第二区間 2022年09月07日(水)
激辛グルメを食べる以前に、おかでん家が激辛状態に。直前まで僕の参加が危ぶまれていた回だったけど、最終的には滑り込みセーフ。
今回の「第二区間」は、ゆうどんさん、かめぜろさん、おかでんの3名で目標を9店舗(この日出店しているお店全部)ということになった。
もともと毎月上旬の僕は超多忙で、深夜まで仕事をしているのが常となっている。それに加えて、弊息子タケが39.7度の発熱、その後手足口病で全身に発疹ができるという事態になり、通院やら看病やらシッターさんの手配やら、ドタバタしていた。
なにせこのご時世、うかつに発熱すると大変だ。単なる風邪であっても、そうでなくても、「発熱外来」扱いとなる。扱ってくれる病院に電話で予約し、運良く予約が取れればラッキー、取れなかったら明日の朝9時に再度挑戦、という展開になる。ここ数日、そういうバトルを勝ち抜いてきて、ようやく激辛グルメ祭りにたどり着けた。
本当は保育園帰りのタケを僕が背負い、いしも遅れて参戦の親子3人出走の予定だった。しかしこんな状態なのでタケといしは家にとどまり、僕だけが新宿にやってくることができた。
激辛グルメ祭りは、一度に9店舗が出店する。前回9月1日に訪問したときと比べ、7店舗が入れ替わって新しいお店になった。そしてこの9店舗は全て未食のお店だ。
今回、3名で構成されるオフ会となったため、「一人あたり3店舗の料理を買い集めてくる」という役割分担になった。どのお店を担当し、どの料理をどの辛さで指定して買ってくるかは各自の判断となる。
なので、それぞれのお店で一番辛い料理が集結する、というわけではない。担当する人の裁量次第だ。
むしろ、「この料理は辛くしないでちゃんと味わって食べたいな。」という料理があれば、率先して「私はこのお店を担当します!」と名乗りを上げたほうがいい。
この日は大気が不安定で、雨が降ったり止んだりだった。
気温はそれほど高くないものの、湿度が高い。辛いものを食べたら汗が肌にまとわりつく感じがする。
暑い時こそ辛いものを食べて汗をかいてスッキリ、というけれど、理想としては「暑いけれど、湿度が低い」状態がいい。
そんな雨のせいもあってか、夕方なのに客席はかなり空いていた。こんな激辛グルメ祭りを見るのはめったにない(前回はお営業開始直後の訪問だったので、客が少なくて当然だった)。
ぐるっと客の様子を見渡すと、相変わらず女性比率が高い客層だということがわかる。しかも比較的若くて、スタイルが良くてきれいな人が多い印象がある。ジロジロ見ているわけではないのでざっくりした印象だけど。
たぶん、「激辛」を好む人というのは、何らかの特性があるんだと思う。食生活とか性格とか生まれ育ちとか。
カップルもいるけれど、女性同士で激辛を楽しんでいる様子があちこちで見られた。そして、お酒で宴会をやっているというより、ソフトドリンクでお食事会をやっている。なんだろう?昔ってこうだったっけ?
たぶん、コロナでテレワークが増えた影響はここにも出ているんじゃなかろうか。「会社帰りに、職場同僚たちでわーっと盛り上がりに来ました!」というグループは少しいたけど、目立たなかった。雨の日だから、という理由だけではなさそうだ。
実際、僕だって昔は職場の同僚を募ってこの地で激辛料理を食べていた。でも今じゃ、そういう発想すら思い浮かばない。コロナも丸2年が経過すると、物ごとの思考回路がすっかり変わってしまう。
先程、「きれいな人が多い印象」と書いたけど、おそらくその理由は「激辛料理を前に、ウキウキして笑顔をみせている」からでもあると思う。言うまでもなく、男女を問わず笑顔の人はきれいだ。
そうか、料理を食べるって、こんなに楽しいことだったんだ!・・・と今更思い出した。いやマジで。
最近はすっかり個食だとか黙食だとか、毎度同じの家族だけでの食事とか、「ワクワク!ドキドキ!」という会食がなくなっていたし、見かける機会がなかった。それがこの場ではわんさかいる。みんな、本当に楽しそうだ。「辛かったらどうしよう」というソワソワ、「わあ!やっぱり辛かった!」という悶絶、すべてがエンターテイメントだ。
ちなみに、僕にとって「わいわい盛り上がっている会食」を見かける機会そのものは結構ある。上野アメ横近くが飲み屋の無法地帯みたいになっているけれど、そこで昼から飲んでいる男女の横を自転車でシューッと通り抜けるからだ。でもあの人達は酔っ払うのが主目的なので、どっちかというとまったりとしている。「ワクワク!」という笑顔ではない。
みんなで手分けして買ってきた、9店舗の料理。9品。
いやあ、嬉しいなあ。こうやって9品がずらっと並ぶ光景をまた拝むことができるなんて。
「おっ、なんだこれは?」「コイツぁ辛そうだ」
などと、気になるものがいっぱいだ。そしてそれが視野の中に一発で収まっている、というのがいい。
あと、みんなで手分けをして買ってくるので、「自分なら選ばないであろう料理」がある、というのも新鮮だ。
今回のダークホースは、スペインクラブの「スペイン風フレンチトースト 2種のアイス添え(激辛)」だ。写真左上。
アイスが激辛料理として登場するのは珍しいことだけど、僕あったら同じお店で「シーフードパエリア(鬼辛)」を選んだと思う。だって「鬼辛」だから。でも今回、自分で買わなかったからこそ、「激辛でフレンチトースト+アイスってどういうことだ?」という謎に挑める。
みんなの協力あってこそのことだ。本当に参加してくれて、ありがたい。
今からでも遅くないので、興味がある人はこの後控えている第三区間(9/14)以降にエントリーを、ぜひ。激辛料理をちょっとずつたくさんの種類食べられる、というメリットがあるイベントなので!
8店舗目 俺のラーメンこうた
「俺のフレンチ」系列のお店・・・ではなかった。たまたまこういう名前のお店だ。
「辛いラーメン」というのは珍しくない。たぶん、激辛がはやる前から味噌ラーメンに「ピリ辛」オプションを+50円程度でつけられるメニューを持つお店が多かったはずだ。味噌ラーメン=北海道ラーメンというイメージが強かった時代もあって、アイヌ語の「オロチョン(勇敢な)」から辛い味噌ラーメンのことを「オロチョンラーメン」と呼ぶお店もある。
汁物だし、料理を辛くするのは比較的容易だろう。つゆに唐辛子を大量に入れれば、ひとまず辛くなるし。最初に食べるには、胃袋へのご挨拶としてちょうど良いだろう。・・・そう思って、このお店でラーメンを買った。
でも、なにやら「ピリ辛」な気配がしない。だって、料理名が「灼熱RED」だぞ。これは、ライトユーザーに向けたネーミングではない。「辛いぞ。容赦しないからな?」という名前だ。
辛さは「中辛」と「激辛」が選べる。灼熱でREDなんだけど、辛さの指定があるのか。
札幌にある実際のお店では、辛さが「へたれ・辛・激・獄・鬼・呪・死」から選べるらしい。ああ、これだけ選択肢が用意されているということは、「呪」とか「死」になると本気でやばいんだろうな。
今回買った「激辛」が実店舗のどの辛さに該当するのかは、わからない。
ラーメンの見た目は、粉唐辛子がやや多めにかかった、普通の辛味噌ラーメンだ。とくにどす黒いスープでもないし、普通に見える。
ただ、ラーメンを買ってから食べるまで時間が経ってしまったので、麺がスープをしこたますっている。もしスープが辛いならば、というか辛いに決まってるんだけど、麺を食べたらむせるパターンかもしれない。
みんなで麺をとりわけ、食べる。
3人のうち2人は料理を自分の取皿に取り分け、最後の一人は残った料理を皿ごといただく。昔から僕らがやってきた流儀だ。
この際、人気料理の場合は最後の人は自分の取り分が少なくなっているし、不人気料理の場合はやや量が多めに残っている。不人気でなくとも、みんな後続の人に遠慮して少量しかとらないので、結果的に最後の人が一番多く食べることが多い。
さっそくこのラーメンも「最後の人が多めになる」という展開となり、「スープ!せめてスープをみなさん持っていってください!」と残りの2人にスープを注いで回っていた。そう、この料理の場合、激辛の本丸は麺じゃない、スープだ。
食べてみて、お互いの顔色を伺う。まるでトランプでババ抜きをやる時のようだ。
「辛い?」
「いや、いけますね」
「うん、そんなに辛くはないですね」
なんだ、やっぱり大したことなかったか。みんな「大したことはない」という。今日の一発目としてはちょうどいいスタートだ。
「?いや、違う、やっぱり辛いですよ、これ」
「ああ、たしかに!辛い!」
辛さというのは、時間差でジワってくることがある。これがまさにそう。麺をもぐもぐやっている間、「小麦の甘さを感じますね」なんて呑気なことを言っていたのに、食べているうちに痛みがゆっくりと鎌首をもたげてきた。
激辛、というジャンルの面白いのはこういうことだ。鋭い痛み、鈍い痛み、喉の痛み、舌の痛み、キレの良い痛み、長く続く痛み・・・なんだ、全部痛いんじゃないか。僕らマゾだな。
9店舗目 スペインクラブ
このお店、まだ僕が若手社員と呼ばれていた頃にコンパとかで使われていた場所だ。超巨大鍋でパエリアを作り、店員さんがその鍋を各テーブルに見せびらかして「いる人?」とオーダーをとって回るスタイルが印象的だ。でも、激辛料理ってやってたっけなぁ?覚えていない。
しかも、店頭には場違いな「アイスクリーム」ののぼりが出ている。奇抜だ。
スペイン風フレンチトースト2種のアイス添え(激辛)。
「どっちが辛いんですかね?フレンチトースト?それともアイス?」
「フレンチトーストですかねぇ」
見た目だけでは全然わからない。アイスクリームが辛いわけないとして、肝心のフレンチトーストに辛さの気迫が余り感じられない。なんだこれは?これで「激辛」なのか?
「さすがにアイスが辛いってことはないでしょう。冷たいものは味覚が感じにくいですし」
僕がイメージしたのは、「アイスクリームやジュースには大量の砂糖が入っている」ということだ。理論的には冷たいものを辛くすることは可能だろうが、食べる人がどこまでそれを感知できるのだろうか?
というわけで、きっと「すっげえ辛いフレンチトーストなので、アイスクリームで時折辛さを中和しながら食べてくださいね」という親心なのだろう。それにしてはアイスクリームがやけに存在感を主張しているけれど。
フレンチトーストを食べる一同。
「んー、これも・・・」
普通ですね、というニュアンスのコメントをする一同。シナモンの風味はしっかりするけれど、辛さはそこまで感じないような気がする。
「気がする」と表現が曖昧なのは、さっき食べたラーメンの余韻がまだ残っているからだ。純粋にこの料理が辛いのかどうか、もはや2店舗目にしてわけがわからなくなっている。
「いや、表面が何か辛いですよ」
などと言いながらアイスクリームにも手を出した我々は、そこで「!」とびっくりする。
「このアイス、辛いぞ!」
油断していた。辛いアイスってあり得るのか!
「何が辛いんです?白い方?茶色い方?」
もはやわけがわからない。何しろ、3人でシェアして食べているので、一人ひとりの皿はぐちゃぐちゃしている。料理を因数分解して分析するなんて、できなくなっていた。
「たぶん、どっちも辛いです!」
まあ、そうだろうな。ここで、「このアイスだけは辛くないんです」なんて配慮をするわけがない。このお店、恐るべきことに2種類のアイスも、フレンチトーストも、全部辛くしてきたぞ!
フレンチトースト+アイスクリーム、というデザート的なものを食べた直後だというのに、若干顔がひきつっている3人。せっかくなので記念撮影。
僕の顔色が若干青ざめているように見える。たぶんこれ、辛いものを食べたせいで血液が胃袋周辺に集中しているからだと思う。そして、辛さに耐えるために、こめかみに青筋が浮いている。いやあ、生きるって大変だ。
そういう当たり前のことを実感できるのも、こういうイベントでみんなとご飯が食べられるからだ。一人で激辛料理を食べるよりも、「辛い!」「あ、やっぱり?」「いや、私はそれほどでも」とやりとりをしながら食べるほうがはるかに楽しい。
(つづく)
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