舎人公園BBQオフ2017春

野外炊事部・海鮮地獄鍋の巻(その5)

ソイ

鍋はほんのりと温まっている。

「グラグラと煮立っている」と形容したいのだけど、1時間経とうがからすが頭上でカア、と鳴こうが、ぜんぜん反応してくれない。火力、火力が足りないんだよ!

なんなんだこのツーバーナーコンロは?

最初、「鍋が大きいから煮えるまで時間がかかるんだ」とはやる気持ちを抑えていたけど、ここまで食事にありつけないとソワソワが止まらない。貧乏ゆすりも限界ってものがある。

ガスカートリッジが冷えている。気化熱のせいで冷えてしまい、そのせいで火力が落ちてしまっている。カートリッジを暖めないと、いくらツマミをひねっても火力が増えない。

もう4月だぜ?これくらいの気温で、「冷えて火力が稼げない」というのはいただけない。寒冷地仕様のガスカートリッジが売店で売られているなら、高いお金を払ってでも買いたいくらいだ。

いい加減待ってられないので、「なんとなく鍋から湯気が出てきたぞ」という段階で先に進む。オレたちは常に前しか見ちゃいねえんだ。後ろを振り返ってられない。どんどん前へ、先へ。

というわけで、本日の海鮮鍋の親玉であるソイの登場。

一同、「ソーイ!」と甲高く叫ぶ。

「ソーイ!」「ソーイ!」

仮面ライダーに出てくるショッカーのように。

これは、ソイに対する己の気持ちの昂ぶりをあらわしている。頼むぞ、ソイ!というアツい期待のあらわれでもある。

丸ごと入れる

一口大にさばいてから鍋に入れるなんてことはしない。

丸ごとだ!

そうでなくちゃ、単なるお行儀のいい海鮮鍋になってしまう。

「ソイ、海へお帰り」

といいつつ、鍋に沈めた。ちょうど適度な塩分があるスープなので、ひょっとしたら生き返って泳ぎだすかもしれない。

塩たら

続いて塩タラだ。

「・・・さすがにこれを丸ごと、というわけにはいくまい?」

一同を見渡してみるが、誰一人として

「いいぞ!こっちも丸ごとだ!」

と言うヤンチャな人はいなかった。もしそういう人が一人でもいたら、

「しょうがないなあ、だったらこいつも!」

と鍋に投げ込んでいたと思う。

こいつはおとなしく、大ぶりに刻んで鍋に入れた。一口大だとソイの迫力に負けるので、一口では食べきれないくらいのサイズ感にしておいた。

たらが入った

具が全て入ったところ。

いや、全て入った、というか鍋のキャパシティ限界まで入れて、あとはストップした、という表現が正しい。まだ具はたくさん残っている。それは「鍋のおかわり」を作る際に入れよう。

「マジすか?こんなに食べるんですか?ホントに?」

初参加のあっきさんがさっきからやたらと驚いている。えーと、6人での宴会だし、こんなもんだと思うけどな?

「これまでサイトで宴会をやっている記事を読んできましたけど、こんなに食い地獄だとは思いもよらなかったですよ!ぜんぜんこのすごさが伝わっていないですよ!」

すまない、僕が文才がないばっかりに・・・。

というより、大して「すごい」と思っていないからだと思う。この鍋がカラになっておかわりを作るのは当然だし、ダッチオーブンにはスペアリブ製造中だし、そのあとには魚のフライを揚げるし、おっと、最後に鍋のシメでラーメンがあるんだっけ。

「いやもう、すごすぎますって」

そういうもんかな?我々は感覚が麻痺しているのかもしれない。野外炊事部は、回を重ねるうちに「たくさん食べて当たり前」な雰囲気が定着している。そのせいか、僕だけでなくほかの参加者たちも「すごい」といわれたことに対して「そうかな?」という顔をしている。単に僕だけが無茶しているわけではなさそうだ。

「まあ、最後はこの中で一番の若手であるおーまさんが食べるから」

すっかり野外炊事部では定番になってしまった、「おーまさん=若手=若いやつはいつも腹ペコに違いない=たくさん食べてもらうのが、先輩からの愛情=さあ、食え」という地獄絵図がここでも展開。

ちなみに弁護しておくが、「若手のおーまさんが食べなくちゃ!」というのはあくまでもお互いがニヤニヤしながらイチャつくロールプレイであり、先輩後輩の関係で無理やり食べさせているわけではない。

そういえば、あっきさんとあいさつを済ませたあと、すぐに話題になったのが「お互いの年齢」だった。確認してみると、参加者No.1若手の座は今回もおーまさんが死守。晴れて「おい、若手」と呼ばれる地位を確保している。

最後に食べるもなにも、果たして退却時間までに全ての料理が仕上がるのかどうか・・・。だんだん心配になってきた。

できあがり

ソーイ!を箸でつつきつつ、「よし!火が通ったとみなす!さあ食べよう!」と宣言。

いい加減すぎる。

鍋はいまだに一度たりともぐらっと沸くことはない。ゆらーっと水面が対流する程度だ。

でもこれ以上は煮立たない気がする。本当はもっと炊いて魚のダシを引き出したいけど、もう限界。時間と火力の。

ほたてだらけ

お皿によそっていく。

ベビーホタテがたくさん入っているので、よそう際にはやたらと盛大にガラガラと音を立てる。

ホタテが結構かさばるので、一杯よそってもたいした量が食べられるわけではない。しかし、このゴツゴツさはいかにも野外炊事!な雰囲気があるし、行き当たりばったり感もいい。お行儀の良い鍋なんて、家とか店で食べればよろしい。

ほら見てみぃ、近くを通り過ぎる他のグループの人たちがこっちを興味津々で見ているぞ。

「珍しいんですよ、ほかに鍋やっている人なんて誰もいないですから」

鍋が珍しいだけじゃない。魚を持ち込んでいる、ということ自体が珍しい。ソイを手にはしゃいでいる我々を、遠目で笑いながら観察している人たちがいた。

「どうです?ちょっと味見でも」

と水を向けたら、

「いやー」

とか言われて辞退された。ちぇっ。

ソイの身をほぐす

ソイの身と骨を分けていく。

タイのように鋭くて固い骨があるけど、丁寧に身をはがせば簡単に骨が取り除けた。小骨はあまりない魚らしい。

周りの客が豪快に肉を焼いてワッハッハと笑いながらくつろいでいるのに、我々だけはやたらと真剣な面持ちで身を寄せ合い、一生懸命鍋の中から魚の骨を取り除いている状況。この差はシュールだ。でも楽しい。

たらぶつ切り

空いたすペースにたらの身を入れていく。矢継ぎ早に具を入れ、火を通していかないと時間がないんだよ!食べ終わらなかったら全部持って帰ることになるんだよ!それは重たくてイヤだよ!

同じ持って帰るでも、せめて胃袋のなかに収めてから持ち帰りたいものだ。

スペアリブ

そうこうしているうちに、たぶんスペアリブができたと思う。

こちらも火力不足に悩まされ、「じゅう」という音がほとんどしないやらなんやら苦労させられたけど、結果オーライ。

「とろ火でじっくりと加熱しました」

ということにしておこう。

スペアリブ切り身

骨に沿って切り分け、みんなでしゃぶりつく。

うまー。こりゃうまいや。小一時間程度しか漬け込んでいなかったとは思えない味で、一同満足。

「ダッチオーブンすげえなあ」

という声が上がる。

揚げ物用魚

一方、未だに出番待ちの具もある。

メヒカリと、カレイ。

フライにする予定だけど、まだこの状態。

ダッチオーブンを長らく陣取ってきたスペアリブが晴れて卒業したので、ようやくフライに取りかかることができる。お待たせ!

ただし、油が温まるまで、もうしばらく待ってほしい。・・・なんだ、まだまだ先じゃん。

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