僕はこれまで全く気が付いていなかったのだけど、今年の激辛グルメ祭りではピッチャーでドリンクが販売されていた。
レモンサワーピッチャーが各日限定20杯で2,000円、生ビールピッチャーが各日限定10杯で2,800円。
ハッピーアワー(18時まで)ならこれが半額になるのだから、相当お得だ。何しろ、生ビールはカップ1杯で600円なのだから。
しかし、杯数制限がとても厳しい。こんなの、すぐに売り切れてしまいそうだ。夜の宴会用に、と画策しても事実上無理っぽい。・・・と思ったら、案外あちこちでピッチャーが行きかう姿を見かけた。夜でもまだ諦める必要はないらしい。
「ピッチャーがお店に回収されたら、カウントがリセットされるんじゃないですかね?同時に提供できるのが20杯というだけで。だって、飲み物自体は品切れにならないでしょうし」
確かにそうだ。
もし僕が昔のようにビールを愛していたら、一人でピッチャー1杯を独占していたと思う。
よく見ると、テントの屋根からはみ出したところまで着席できる客席が用意されていた。増設したっぽい。それくらい、大人気。
それにしても女性比率が高い。しかも若い女性が多い。6割から7割くらいが女性、だろうか?男性がたまにいても、女性と一緒というパターンが多いようだ。僕らのような「男だけのグループ」というのは少数派だ。
女性目当ての男性がやってくる、というけしからん展開は特になく、いたって健全にそれぞれが激辛料理を楽しんでいた。僕らも、そう。隣に座っている女性にちょっかいを出す、なんてことは全くなし。
面白いもので、甘いもののイベントに参加している人種と、辛いもののイベントに参加している人種とでは、顔つきが違う気がする。一人一人を見ただけではその差異は気づかないのだけど、50人100人という集団になると、なんとなくその違いが見えてくる気がする。
端的に言うと、甘いもの好きのイベントでは、目つきが優しく、辛いもの好きのイベントではきりっとした目をしている。もちろん、「そういう気がする」だけであって、実際に統計を取ると全然違うのかもしれないけど。
3rd Roundにおいて3名が集めてきた、9店舗9品。
相変わらず茶色だらけだ。彩りとして白米があると、ずいぶんと賑やかに見えるけれど、いやちょっと待てこれはただのご飯だ。
宇都宮餃子館 超辛餃子
「なんだ、大して辛くないね」と言われ続けてきた宇都宮餃子館の「超辛餃子」。
激辛グルメ祭りという辛い物イベントにおいて、「なんだ」と失笑されるというのは最大の屈辱だと思う。我々としても、そうやすやすと「大して辛くない」と言い切ってしまうことには抵抗がある。名誉を著しく傷つけているのではないか、と心配だからだ。
そんなわけで、今回は敢えて2nd Roundと同じ「超辛餃子」を頼み、さらに「全ての料理より先、一番最初に食べる」ことにした。先頭に食べるのであれば、まだ舌が辛さに麻痺する前だからフレッシュな辛さが味わえるだろう。その上で、「なんだ・・・」と思うなら、それはもうそういう料理だということだ。
で、食べてみたら
「案外辛いね、これ」
というコメントが3名それぞれの口から出た。「超」がつくほど辛いかというと、それは「?」だけど、激辛グルメ祭りにふさわしい辛さだった。食べる順番ってのは本当に大事。
食べる順番は本当に大事、と書いておきながら、毎度のことだけど今週も「どれをどの順番で食べたか」を忘れてしまった。順番バラバラで振り返ることを許して欲しい。
下北沢 天華 陳麻婆豆腐 激辛
京華楼 四川麻婆豆腐 超辛
今回は麻婆豆腐対決があった。敢えて両方の麻婆豆腐を立て続けに食べてみたけど、好みは人それぞれだった。
見栄えでいうと、京華楼の方がきれいだ。天華はぐずぐずに煮込まれた感じがある。豆腐のエッジが残っているのは京華楼で、食感の楽しさという点で僕は京華楼の方が好きだった。
ヴェトナム・アリス フォー ガー(鶏肉のフォー)激辛
フォー、というのは澄んだスープというイメージが強いので、これを見てもフォーだとは思えない。見ろ!激辛というのはかくあるべきなんだ。ノーマル風味と比べて見た目ががらりと変貌する。
最近、「透明なコーラ」とか「透明なビールテイスト飲料」などと飲み物では「透明」が流行りだ。しかし、激辛に関して言うと、「透明」ブームは来ないと思う。というか、そんなものがあったら危なっかしくて、怖い。
その気になれば、カプサイシンエキスを料理に注げば「見た目は普通だけど、強烈に辛い」料理は作れるだろう。しかしそんなのを一気に飲んだら、場合によっては死ぬかもしれない。絶対やりたくない悪ふざけだ。
ファイヤーホール4000 ファイヤーホール4000火鍋スープ(中辛)
ファイヤーホール4000は、「ピリ辛」メニュー2種類と、「中辛」メニュー1種類でこの激辛グルメ祭りに挑んでいる。つまり、激辛を用意していない。さすが赤坂四川飯店の流れを汲むお店だけあって、安易に唐辛子をバサバサかけて味のバランスが悪い料理を出したくない!という考えがあるのだろう。
そういうお店の精一杯の辛い料理、「中辛」の火鍋スープをいただく。中辛、といってもそれなりに唐辛子がプカプカ浮いているし、思った以上に濃いどっしりしたスープなので侮れない辛さだった。
肉のスタミナ屋 厳選黒毛和牛の炙り握り寿司 (3カン)激辛
一体握り寿司でどのような激辛を提供するのかと思ったら、こういうことか!
寿司ネタ部分の牛肉に辛いたれをかけているだけでなく、寿司の下には唐辛子粉がびっしり。この発想はなかった。
気をつけないと、食べる際にうっかりするとこの粉をパフっといわせてしまい、むせる。韓国唐辛子を使っているので刺激はさほど強くないものの、むせたらえらい目に遭う。慎重に、慎重に。
この料理に限ったことではなく、全ての料理は丁寧に食べる必要がある。雑に食べると、うっかり肺や鼻に入った時に激痛が走る。そして、汁が飛び散ると服が汚れる。激辛料理は赤黒いし、油分を多く含むので汚れが目立つ。家に帰ったらすぐに服やボトムスを洗おう。
ALDO ロモ・サルタード(牛肉と野菜の炒め物)(ライス付)
注文した際、辛さを聞かれないまま注文が通ってしまったので、「激辛」ではないっぽい。「中辛」だと思われる。実際、この日の後半戦に食べたせいもあって、全然辛いという印象がなかった。
ちなみに、このお店のキッチンでは北京鍋を振るうシェフが、頻繁に盛大な炎を巻き上げていた。ペルー料理でも北京鍋を使うのか!とちょっと感心した。世界が認める便利な調理器具、それは中華鍋。
アムリタ食堂 激辛ソーセージ(激辛)
タイ料理は激辛グルメ祭りの定番ジャンルだけど、辛い料理というのはだいたい決まっているものだ。なので、気がついたらガパオかパッタイをよく食べている気がする。それ以外の料理は「中辛」程度の辛さに設定されていて、僕らが選ぶ対象にはなりづらい。
たまにはソムタムとか食べたいなあ、と思うけど、メニューにないから仕方がない。
そんな中、アムリタ食堂は「激辛」のメニューとしてソーセージが用意されていたのでありがたかった。レモングラスとかタイハーブがいろいろ入ったソーセージは、辛いというよりもエスニックな風味が強くて「うまい」という印象の方が強かった。
これくらいのサイズなら、たとえガチで激辛でも、ぱくぱく食べて一気に終わらせてしまう。なので、さほどダメージは受けないものだ。(複数名で訪れた場合に限る。一人だけならどんどん苦痛が増えていく)
サフラン池袋 世界一辛いカレー(タバスコの約401.5倍の辛さ ブートジョロキア使用当店オリジナル)
3rd Round最後の料理は、全会一致で「世界一辛いカレー」になっていた。昨年の実績を踏まえて、4週間の会期全体を見渡してもこれに勝てる激辛は存在しないのではないか、と思っている。それくらい格が違う料理だ。
こんなのを全9品食べている途中に食べてしまったら、それ以降箸がぴたっと止まってしまう。経緯を評しつつ、恐怖感も感じつつ、最後にとっておいた。
3人でシェアだし、ライスがあるし、実際のところ一人当たりの割り当て量は多くない。しかし、それでも随分と辛い。味わって食べようなんてすると手が止まってしまい、それ以降動けなくなる可能性がある。なので、躊躇なく、テンポよく食べてしまった方が幸せだ。
食べ方は人それぞれだ。
僕とおーまさんは、普通にライスとカレーをわけて食べる。一方、のっちょさんは丹念にライスとカレーを混ぜ混ぜしていた。要するに、「カレーの辛さから逃れるためのエスケープゾーン(ライス)を確保する」考えか、それとも「カレーの辛さをライスで少しでも中和させる」のか。
まあ、どちらにせよ痛みを感じる料理だ。やっぱり、下馬評通りコイツが3rd Roundで一番辛かった。
とはいえ、時計を見ると時刻は20時半。2nd Roundほどではないものの、今回も早めに食べ終わった。動きがピタッと止まるような局面はなく、ほぼ快調だったといえる。とはいえ、辛さを誤魔化すためにがぶがぶ水分を飲んだので、三人とも「お腹いっぱいです」と苦しそうだ。僕自身、随分体重が増えた。
激辛料理を胃袋に入れてしまうと、その後引き続き盛り上がろうぜ!二次会!みたいな気分には到底なれない。本能が働くのか、とっとと家に帰っておとなしくしたい、という願望が芽生えてくる。なのでこの日も、大変にお行儀良く会場を後にし、新宿駅で21時前に別れた。
別れ際には、
「戦いはこれからだ。今晩および明日の朝、何か体調に異変があったらすぐにお互い連絡を取るように」
という挨拶をした。そう、激辛とは孤独の戦いでもある。食事中もさることながら、帰宅してからもその戦いは続く。ただし、3rd Roundともなれば随分身体も慣れてきて、そこまで胃腸はビックリしていないっぽい。
いや、胃腸がビックリしようにも、善玉菌がこの3週間で皆殺しになってしまい、荒野なのかもしれない。
次週はFinal Round。疾走を続ける我々激辛グルメ駅伝も最終区に入る。部活動のように毎週同じメンツが同じ時間に顔を合わせる企画も、これで最後。Finalはもう少し人数が増えそうな予感なので、楽勝で有終の美を飾りたい。「この世の中に激辛なんてものはねぇよ!」と高笑いしながら。
(つづく)
2018年09月13日(水) Final Round
たっぴぃ、のっちょ、のっちょ同僚、ゆうどん、おーま、おかでん(6名)
激辛グルメ祭りのFinal Roundが始まった。我々チームアワレみも、激辛グルメ駅伝チームとして最終区に出走だ。今回は最終区にふさわしく、途中出入りがあるものの、合計6名で激辛を体感することになった。
昨今の映画館では、「4DX」と称して座席が揺れたり、水しぶきが出るといった演出が行われるようになってきた。一方我々は、そういう要素に加えて「舌にクる刺激」が加わるので、「5DX」と言って過言ではあるまい。
タオル、ウェットティッシュなどを完備の上で、いざ現地へ。
驚かされたのが、明らかに会場内に人が多い、ということだ。
券売機に並ぶ人の列を見るだけで、これまでとは全然違う混みっぷりがわかる。
実際はそれぞれの屋台の店頭で電子マネー払いができるので、何らかの電子マネーを持っていればこの列に並ぶ必要はない。ここに並んでいる人はSuicaなどを持っていないのか、それとも初めての来場者で、「あ、食券をあらかじめ買っておかないといけないだな」と思い込んだ人かのどちらかだ。
なお、僕らは用意周到なので、きっちりローソンで前売り割引チケットを確保済みだ。
会場は激混み。
この日は、19時の段階で立ち席さえ空きがほとんどない状態だった。
相変わらず若い女性が多い。彼女たちが、どれだけガチの辛い料理を食べているのかは、よくわからない。僕らは100%男性グループだけど、無骨なまでに料理に夢中で、まったく周囲のことが目に入らなかったからだ。
激辛料理、というのはそれだけの魅力がある。見た目でワクワク、箸をつけてゾクゾク、食べてビリビリ。そして仲間の反応をソワソワしながら観察。一時たりとも、暇がない。
Final Roundのお店紹介。
唐辛子料理専門店 赤い壺
- 蒸しじゃがもち3種の唐辛子味
- 唐辛子やさんのじゃじゃ麺
- 壺の旨辛 豚ステーキ
激辛グルメ祭りの定番店舗のひとつ。改めて店名を見るとすごいな、「唐辛子料理専門店」というのがこの世の中で成り立つということにびっくり。しかも場所はオシャレな表参道だ。
こういう専門店は、地方都市では無理かもしれない。マニアックすぎて、商売として成り立つかどうか怪しい。東京ならではのお店だと思う。
表参道のお店だからといって、日和った料理を出しているわけではないようだ。体調が悪くなる人が出たため、現在では誓約書を書かないと注文できなくなった料理もメニューにあるという(ハバネロチヂミ)。「唐辛子料理専門店」の面目躍如だ。
なお、2018年9月には、近所に「にんにく料理専門店」の「白い壺」をオープンするとのこと。
インド料理 ソウルフードインディア
- ポークと野菜のカリー
- ミニタンドリーフライドチキン
- インドのスパイシーポテト
タイ料理 ソウルフードバンコク
- トムヤムヌードル
- 空心菜炒め
- パクチーサラダ
ラーメン 辛麺屋 一輪
- 辛麺(とんでもねぇ)
- 辛麺(10辛)
- とろとろ なんこつ
今年初出店。「とんでもねぇ」という辛さ表記は初めて見た。
タイ料理 アジアンタワン168
- ガパオライス
- パッタイ
- トムヤム唐揚げ
スペイン料理 スペインクラブ
- 情熱の激辛イベリコパエリア
- 太陽のポテトフライ 激辛生ハムソース付
- 太陽のポテトフライ 超辛生ハムソース温玉付
- 炎の海老アヒージョ スペイン産生ハム入り
料理名がいちいち凝っている。「辛い」という刺激に対して、どうしても日本人は「地獄」みたいなネガティブな表現を使いがちだ。しかしさすがスペインだ、「情熱」とか「太陽」、そして「炎」というスカッとした表現を当てはめてくるところが素敵。
しかし、スペイン料理にはもともと殆ど辛いものがないので、これらの料理はジャパニーズオリジナルだ。
中国四川料理 晴々飯店
- プレミアム麻婆豆腐
- 李姐(リーチェ)豆腐(グルメ祭りバージョン)
- 鮮椒鶏(シンジャオチー)
このお店も初参戦。
上野にあるお店だけど、以前僕はここを訪れたことがあり、記事にもしたことがある。
「リアル青椒肉絲」「リアル回鍋肉」という、なんともパワーみなぎる料理名を掲げるお店で、とても楽しかった。また訪れたいと思っていたけど、まさか激辛グルメ祭りに出店するとは。
とはいえ、このお店は激辛を売りにしているお店ではなかったと思うので、実際にはどれくらい辛いのやら。ちょっと不安ではある。
マレーシア料理 マレーシアアジアンクイジーン
- ナシゴレンサンバル
- ミーラクサ
- イカのサンバル焼き
さっそくこの時間にして、イカのサンバル焼きが売り切れていた。イカの仕入れが不調だったのか、それともイカばかり売れまくったのか。
韓国料理 ホルモン焼 幸永
- ホルモンミックス
- 激辛冷麺
- ユッケジャンラーメン
このお店は、辛さの選択が「1辛」「2辛」「MAX」となっている。何がどうなればMAXなのだろう。「お店として、これ以上はもう無理!」という辛さの限界なのか、それとも食べるお客さんの体調が限界、ということなのだろうか。どっちが正しいか、後でしっかり確認しなくちゃ。
そういえば今更気がついたのだけど、それぞれの屋台にはテイクアウト禁止の張り紙が貼ってあった。
屋外屋台イベントで「テイクアウト禁止」というのも変な話なのだが、これって主催者側から宣言できるものなのだろうか?飲食物を持ち込まれるのは、主催者としては商売の邪魔なのでやめてくれ、というのは理解できる。しかし、料理の持ち出しは阻止できるのだろうか。
保健所からの指導?でも、こういうのって自己責任だと思うんだけどねぇ。
昔、テイクアウト禁止の表示がない頃、僕は激辛料理を家に持ち帰っていたっけ。その頃は一人での全店舗制覇企画だったので、持ち帰らないと企画が終わらない、という状況だった。しかし今では、ありがたいことに仲間がいる。禁を破ってまでお持ち帰りをすることはなくなった。
(つづく)
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