だんだんと箸がすすまなくなってきた。

「おい!まだお刺身たくさん残ってるぞ。みんな食べなくちゃ。これが目当てでばんやまでやってきたんだから」
「いや、食べてますよ。おかでんさんこそ食べてないんじゃないですか?」
「アホいえ、食べとるわい」
「じゃあ、この2切れは食べますんで、残り2きれはおかでんさんが」

気が付くと、刺身の押し付け合いが始まっていた。うーん、人間って案外生魚はたくさん食べられないものだ。

「揚げ物や煮物だったらまだ食べられるんですけどね、刺身だとなかなか量を食べられないですねえ」

参加者の一人、だておーが呻く。

たぶん、この日参加したメンバー全員が、「今までの人生で経験したことのない、大量のお刺身を食べた」経験をしたことだろう。そんな状況、誰も想定したことがなかったので困惑と動揺が全員を包み込んでいた。

あさり汁

みそ汁椀は、あさり汁だった。おや、お昼注文したやつが、また。

そうだよな、ここはばんやだ。みそ汁だって、単に葱とか豆腐を入れてくるはずがないよな。絶対、海の幸を入れるはずだと思っていたのだが、あさりときたか。

あさりが、まるでシジミ汁のようにざくざくみそ汁の中に入っていた。

お昼頂いたものよりも味が濃厚で美味なり。

デザートはすいか

「こんな状況じゃ、この後予定していたスイカ割りできないかもしれないねえ」

既に満腹状態な全員は、これ以上スイカなんぞ食べられる状況ではなかった。とはいっても、さっき買ったばかりのスイカを無駄にするのももったいない。どうしたものか。

・・・と思案していたら、従業員さんが「デザートでーす」といって、スイカを運んできた。

あまりの絶妙なタイミングに、一同驚くやら爆笑するやら。

「何だ?このばんやは?われわれの行動を見透かしているかのようだ」

「食べきれないくらいの刺身を出してみたり、われわれのスイカ割りを先回りしてデザートでスイカを出してみたり、すごいな、お店側が良心的な嫌がらせをしているとしか思えん」

これでも食らえ、という表現はまさにぴったり。お店が意図的に「さあどうだ、もうこれで降参するか?」と挑発しているような気になってくる。いやはや、参った。

スイカは、とても甘くておいしかった。

「くそー、これでマズかったら文句のつけようもあるんだけど、スキがないんだよなあ。甘くてとてもおいしいではないか」

金目鯛丸かじり

とはいっても、まだ舟盛りには結構な数のお魚が乗船中。早いところ、下船願わないと。

ふぅ、金目鯛クリア。

それにしてもでかい金目鯛だなあ。これがお刺身になっていたのか。

船から全部脱出

最後、残飯処理班のような立ち位置になりつつ、おかでんが責任持って残さず食べ尽くした。普段のおかでんは、刺身のツマ好きであり、お刺身以上に刺身のツマを食べる性分だ。しかし今回は、さすがにツマを食べ尽くすのはご勘弁願った。食べられませんよ、こんなの。

一体ツマを作るだけのために、どれだけの大根が使われたんだろう。千切りにするとかさが増えるとはいえ、これだけのボリュームだ。大根1/2本くらいは使っているんじゃないか?

ばんやの湯冷蔵庫の中

「ふー、食べ過ぎたぁ」とおなかをさすりながら部屋に戻る。

通常、「食べ過ぎ」というのは脂っぽいものであったり炭水化物系のもので腹が満たされた時だ。そんな時の腹の張り方とはちょっと違う、何だか微妙な満腹感が体を支配していた。

「なんかね、もうちょっと何か食べたい気がするんだけどね、おなかがいっぱいなんだよこれが」

おそらく、炭水化物不足による物足りなさなんだろう。そういえば、この夕食は肝心のビールがあまり飲めなかった。楽しみにしていたんだけど、目の前の刺身をやっつけるのに必死で、おなかがいっぱいになってしまった。ビールは、空腹時でないとおいしくないので、途中から飲めなくなってしまったのだった。残念。

無類のビール好きを自認しているのに、それでも飲みたくても飲めなかった、そんなばんやの夕食。恐るべし。

部屋の冷蔵庫をがばっと開けてみたら、缶ビールやらジュースがいっぱい詰め込まれていた。ビールは1本280円。10mほど歩いた先にある、入り口の自販機だと250円なので、冷蔵庫からビールを飲む必然性はまったくない。ちなみに、飲み足りなかったakeさんは冷蔵庫からビールを取り出して飲んでいたが、翌朝自販機で同じビールを購入し、冷蔵庫に補充していた。なるほど、賢い。

闇に沈むばんやの湯

夜の「ばんやの湯」。

ばんやは既に閉店しているが、ばんやの湯は24時間営業なのでまだ明るい。24時間営業って言ったって、誰が夜中にやってくるんだよと思ったが、深夜にお風呂に入ってみたが常に誰かが入浴していた。結構人気があるらしい。おかげで、浴槽の写真を撮りそびれた。普通、深夜だったら誰もいないので写真撮影の絶好のタイミングなのだが。

花火を楽しむ

お昼は車でいっぱいになるばんやの駐車場で、花火大会を開催した。8月末ということで、大量の花火を格安で購入することができた。圧倒的物量にモノを言わせ、休むことなく花火に点火しつづけた。

参加者全員、童心に返って「わー」「きゃー」と言いながら花火と戯れていた。

ただ、童心・・・と必ずしも呼べないのは、みんな携帯の写メールで花火の写真を撮っていたところ。時代は流れる。

ばんやの看板

1時間ほど花火を続け、身も心も大満足したところでお開きとなった。後かたづけをして、部屋に引き上げる。

そういえばお昼みかけた大漁旗はどうなったのかな、と思って国道沿いの看板をのぞきにいってみた。ああ、さすがに大漁旗は片づけられていた。その代わり、「朝定食」というのぼりが。相変わらず商売熱心だなあ、ばんやは。

夜中もチカチカ光ってる看板

ばんやの湯入り口近くの国道沿い歩道には、こんな看板まででていた。

うーむ。

温泉マークが輝く

もっとも「うーむ」だったのは、これ。東京方面からばんやを目指すと、まず真っ先に目に付く。

お昼でも相当に目立っていたのだが、夜になると発光するとは思わなかった。周囲から浮きまくりだ。

水はお持ち帰りできる

何度も「うーむ」と言いながら建物内に戻る。

もう23時近いというのに、まだまだ風呂上がりのお客さんが結構いる。繁盛しとるなあ。

宴会場は、20時をもって飲食オーダーを終えていた。このため、風呂上がりの人は玄関ロビーの狭いスペースでくつろぐことになる。

ロビー脇には、無料で炭酸水をお持ち帰りできる蛇口が用意されていた。炭酸水は体にいいそうで。

びわ酒を飲む

部屋に戻ってから、富浦で買ってきたびわ酒を飲んでみた。あまく、こってりとしたできはシロップを連想させる。とはいっても甘すぎず、あとを引かない味なのでお酒初心者には向いているかもしれない。

「明日朝も刺身盛りが出てくると思うと、わくわくしちゃうな」

という自虐的な冗談を言いつつ、就寝。

(2005.09.22)

(つづく)

魚まみれお泊まりオフ2005
(その3)

2005年08月29日(月曜日)

保田の朝

夜が明けた。すかっと晴れた青空がまぶしい。

朝だーと窓を全開にしてみたが、景色は相変わらずあんまりよろしくはない。

ただ、遠くの方で漁船が岸壁に横付けになり、なにやら荷揚げを行っていた。保田漁港は今日も大漁か。あそこで捕れた魚が朝の食卓に上るのだろうか?・・・いや、ちょっと時間的に無理っぽいな。

朝8時から朝食だというので、7時には起きだして朝風呂を楽しんだ。朝7時だというのに、もう既に外来のお客さんが何組も。一体どうなってるんだ、ここは。感心するやら、呆れるやら。

なにやらたくましい海の男みたいな人が何人もいたので、ひょっとしたら早朝操業を終え、ばんやの湯でリラックスしてるのかもしれない。漁協直営の施設なので、漁業関係者だったら無料かもしれないし。そう考えれば、この朝からの混雑っぷりには納得がいく。

朝も当然刺身盛り

朝8時、全員がそろったところで宴会場に行く。昨日と同じ席に・・・あったぞ。何事も無かったかのように、昨晩同様の舟盛りが。

「あは、あははははは」

やっぱり、笑えてくる。何だか、非常に面白い。夕食に舟盛りが出てくるのはまだ「ちょっとぜいたくしちゃった」という感じであり珍しくはないが、朝に舟盛りってのは見たことも聞いたこともないぞ。普通の旅館じゃ、「朝から舟盛りを食べたいんだけど」って注文したって絶対に受けてくれないと思う。

それにしても、夕食の時よりも皿数、増えてるんですけど。宿の人たち、ますます気合いを入れたなさては?

ばんやの湯朝食

朝食のお皿の数々。

いわしの煮付け(3匹)、あじの開き、漬け鯖(3切れ)、シャリ(3カン)、ご飯、みそ汁、納豆、玉子、海苔、香の物。以上。

シャリは、漬け鯖を載せるためにある(と思われる)。機械で作ったシャリだと言うことがよく分かる、角張った形をしている。なるほど、こうやってシャリだけをまじまじと見る機会は滅多にないので、人間様が握るシャリとはこうも違うのか、と感心する。

いや、感心してる場合じゃないって。

昨晩の「炭水化物不足」状態から一変して、今日はシャリの他に白米まであるのであった。この宿、緩急の付け方がすごい。「どうだ、ご飯もっと食えぇぇぇ」と言われているような感じ。海苔、玉子、納豆と「ご飯の友御三家」がそろってるし、おかずは多いし、一体何杯ご飯を食えと言うのか?

刺身盛りが朝からすごいことに

おっと忘れちゃいけない、これだけじゃないんだよな。舟盛りがあるんですよ、舟盛りぃ。

今回は、各自におかず2品(漬け鯖入れると3品)あって、それに加えて全員に一つの舟盛り。これでご飯を食え、というわけだ。全てのおかずが、問答無用でお魚。魚以外はあり得ない、という王道直球勝負。いいなあ、この猪突猛進っぷり。

「舟盛り、昨晩よりも豪華になったんじゃない?」

というささやきが聞こえる。うむ、確かにそんな気がする。昨日は金目鯛が一匹飾られている以外は、切り身が整然と並べられている状態だった。配置もゆったりとしていて、舟盛りの底を見ることができた。しかし、今日はどうだ。お頭つきでお魚がてんこもり。もうね、底が全く見えなーい。ツマさえ、ほとんど見えないくらいびっしりと刺身が盛りつけられている!これは明らかに宿からの挑戦状だ。くっそう、常にわれわれの想像の上を行くなぁ、ばんや。

普通、朝はあまり食が進まないから、量を減らすもんだろ?それが、何でか夕食よりもボリュームが多くなっとる。「板長が今日は朝から機嫌がよくって、ついつい盛りすぎちゃいました」という理由なんだろうか?

あぜんとしながら、今朝も「ケーキカット状態」で写真撮影。本日のお魚は、鯛を中心としてワカシ、鰺、イカ、イナダ、カマスだった。

お魚、みっちり。

「どうだい?だいぶおみまいされてきたんじゃないの?」
「うーん」

昨日に増して、箸が進まない一行だった。

しかし、僕は逆に食べやすいことこの上なし。ビールが傍らにないということもあって、箸が進むったらありゃしない。

「新発見だよ。お刺身って、単品だったらあまり食べられないもんだけど、ご飯があると結構ぐいぐいと食べられるんだな」

興奮気味に語るおかでん。お刺身をつまんで、醤油に浸して、ご飯にちょいと載せてぱくっ。ご飯も時間差でぱくっ。うん、おいしい。刺身単体で食べるよりも1.2倍くらいおいしく感じる。これは意外だった。

「確かにねえ、会席料理や旅館の料理で出てくるお造り、あの程度がお刺身って一番適量なんだよな。おいしいお刺身がちょっと食べられればそれでいいもんなんだよ、人間って」

さりげない新発見であった。

もくもくと朝ご飯を食べる人たち

朝食は、各部屋ともに宴会場食となっていた。他部屋の舟盛りの様子もチラ見してみたが、やはり6人前舟盛りの圧倒的な物量作戦の前においては、赤子も同然だった。このインパクトを楽しむなら、6人で訪れるのが一番良さそうだ。8人になると、おそらく4人前の舟盛りが2艘登場するに違いない。

「・・・ご飯、足りなくなっちゃった」

一向に減らない舟盛りと格闘しつつ、時折サイドチェンジで海苔や玉子でご飯を食べていたら、おひつからご飯が無くなってしまった。

「すいませーん、ご飯お代わりお願いします」

従業員さんを呼ぶ。

「どれくらいの量にしますか?」
「え?あ、そうですね、おひつ半分くらいでお願いします」

・・・しばらくして届けられたおひつは、「半分」どころか「おひついっぱい」のご飯が詰め込まれていた。

「あいつだ!あの人が僕らに挑戦状を突きつけている張本人だ!」

おひつの蓋を手にしたまま、思わず叫んでしまった。このどこが「半分」なんだよ。量を聞いておいて、目いっぱいご飯を詰め込んでくるっていうことは、こりゃもうタタカイを挑んできているに他ならない。

「くっそう、おそらくあの人たち、『食べきれないくらいの料理を提供する』ことに生き甲斐を感じてるな?負けてられないぞぅ、相手がそうくるなら、僕らだってこのご飯を全部平らげてやらないと」
「あ、いやワタシはもうお代わりしないデスヨ?おかでんさん、あと残りは全部食べてください」
「えっ?」

孤立無援状態。

結局、お店の挑戦に屈し、おひつのご飯は半分近く残った状態でフィニッシュとなった。最後、猛烈に刺身スパートをかけ、舟盛りの上は空になったのでとりあえず良しとしよう。うー、それにしても、1年分くらいのお刺身を食べた気分。

「お刺身を食べるために、ご飯食べすぎた。海苔も玉子も納豆もいらねーよ、あれだけおかずがあったら」

おなかをさすりながら、部屋へと引き返す。

「ついでに言うと、何だか塩分採りすぎた気が。お刺身をあれだけ食べると、消費する醤油の量だってばかにならないもんな。ましてや、白米が傍らにあると、ついついお刺身を醤油にどっぷりつけて食べてしまう」

急にカロリーと塩分を気にし出す、でもむちゃしてナンボな食べっぷりなおかでんであった。

マザー牧場マップ

10時にチェックアウトしたわれわれは、このあとマザー牧場に行くことにした。マザー牧場は房総半島の丘陵地帯に広がる広大な敷地を利用した観光牧場で、いろいろなショーやアトラクションがある。子供から大人まで楽しめる場所になっているらしい。

ここの名物はなんといってもジンギスカン。まさか、飼育されている羊をそのまま精肉しているとは思えないが、マザー牧場といえばジンギスカンといっても過言ではないくらい有名だ。

「ばんやオフ」、最後の仕上げはこの地でジンギスカンを食べることになっていた。これまで三食、魚尽くしだったわけであり、ここで精進落としじゃないけど、魚落としで肉を食べようというわけだ。

羊のショー

入場料1,500円はちと高いが、中に入ってみてびっくり。いやぁ、こりゃ楽しいわ。1,500円を払う価値、大あり!

特に秀逸なのは、大きなホールで開催されている動物ショー。十数種類の羊を並べてみたり、羊飼いが牧羊犬を犬笛で自由自在にコントロールしてみたり、羊の毛を刈ってみたり。拍手、拍手の大盛り上がりだった。

ショーは数種類あって、一日何回か開催されている。必見。

子ヤギがたまらなく可愛い

施設内にはいろいろな動物がいる。こちらは山羊の小屋。子山羊が純白でとても可愛い。けなげな動作が非常に愛くるしい。

ジンギスカン料理の店

おっといかん、あくまでも「ばんやオフ」の報告だった。マザー牧場のすばらしさを伝え始めるときりがないので、ちょっと早送り。

さてこのマザー牧場、ジンギスカンが名物だということは先ほど書いた通りだが、実際にこの牧場の敷地内には3カ所のジンギスカンレストランが設置されていた。

あたりは羊肉の臭いが充満

そのおかげで、あたりはジンギスカンのにおいが立ちこめている。

「うわー、食欲がそそられる・・・はずなんだけど、おなかが空かないんだよなあ」

一同朝ご飯がまだ胃袋の中に残っていて、お昼時だというのに全くおなかが空いていなかった。

「うーん、恐るべしお魚!」

思わず唸る。肉のにおいを嗅げば、きっと「肉!肉食べたい!もうお魚はイヤダ!」という気持ちになると思ったのだが、そうはならなかった。これは予想外だ。おなかいっぱいのお魚が、空腹感を阻害しているのだから当然だ。

ジンギスカンレストランの中

ジンギスカンレストランの中はこんな感じで、とても広い。屋外の芝生でも食べることができる。
今日は平日ということもあって、お客の数はそれほど多くなかった。

これだけの規模のジンギスカンレストランが合計3つもあるのだから、すごい。

ジンギスカンメニュー

看板には、「今、話題のジンギスカン!!羊肉はとってもヘルシーその訳はカルニチンがたっぷり!!」と書いてあった。今、巷ではジンギスカンがブームだ。このブームに、おそらくマザー牧場は鼻息が荒いことだろう。

気になるお値段は・・・うーん、ちょっと高いな。

レストランまきば

羊肉は駄目ー、食べられないという人だっているし、気分的に今日はジンギスカンを食べたく無いなあという人もいる。

そんな人のために、普通のレストランも用意されていた。

しあkし、何だかひっそりとした感じ。やっぱり、マザー牧場に来たらジンギスカン食え、ということか。

ジンギスカンレストランは複数箇所ある

昼下がり、14時頃になってようやくわれわれはお昼ご飯を食べることにした。まだ一部の女性参加者からは「おなかが空かない」という声が挙がっていたが、そろそろ帰宅も考えなければならない時間。少量でもいいから食べようではないか。

われわれはホールの近くにあるジンギスカンレストランを選んだ。ここは、丘の上から見下ろす形でジンギスカンを楽しめる場所だ。

写真のメニューボードは別のお店のものだけど、参考として掲載しときます。

眺めがすばらしいレストラン

入ったところはこんな感じ。

確かに絶景だ!千葉県は、一番高い山でも400mすらないような丘陵地帯の国だ。だから、一度山の上に登ってしまえば、視界を妨げるような高い山が存在しない。おかげでぐぐぐーっと見渡すことができる、絶景の国だ。

ここが半島であるとはおもえないくらい、周りは山、山、山。そして、民家すら見えない。意外だった、千葉にこんな場所があるとは。

ただ、当然テラス側にお客さんは固まるので、よほど運が良くないと「がぶりつき」の席でこの絶景を楽しむことはできない。われわれは、ちょっとテラスから離れたところに陣取った。

食料調達にとりかかる

さあて、選ぶぞぅ。

このレストランの場合、ビュッフェ形式で好きな料理を取る仕組みになっていた。あれこれ取って、レジでお会計。

えーと、どれにしようかな。

肉とかいろいろ
魚介もある

シーフードなど。

肉1
肉2

こちらは肉類。ラム肉150gで850円、上ラム肉150g1,050円なり。

さあ肉を焼こう

野菜なども追加し、さあ焼くぞと。

ビールも忘れずに購入。あんまり飲みたい気分ではないのだが、やっぱり焼くからにはビールは必須でしょう。

ビール飲みは、メニューを見たときに即座に頭の中で計算を始める。それは、「瓶ビールが得か、生ビールが得か」というものだ。生ビールは瓶よりも高い値段設定になっているので、自分の「今の気分」と照らし合わせてあれこれ考える。今日はぷはぁと気持ちよく飲みたいなあ、という時は生ビール、いやいや、今日は量を飲みたいぞ、という時は瓶ビール。

今日は瓶ビールにした。「量を飲みたい」のではなく、これ一本で終わらせるぞという気持ちを込めて、だ。

スタイニーボトル風にビールをたしなむ

ビールを飲むのはakeさんとおかでんの二人だけだったので、用意した紙コップを片づけて二人で瓶ごとラッパ飲み。

「スタイニーボトルだよ、スタイニー」

と開き直る。いやー、屋外でラッパ飲みっていうのは結構幸せだなあ。

「akeさん!akeさん!店員さんがさっきからこっちの方を変な顔して見てますよ!」

という忠告があったが、akeさんは

「構やしないよ、これスタイニーなんだから。ビールの正しい飲み方なんだから」

と平気。

「そうだそうだ、僕ら何も変な事はしてないぞ」

横から無責任に賛同するおかでん。屋外でバーベキューって楽しいなあ。

肉をひたすら焼く

肉を焼くサングラス男。

うん、魚もいいけど、肉もいいよなあ。

肉って、なんて言うかな・・・ストレートに脳みそにがつんとくる美味さがあるよね。油がそうさせるんだろうか。

アヒルの大行進
アヒルの目はかわいい

アヒルの大行進。

じゃあ、僕たちもそろそろアヒルさんたちのように帰るとしますか。この1日半、ひたすら食べて、食べての繰り返しだった。まさに食い地獄!なありさま。帰る前に、参加者に聞いてみた。お魚、どうですか?と。すると、全員、口をそろえて「もうしばらく魚は食べたくない」という回答が返ってきた。

企画大成功!

狙った通りの結果となった。いやしかし、ホントにしばらくお魚はいいです。

・・・この「お魚はしばらく食べたくない」というのは、脳が受け付けないというのもあるのだが、スーパーで売られているお刺身がちゃんちゃらおかしくて買う気になれない、という理由もある。ばんやと比べると、鮮度が悪くて値段が高い。ま、そりゃ当然なのだが、あれだけのお魚を見せつけられてしまうと、ホントしばらくはスーパーでお魚を買う気力がうせる。

次は秋が深まってきた頃、あらためて日帰りばんやだろうな。ホント、ごちそうさまでした。

(2005.09.24)

(つづく)

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