3軒目:斉藤水産@築地場外

さりげなく牡蠣を食べてみたいものだ。通りすがりの店頭に牡蠣が売られているのを見かけて、「しょうがないな、軽く味見でもしてやっか」とつぶやきながら、しかめっ面で財布をもぞもぞと取り出す。「さほど興味はないんだけど、ま、小腹も空いてるし」程度の扱いをしてみたいものだ。毎回毎回、「うわあ、牡蠣だ!」なんて、なんだか悔しい。
そんなことを考えながら築地場外を歩いていたら、まさにおあつらえ向きのお店を発見。斉藤水産、という。
築地はすっかり観光地と化してしまっている。特に場外は顕著で、昔は昼にもなりゃ営業しているお店が随分と減ったものだが、今では夜になっても営業しているお店が結構ある。そして、買い食いができるお店ががぜん増えた。練り物、卵焼き、串焼き・・・。もはや築地はプロだけの街ではない。


そんなわけで、斉藤水産は店頭で生牡蠣を売っている。殻をむいて、既に爪楊枝が刺してある状態で。まさに「衝動買いの買い食い」にはうってつけだ。これなら、こちらが望む「さりげなく、牡蠣を。」が実現できる。
というわけで、慌ててみっともなく財布を厚着の中から探す。全然さりげなくない。
牡蠣は200円、300円、400円と3種類用意されている。種類や産地が違うというよりも、大きさの違いによるもののようだが、店員さんに確認はとっていない。
しげしげと眺め、つい真ん中の値段である300円のやつを選んでしまった。こういう「とっさのチョイス」が小市民的発想なので、つくづく自分がイヤだ。でも、そんなイヤな気分を振り払う、まったりと濃厚な牡蠣の味よ。ああ、ええのう。
雪が降る空の下、早朝から生牡蠣を食べる。悪くない朝食だ。

以前訪れた「やじ満」の前を通り過ぎたら、「申し訳ございません 今季カキらーめん完売致しました。」の札が下がっていた。まじで?まだ2月14日なんだけど。もう終わり?
雪が降ってるのになあ、と思わず空を見上げてしまった。ちなみにこの後、雪はガンガン降り積もり、記録的豪雪として都内の交通機関を麻痺させてしまったのだった。
4軒目:麺や佐市@錦糸町

錦糸町に住む友人に、錦糸町界隈で美味しいお店というのをいくつも教えて貰った。カレー、ピザ、トンカツ、ミシュラン一つ星の焼き鳥・・・。
そんな中の一つとして、薦められたのが麺や佐市というラーメン屋。


うおおお。牡蠣拉麺美味しいです。なんなのこれ。築地場内のやじ満で食べたカキらーめんとは全く別物だ。あっちはタンメンに磯の風味が加わりました、という風情だけど、こっちの濃厚なスープはどうだ。磯臭さが強くてうんざりとかじゃないんだよ、スープがとにかくうまい。なんだこれ?
「さすが化学調味料を有効活用すると味が引き立つな」
と思ったが、このお店は無化調ラーメンのお店だった。まじか。サイエンスな力を借りなくてもこんなにうまみぎっしりのラーメンが作れてしまうのか。驚くやら嘆息するやら。
しじみの味噌汁のように、貝はダシをとるためだけのものです、なので具として入っていてももぬけの殻状態っす、というのとは違う。牡蠣自体がプルプル。ああ、しみじみうまいなこれは。
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