
一通り、注文した料理は出てきた。
さあ、どうする?
お互いが顔を見合わせる。
まあ、この程度で終わりにしても全然問題はない。食べるだけ食べた。しかし、「この程度で終わりにしても」という表現を使ってしまうくらいにしか、食べていないとも言える。
じゃあ、何か頼もうぜ。
迷ったら、進め。
とはいっても、一通りの調理ジャンルは既に選択済みなので、第二陣の注文をどうするか、ちょっと話し合いになる。

もぐさんが注文した、冷酒。
こういう緑色の瓶に入っているお酒、久し振りに見た。
ビールもいいけど、やっぱり魚とあわせるなら清酒といきたい。

スルメイカ刺し。1,000円。
イカ刺しは鮮度が命の食べ物だ。消しゴムみたいに真っ白くなていない、あめ色の半透明な身のイカ刺しがうまい。ばんやでは、それが食べられるから、ぜひ頼んでおきたいところだ。しかも、イカのワタもついてくるので、酒飲みにとってはむしろワタの方がご馳走かもしれない。
ただ、この日は紙のメニューに記載がなかった。
「今日は運が悪かったね、取り扱いがないみたいだ」
と話をしていたのだけど、そんな時すいーっと店員さんがイカ刺しを別のテーブルに運んでいるのが見えた。あれっ?
どこにそんなメニューがあるのだろう?と思って店内を探し回ったら、店頭の食品サンプルにスルメイカ刺しを発見。ああ、これだこれだ。
そんなわけで、危うく見逃すところだったイカ刺しをゲット。
時期によっては、いろいろなイカの刺身がメニューに並ぶこともあるけど、この日はスルメイカオンリー。
もちろんうまい。
うまいんだが、このねっとり感のあるうまさは、もう少し早い段階で食べたかったかもしれない。

これぞ「ザ・蛇足」。
イカかき揚げ、600円。
これまでずっと、「イカかき揚げはうまい」と僕は言い続けてきたし、何度か参加したことがある人も同じことをいっている。ただし、「イカの美味さ、というか、かき揚げに含まれている玉ねぎの甘さがうまいんだよなあ」というのが高評価の60パーセントくらいを占めている気がする。
なので、これを頼むと、ちょっと悔しい気持ちも、ある。
もちろん、新鮮なイカで作ったからこその、柔らかい食感というのは嬉しい味わいだ。立ち食い蕎麦屋のかき揚げに入っている、硬いイカゲソとは訳が違う。
しかし、実物がテーブルに届けられて、一同苦笑してしまった。思ったより、デカいぞこいつァ。
大きなかき揚げが、どかんどかん、と4枚。最後の「シメ」の気分で頼んだのだけど、これは相当デカかった。お持ち帰りのお土産にしても良かったくらいだ。
「うまい・・・んだけど、量が・・・」
みんな、ふうふう言いながら食べる。

メジナ唐揚げ、1,000円。
メジナって、普段そこらへんのスーパーでポロンと売られているお魚じゃない。なので、折角だから頼んでみよう、ということにした。
すると、これまたデカいことデカいこと。
「いやあ・・・これが最後の注文なんだけどなあ、ダメ押しでデカいなあ」
もう、笑っちゃうしかない。最後、本当にダメ押しって感じで食べきった。これで満足ではないとは言わせない。いやあ、食べたなぁ。すごい食べちゃったなぁ。
(つづく)
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