芋煮会2014

ラティースにベーコンを編む

機材のセッティングが済んだところで、各自手分けして作業を開始する。男性陣は炭火おこしと鍋の準備。女性陣は本日の目玉企画の一つ、「ベーコン・エクスプロージョン」作りに取りかかった。

「ベーコン・エクスプロージョン」とは何か。「ベーコン大爆発」とも言われるこの奇妙な料理は、前回のバーベキューで「キャベツ大爆発」を作った縁で教えてもらった。「アメリカ人は何故デブなのか」という素朴な疑問に素直に答える、見るからにハイカロリー、見るからに健康に悪そうな料理、それが「ベーコン・エクスプロージョン」だ。

端的に言うと、イタリアンソーセージのミンチを網目状に組んだベーコンで包み、オーブン焼きにしたもの。ラグビーボール大の塊を作ると、それだけで5,000kcalくらいにはなるという、脂肪の化け物だ。な?聞いただけでワクワクしてくるだろ?少なくともオレはワクワクしてソワソワした。

こんなん、一人暮らしの自宅で作るのはばかげている。誰が好きこのんで、こんな不健康なものを作るものか。でも、イベントのネタとしてこれほど素敵なものはない。危ない橋はみんなで渡ろうぜ、ってことで今回作ることにした。ちょうど、「芋煮食べておしまい、というだけじゃ物足りないよね。鍋の片隅で、何か軽くあぶりたいよね」と思っていたところなので、渡りに船だった。

とはいっても、「何か軽く」あぶるという代物ではない、というのはこの料理のコンセプトからしてそうだ。しかも、オーブンがないのでホイル包みにして焼くことになるので、できあがるまで軽く1時間はかかる。鍋が煮えるまでの前座としての食べ物が期待されていたのだけど、むしろ逆だ。鍋を食べた後に登場することになりそうだ。

「本当に食べられるのかな?」

という不安の声が挙がったが、

「大丈夫、ジップロック持ってきてる」

という解決になっているようななっていないような回答でその場はスルーした。何だろうな、この食い地獄に向けてカウントダウンする際の高揚感ったら。

ベーコンやり直し

ベーコン・エクスプロージョンの外側であるベーコンは、「ラティース」と呼ばれる編み込み方をするらしい。アップルパイなどで格子状に生地が形取られてる、あれが「ラティース」。しかし、こんなことやったことがない我々は困惑。まるでパズルをやるかのように、ベーコンをぺたぺた触りながら上へ下へと編んでいた。

しばらく編んだところで、おやびんが一言。「うーん、やり直し」。どうも編み目が気に入らなかったようだ。もっとミッチミチに詰めたほうがよろしかろう、ということでいったんベーコンはバラされ、再度編み直しとなった。

具の下ごしらえ

さかのぼること12時間前、僕は自宅で一人ベーコン・エクスプロージョンの下ごしらえをしていた。何しろ、見たことも食べたこともない料理だ。一体どんな味になれば正解なのかすらわからない。

「とりあえず適当に作ってみるか。」

食べさせられる側からしたら「おいおい勘弁してくれ」と言ってしまうような独り言をつぶやいたのち、作業に取りかかる。

ベーコン・エクスプロージョンはまだ歴史の浅い食べ物だ。日本にその概念が持ち込まれてからは特に日が浅く、日本語レシピは少ない。その少ない中にも、「ヘルシーなベーコン・エクスプロージョン」というワクワクしないものも含まれているので、どの情報を参考にすれば良いのか、よくわからなかった。なので、適当。

用意した食材は、豚挽肉500g、玉ねぎ1個、にんにく2かけ、玉子1個、とろけるチーズ少々、パン粉カップ1、塩、ブラックペッパー、セージ、パセリ、レモン塩。

ベーコン・エクスプロージョンの中身をボウルに入れる

それらを適当にボウルにぶち込み、練る。どれくらいここで味付けをすればいいのか、よくわからないので塩なんてのは適当だ。なにせ、この後外側に塩っ気があるベーコンがくるのだし、さらにソースもかける。高カロリー料理というだけなら笑って食べることができるけど、塩味キツすぎて口に入れるのが大変、となったら食べる以前の話だ。

これがベーコン・エクスプロージョンの「あん」

粘りがでるまで練ったところで、ジップロックに詰めて冷蔵庫に安置しておいた。これを当日、現地に持ち込んだ。

RUB用の調味料

あと、事前準備として「ラブ」を作っておく必要があった。「ラブ(RUB)」とは、肉の下ごしらえの際に使う調味料のことだ。ベーコンに既に味がついてるわけだし、必要なのか?とよくわからなかったのだが、わからないときはやっちまえ、というのが正解。過剰であればあるほど、楽しいのだから。

ってなわけで、人生初のラブ作りは、見たことも聞いたこともない「ベーコン・エクスプロージョン」用のものとなった。もちろん、味の検討がつかないので、調味料の種類や量は適当だ。

ローズマリー、クローブ、コリアンダー、セージ、チリパウダー、クミン、オレガノ、カイエンペッパー、ソテーミックス、ホワイトペッパー、ブラックペッパー、ガーリックパウダー、ハバネロソース、塩。

RUB
適当もいいところ

で、これらの調味料を適当にジップロックに入れる。我ながらひどいと思うが、こんなん味見したって良いも悪いもわからない。とりあえずこういうものなんだ、と自分自身思い込むしかない。もし美味しくない料理ができあがったら、「ハハハ、アメリカ人ってすげーもん食ってるな!あいつら未来に生きてんな!」と笑ってごまかそうと決心する。

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