羊肉の会#01 モンゴロイドがモンゴル料理を食べるナイト

つまようじ

卓上にヒマワリの種が置いてある、ということにちょっとした驚きを感じる一同。

ということは、これも気になる。

目についたのは、何やらご当地の民芸品っぽい筒。万華鏡だろうか?

ふたのつまみを手にして引っ張り上げてみると、中から爪楊枝がにょっきりと姿を現してまたびっくり。いろいろトリッキーだな、このお店は。

ふたを持ち上げることで、爪楊枝がまるで茹で始めの乾麺スパゲティみたいに飛び出してくる。

しかもその爪楊枝は、「持ち手」という概念がなく、こっちにとがった先が向いている。まるで忍び返しだ。

エジプトとかのピラミッドで、盗掘をしようとした輩を粛清するために仕掛けた罠、みたいな感じ。

羊肉

これはなんだっけ。「バンバンマトン」だったかな。1,200円。

バンバンジーが鶏肉を使っているのに対し、これはマトンを使っている。

いろいろある羊肉料理の中で敢えてこれを頼む必要はなかったのだけど、なんか覚えやすい名前だったのと、小気味良い言葉の響きだったので、つい。

昔プロレスラーで「クラッシャー・バンバン・ビガロ」という選手がいたなあ、と遠い目をしながら思い出す。

それにしても、羊肉を使うことでどれだけ「食べたァ!」感が増すことか。牛豚鶏に馴染んだ甘っちょろい味覚をあざ笑うかのような、ガツンとした風味。これぞ羊肉の会を開催する意味だ。ガツンとしたいのだよ、僕たちは。

羊肉

それは麻婆豆腐でも一緒。

羊肉麻婆豆腐、1,800円。

「大皿」と張り紙には書いてあったけど、本当に大皿で笑った。こんなタライみたいなサイズ感のお皿に入った麻婆豆腐は見たことがない。すげえ。

仲間と訪れて本当に良かった。一人ないし二人だったら、この一品でゲームオーバーだ。

僕なら、

「いやいや、せっかくだから腹がはちきれるまで食べる。ローマ貴族みたいに食べた後クジャクの羽を喉に押し込んで、過食嘔吐してでも食べ続ける」

と言う。でも、哀しいかなそれに賛同してくれる仲間というのがほとんどいない。「いや、やめておこうよ」と言われる。で、僕としてもそこで強く押し通せず、「うーん・・・」とがっかりしながら折れる。

で、今日は5名で仲良くシェアだ。見ろ、いくらでも羊肉料理がやってくるぞ。追加注文をしてるもんな。そしてそれをどんどん食べていけるぜ。

しかも僕以外の4名は、キツい酒を飲んでほろ酔い状態だ。どんどん食が進む。

羊肉

消しゴムのような風貌、それは「アーロール」。

「UNI」と書かれた青いパッケージが張り付けられていてもおかしくない風貌。これはチーズ。消しゴムのように、とまではいかないけど、硬いチーズだった。

メニューを見ると、「お茶でふやかして食べるとモンゴル流」と書いてある。チーズをお茶に浸す、という発想なんて日本人は思いつきもしない。いやー、驚いた。

原材料はなんだろう、羊の乳?

ネットで調べると「お菓子」と形容している記述をみかけるけど、お菓子っぽさはなかったような気がする。

アミールハイ

きついお酒を「カーッ」と吠えながら飲むのに疲れたばばろあは、「ヨーグルト酒」700円を飲んでいた。

お腹にやさしい、度が低いお酒っぽいけどしっかり8%のアルコール度数がある。このお酒だって、調子にのってカパカパ飲んでいると酔っぱらう。

羊肉

ボーズ700円。

羊肉の蒸し饅頭。

羊肉、白菜、ネギ、しょうがが入っている。

あっ、6個だ。5人にとって、悩ましい数。よし、早いもの勝ちでいこう。

羊肉

羊の脳みそ、1,000円。

羊肉のスープで煮込んだもの。脳みそを食べる、というのはグロテスクな印象を持つかもしれないが、案外普通だ。レバーを食べているのと食感は似ている。

昔、「狂牛病」が世界的に流行して牛肉の流通にものすごく支障が出たことがある。吉野家をはじめとする牛丼チェーンが、軒並み牛丼の提供を中止せざるをえなかったくらいだ。今となっては昔話のようになってしまったが、当時は大ショックだったものだ。なにせ、本当に牛肉が出回らなくなったのだから。

その時の原因の一つが、病気に感染した羊肉の肉や骨を粉砕した餌を牛に与えていた、ということだ。肉骨粉(にくこっぷん)と言われてたっけ。だから、羊の髄とか、そういうのは危険!という印象を僕は今でも持っている。

もちろんこうやって料理で出てくるのだから安全なのだろうけど、一瞬身構えてしまう食材ではある。

なお、うまいかといわれると、大してうまいものではない、と僕は思う。

羊肉

メニューのデザート欄に「モンゴル揚げパン」なるものがあった。「ボーブ」という名前だ。400円。

パンがデザートというのは不思議だったが、「卵とヨーグルト、砂糖とバターを小麦粉で混ぜ羊の脂で揚げたもの」なのだそうだ。文字列を見ただけでは、いまいちイメージができない食べ物だったけど、実物はこんな感じ。

小皿には練乳らしきものが入っている。これは甘いぞ、さすがデザートだけある。シンプルに甘い食べ物で、血糖値が上がりそうなものだ。これもまた面白い体験。

羊肉

シュルテホール、という羊肉のうどん。もちろんスープのダシは羊肉だ。これもうまい。

何を頼んでも大抵羊肉が使われているという潔いお店で、どれを食べてもうまいんだがこの羊肉スープはとても良かった。

そんなわけで、ワイワイ言いながら食べ続け飲み続け、この会はお開きとなった。やっぱり羊肉は何を食べても「食べなれない感」があり、それでも美味い。なのでとても満足度が高い会だったと思う。今後も定期的に開催していきたい。ひとまず第一回目は大成功で終わった。

(2019.07.10)

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • おお、羊!
    通勤途上の商店街に、最近まで誰かが住んでた雑居ビルの一室を
    ほぼ居抜きで使ってるモンゴルカフェがありまして
    ポーズやら餃子(?)みたいなもので昼飯食ったことがありますが
    スーテーツァイは確かに一瞬脳がフリーズしますね(笑

    お惣菜は『がっつり羊味ですが大丈夫ですか?』と聞かれましたが
    胸を張ってよく通るテナーで『大丈夫です!』と答えたのは言うまでもありません(笑)

    味付焼肉しか知らない私でしたが非常においしく頂きました。
    入り口がすげー怪しいのと車が止めにくいんですが、また行きたいなぁ…

  • ティータさん>
    モンゴルカフェ、というコンセプトの時点で面白いですね。
    しかも居抜きとは。
    スーテーツァイが日本で市民権を得るためにはまだ道のりが長いと思いますが、こういう選択肢が用意されていて、その気になれば注文できるというのはありがたいことです。
    今度はバリトンボイスで「がっつり羊味を!」と頼んでみたいものです。

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