このバーベキューが行われたのは9月1日。ちょうど新サンマが出回り始めた頃であり、買い出しをしたマルエツでも取り扱いがあった。この年は、目黒のさんま祭りが開催できないんじゃないか？と危惧されるくらい、サンマの水揚げが遅れており大変にやきもきさせられたが結果的に間に合ってよかった。もう、自分の中では「サンマを焼く」ということは規定路線だったから。もしこれでサンマが手に入らなかったら、ハタハタかシシャモになってるところだった。それはちょっと寂しい。
よこさんが我慢できなくなって途中でサンマをひっくり返し、案の定皮が網にひっついていたためにベリッとはがれ、「あー」という残念な声が上がった。
サンマ苦いかしょっぱいか。
サンマを食べながら、「そろそろ秋だねえ」と語り合う。秋もなにも、今日の天気はカンカン照りで、猛暑の部類だったんだけど。ただなんとなく。やっぱり、エアコンが効いたお店の中で食べるのとは風情が違う。季節の移ろいをどうしても敏感に(大げさに)感じ取ってしまう。「旬のものを積極的に食べよう」とはよく言われるが、その旬の食べ物を屋外で食べると、充実感倍増だと思う。
それにしても我々はよく食べる。よく考えれば、一人一匹サンマを用意する必要なんてなかった。二人で一匹でもよかったのだけど、さも当然のように一人一匹を買い求め、焼き、そして平らげた。なんなら、これにご飯とお味噌汁があったら焼き魚定食のできあがりだ。これとは別に肉と野菜をあれこれ食べているわけで、よくやるよと(後になってから)思う。
サンマタイムが終わったのち、何事もなかったかのようにまた肉と野菜を焼く。サンマはメインイベンターとして最後に取っておいてもよかったのだけど、それでうっかり満腹になって食べられなかった始末に負えない。生ものなので、家に持って帰るのはお互いイヤだし。そんなわけで、中継ぎとしてご登場願った次第。
焼肉タイム後半戦は、キャベツも大量に投入された。ヤギじゃないんだからこんなに食べなくても、と思うけど、なにせ二人で1/4玉だ。余ったらお持ち帰りの荷物が増える。できれば胃袋の中に収めてしまいたいところだ。太るとかこの際、どうでもいい。「余った食材をお持ち帰りにする」ことがなんだかとても悔しく、それを回避するためなら体重なんて二の次だ。
沢山の人とバーベキューをやったら、「余った食材はどうせ誰か持って帰るだろう」と他人任せな考えができる。しかし今回はたった二人だ、自分か、相手か、どっちかがお持ち帰りすることになる。確率1/2。そりゃあ、真剣になって食べ残さないよう頑張るに決まってる。
「シメに焼きそば」だなんて、一体だれが定着させたんだろうね。
焼きそばが食べたくて仕方がないってことは全く無いんだけど、バーベキューのシメとして定番化し、記号化している存在が焼きそば。余った野菜や肉を投入して在庫一掃できる、というメリットがあるからだろう。
ところでアメリカ人がバーベキューやる時って、「シメ」という概念は・・・多分ないよな。ひたすら最後まで肉食って終わりか。
で、今回のレンタルコンロには鉄板がついていたので、必然的に「焼きそばを焼くんだよね、やっぱり」ということになった。なんか、「旨い物を屋外で食べよう」というよりも、僕ら二人は「バーベキューという行為をまねごとしよう」という気持ちの方が強かったのかもしれない。バーベキューという文法に則って、素直に焼きそばを焼く。
とはいっても、焼きそばシメ文法をそのままトレースするのも悔しいので、肉の代わりにイカを入れるということでささやかな抵抗をば。肉が余ってたらどうするつもりだったんだ、と思うが幸い肉を全部食べきっていたのでその点は問題がなかった。結局なんやかんやで、食材の買い出しは適度なバランス感覚で成り立ったようだ。まあ、二人揃って健啖家だったからな。
というわけでできあがったシーフード焼きそば。おいやり過ぎだぞ、「二人で」「シメに」食べる量ではない。しかも一人は女性だ。
「まいったなあ、でも余らせるわけにはいかんしなあ」
とニヤニヤしながら食べる。結局、腹一杯食べることの罪悪感をごまかすために「余っちゃいけないから」という口実を使う二人だった。余るもなにも、最初から食材を多めに買っている時点で確信犯なのだが。
食事が一段落したところで、周囲を見渡す。どこのサイトも大勢の人でパーティーをやっていて楽しそうだ。でも、こっちはたった二人で、それはそれでだらけていてよかった。
そのもう一人のよこさんは、軽くお酒が入ったこともあってディレクターズチェアにもたれかかってお昼寝を始めた。僕はぼんやりとそよ風を感じつつまったりした時間を過ごした。
本当なら、舎人公園をお散歩したかったのだけど・・・おなかがいっぱいすぎて、全然動けなかったんじゃあああ。
それにしても舎人公園、案外な穴場だった。都心から思ったより近かったし、スーパーも徒歩圏内にある。これからも年に一回程度、ここでバーベキューが出来ればよいな、と思った。
(2013.09.01)
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