激辛グルメ駅伝2022

第3区間 2022年09月14日(水)

全6回の企画のうち、ちょうど半分にあたるのが3回目の今日、9月14日。

僕の足取りは重たかった。

参加表明をしてくれる人が誰もいなかった。おかでん一人で挑むしかない。

「激辛グルメ祭り」で出店期間満了につき閉店となるお店は次々と現れる。「また今度ね」というわけにはいかない事情がこの企画にはある。

この日をもって卒業するお店は1店舗。たかが1店舗だけど、針のひと指しだ。風船に針がたった一発当たっただけで、風船は弾ける。それと一緒で、この企画は腰砕けになる。だって、「42店舗全部食べる!」なんて意気込み、虚勢というか若気の至り以外の何者でもない。

何かのきっかけで「全店舗食べることが不可能になった」時点で一気に熱が冷め、「じゃあもう後はいいや」という展開になるのは目に見えている。

家や職場のご近所の公園で開催しているわけではない。わざわざ出かけて、かなりの出費をしてこの企画を進めている。止める理由が見つかれば、あとはあっけないものだ。

でもそれは残念なことだ。来年はともかく、少なくとも今年は「やる」と言った以上、ちゃんとやろうと思う。つまり、身体と時間が許す限り、42店舗完全制覇だ。そして有終の美を飾りたい。

第一区間に続いて、今回も参加表明者ゼロ。オフ会の体(てい)をなしていないので、一体僕は何のためにやっているのか?とつくづく疑問に感じる。

でも振り返れば、この企画の第一回目となる2013年のときはオフ会ではなかった。ただ単に僕が「9店舗の激辛屋台が出店するイベント?面白そうだ、その気になれば全店舗僕一人で食べられるんじゃないか。じゃあやってみるか」と思って実行したものだ。

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その初心に立ち返り、また一人で黙々と食べて行きゃあいいんだよ。今回は42店舗と規模が大きいけど。で、たまに「助っ人」となる方が参加してくれれば御の字だ。助っ人前提のオフ会形式にして、「人が集まらないなぁ」なんて言っているのはもうやめたほうがいい。

このご時世、個人ブログを読んでいる人自体が絶滅危惧種だし、オフ会なるものに参加するのは胡散臭いし、通好みの「激辛」企画だし、コロナだし。人が集まらないという前提でものを考えないと。

足取りが重たかったのは、僕自身の気分の問題というよりも、物理的な問題があったからだ。

先週弊息子タケが罹患して寝込んでいた手足口病が、一週間の時間差を経て父親の僕に伝染したからだ。

一般的には「大人は免疫を持っているのでかかりにくい」とされているけれど、「かからない」と「かかりにくい」の狭間に僕はスポッとはまってしまったらしい。1日発熱、もう1日熱が乱高下した翌日の今日は、いよいよ手足に発疹が出てきはじめた。手足口病という名の由来だ。

写真は、赤いポツポツができている手を撮影したものだが、この時点では「これがおそらくMAXだろう」と思っていた。なにせ、この程度でも指がむくんでいるし痛いしで、手を握るのが困難だ。小指の付け根が腫れているのがわかるだろうか?単にデブの指だから、じゃないぞ。

こうなると物は持てない、握れない、つかめない、引っ張れない。できないことはないのだけれど、かなり痛い。

同じことが足の裏にも起き始めていて、歩くのがつらい。そもそも歩き始める前の、「靴を履く」時点で悲鳴が出る。

今はまだ発疹だからいい。これが水疱になって、破れて潰瘍になるともっと悲惨だ。そうならないように慎重にケアをしていくしかない。ケアといってもこのウイルス性の感染症は原因療法がない。対処療法で自然治癒を待つしか方法がない。

僕の場合、この日の朝内科に行って、鎮痛用の飲み薬と、塗り薬が処方された。それくらいしかやりようがないのだった。なにしろ、熱はもう下がっているし、鼻水も咳もない。かぜ薬でさえ無意味だ。

なお、「これがMAXだろう」と思って撮った手のひらだけど、この翌日となる9/15時点で症状が数十倍悪化している。看護師の知人が僕の手を見ていわく、「症例紹介の写真として参考書に使える」と言ったくらいひどい。

そんな状態の中でも、「今日・・・出店終了となるお店があるからには・・・せめてその1店舗だけでも・・・お持ち帰りできるならばお持ち帰りにしてでも・・・」と足を引きずりながら現地に向かっている。

通常なら、「しょうもないことにここまでこだわる俺カッケー」くらいに考え、薄ら笑いを浮かべつつ苦難に取り組んでいく僕だ。しかしさすがに今回はそんな気がまったく起きなかった。真剣にこれまでの人生とこれからの人生について考えたし、こういう企画を今後続けていくことに対する疑念を強く抱いた。

手足口病はまさに手足口に発疹・水疱・口内炎ができる病気だけれど、特に問題になるのが口内炎がひどくて飲食ができなくなることだ。水すら飲めなくなって脱水症状で病院搬送、ということさえある。

そういえば数日前、顔なじみの耳鼻咽喉科の先生が「あたしンとこに先日、大人で手足口病で脱水症状になった人が来たわよ」と言ってたっけ。歯茎に潰瘍ができて、激痛でまったく飲み食いできなくなったんだそうだ。痛いのがイヤな子どもならまだしも、分別がある大人でさえ脱水になってしまうくらいの激痛。大変だ。

幸い僕はそこまでひどい口内炎は起きなかったけれど、月曜日と火曜日はやっぱり飲食に問題があった。トーストは案外トゲトゲしているので飲み込むと痛い。あと、チョコレートは激痛。カカオ72%だと喉に粘りついて、それが患部に染みるらしい。もっとカカオ純度が高いチョコレートだと激辛を食べる以上のダメージを喉に負わせることができるだろう。

あと、炭酸水系はもちろん駄目だった。大好きなノンアルコールビールでさえぜんぜんはかどらない。・・・というより、缶のプルタブが開けられなくなった。指が痛いからだ。

新宿駅前をトボトボ歩いていると、普段見えていなかったものを見ることになる。

あ、いっとき話題になった、「看板から猫が飛び出してくるようなアニメーションの立体看板」ってスタジオアルタのすぐ近くにあったんだな。実物を初めて見た。

この看板が各種メディアを賑わせたとき、掲載された写真を見てビビったものだ。「えっ、この猫って立体のハリボテじゃないの?ホログラムでもないの?単に2Dのスクリーンに投影しているだけでこんなことが!?」と。

しかし、いざ実物を見ると、思ったよりも「画面」だった。ワクワクして見に行った結果「なんだこの程度か」とがっかりしたわけじゃない。たまたま発見したのでワクワクも何もない素の状態で見て、「なんだ画面だ」と感じたので、実際そうなのだろう。

僕が撮影した写真だと、画面にモアレ(干渉縞)が写ってしまい、より一層画面っぽくなってしまった。

新宿駅から歌舞伎町に向かう道の入口に、見慣れない屋台街がある。あれ・・・ここ、「百果園」という老舗の果物屋さんがあったのに。

コロナで一時閉店したという噂は耳にしていたけど、いつのまにこんな屋台村になっていたんだ?しかも、まるで「10年以上ここでやってます」感があるような、汚れ感のあるひさし。

どうやら、わざとレトロっぽい雰囲気をだしているっぽい。最近の店鋪デザインというのはすごいな、新宿駅前の一等地で、わざわざこういうくたびれた外観を採用する度胸と勝算。最近僕は酒を飲まないので事情に疎いけれど、飲酒愛好家の方々にとってはこういうお店のほうがざっくばらんで安く飲める店、と好印象になるのだろうか。

激辛グルメ祭りの会場、1週間ぶり3度目の訪問。

入口には、日清食品製の「爆裂辛麺」という袋麺が試供品としてお持ち帰りできるようになっていた。

もちろん持って帰ろうとしたのだけど、この写真を撮影して満足してしまい、もらいそびれてしまった。身体に不調があるときって、たとえ外科系や皮膚系の症状だとしても脳の回転が鈍くなるものだ。今日がまさにそうで、イージーミスを連発している。

こんな日に車の運転はしちゃだめだ。

今日出店しているのは7店鋪。過去、このイベントで9店鋪出揃っていない日ってあっただろうか?なかったかもしれないのでちょっと新鮮。

全店鋪、先週のオフ会のときとは違うお店だ。どれを食べたっていい。でも、最優先課題なのは、今日で出店が終わるとなる「シモキタ シュリンプ」だ。

※出店スケジュールは僕がスプレッドシートにまとめた一覧表があるのでそちらをご覧ください。

それだけじゃない。明日には「チュクミドサ」「OKINAWAN BAR MAMI-ANA」が終了なので、これも食べておかないと間に合わない。明日またここに来るならともかく。

それを言い出すと、来週水曜日までにはこの7店鋪ぜんぶが終了してしまう。一週間に二度以上訪問する予定がない以上、今日今ここで7店鋪ぜんぶ買わないといけなくなる。

憂鬱でしかない。無理だ。

できることなら、今日は1品程度「おつきあい」で食べるだけにして、残りはお持ち帰りにしたい。「第一区間」のときは、「3店鋪分を現地で食べて、4店鋪分をお持ち帰りにして食べる」という好連携ができた。今日は果たしてどこまでお持ち帰りができるだろうか?仮にお持ち帰りできたとしても、出費がとんでもないことになる。

なんでここまでしているんだ、僕は。

今日何度目になるのかわからない自問自答をする。身体が弱っている分、精神も弱っている。

いや違う、精神が弱っているんじゃない。ごくごく当たり前のことにようやく気がついているんだ。

明日から営業を開始する、TRATTORIA BUBUのブース。

すでに準備は万端らしい。前日であっても、事前セッティングや仕込みでスタッフが慌ただしく動いていることはなかった。

今回の激辛グルメ祭りはお店ごとにバラバラな出店タイミングで、規則性が乏しい。なので、僕みたいな全店舗食べ歩きを目論んでいる人にとってはパズルみたいで困惑させられるのだが、「前のお店が退店、中一日空けて次のお店が出店」となるのだとばかり思っていた。

しかしスケジュール表を自分で作って確認してみると、「中2日で次のお店にバトンタッチ」だったり、「今日は会場全体で6店舗しか出店していない日」があったり、ばらつきがある。トリッキーだ。

この日、現地で食べる用に買った食べ物はこの3種類。

できるだけ持ち帰りにしたかった・・・。しかし、ざっと見た限り、テイクアウトできる蓋つき容器で料理を提供しているお店が見当たらない。何の嫌がらせか?と思うくらい、どのお店も平皿を使っていたり、そもそもテイクアウトに向かない汁物だったりする。

「しまった、ジップロックを持ってくればよかった。せめて、ラップさえあれば・・・」

と後悔する。ぼんやりしていて、そういう発想が思いつかなかった。病院に行くことに気を取られていたからだ。

でも果たして、お持ち帰りはOKなのだろうかどうなのだろうか?今シーズン3度目の訪問となる今日だけど、これまで1度も「食べ物のお持ち帰りは禁止」という警告は見ていないし、注意喚起のアナウンスが放送されることもない。実際僕は1回目のときに、蓋つき容器に入った料理を4品お持ち帰りしている。

では、平皿に盛られた料理を持参したジップロックに詰め替え、持ち帰るのはどうだろうか?

お金をはらった料理を持ち帰るという行為は自己責任の話なので、たとえ主催者であってもそれを禁止はできないだろう。とはいえ、こうやって食べた結果をブログに書いて公開する立場となると話は別だ。「ひっそり自家消費しました」とわけが違う。

職安通りにある「ドン・キホーテ」でジップロックを買ってこようか?とも思ったが(徒歩数分)、いまんとこ踏みとどまった。

17店舗目 シモキタ シュリンプ

このお店が今日限りだったので、痛い手足を引きずって、爆弾を抱えた喉を心配しながらここまでやってきたわけだ。ええと、どうしよう。

「わさび海老マヨ」と「激辛海老チリ」の2種類がある。

わさびのほうはちょっと珍しい。でも、「ツン辛」なんだそうだ。「ツン辛」か「激辛」かと問われたら、体調そっちのけで「激辛のほうで!」と言ってしまうのが相変わらずの僕の性分だ。ケツが青すぎる。幼児がよくかかる手足口病に今更かかるのはそういう理由なのか。

でも、「ツン辛」というのが喉にどういうダメージを与えるのかわからず、恐怖心があったのも事実だ。

おそらく鼻にカーンとくるのだろう。わさびが喉を灼くという体験はあまり記憶にない。あと、そもそもエビマヨなのでわさびの辛さはマイルドに決まってる。きっと大丈夫なんだろうけど・・・もしあの刺激が間違って喉にきたら、と思うとゾッとしてしまう。なにせまだ僕の喉は病んでいる最中だ。

3店舗料理を買ったけど、1店舗目の料理にして「もうこの後、何も食べられません・・・」となるかもしれない。

そんな悲壮な覚悟を背負いつつの、食事。大げさでもなんでもなく、それくらいの腹積もりだ。

海老はフリッター状になっていて、それ自体が辛いわけではない。辛いのは上にかけられている、ケチャップのふりをしたソースだ。

これは御しやすいといえば御しやすい。何を食べてもどこを食べても辛い、という食べ物の場合、逃げ場がないからだ。しかもよく咀嚼しないと飲み込めない食材ならなおさら。

その点これは「辛いところと辛くないところ」が分かれているし、やばくなったらエイヤッと一気に嚥下してしまえばいい。

「うん、思ったよりもイケる。これはうまい。そして今日はなんとかなりそうだぞ」

と喜びながら、まずこの最初となる1皿を平らげる。今更だけど、海老って美味いよなあ。

この日、僕がピンク色のシャツを着ているのは、皮膚のあちこちに赤い発疹が出始めているから、それをごまかすためだ。まだ半袖を着ていたい陽気だったけど、長袖、しかもピンク色を着てごまかす。最近、梅毒が再流行の兆し・・・とニュースで報じられていた。梅毒も「バラ疹」と呼ばれる発疹症状が出るので紛らわしい。

いや僕、たぶん梅毒じゃないと思うんですよね。思い当たる節が何一つないから。

と、歌舞伎町のラブホ街すぐ近くで挙動不審&目が泳ぐ僕。

(つづく)

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