鍋奉行を成敗せよ!彩の国鍋合戦

[2杯目:とろろ味噌ちゃんこ(はるちゃんとチキン野郎)]

とろろ味噌ちゃんこ(はるちゃんとチキン野郎)

トロロと味噌の相性が絶妙!魚介・肉等のパンチのきいたダシを味噌でまとめて、トロロでまろやかに仕上げた鍋。一度食べてみる価値あり!

二軒目は「とろろ味噌ちゃんこ」を選択した。とろろが鍋に入っているのはちょっと想像できない。面白い組合せだ。こういうアイディア鍋こそ、自分の有限な胃袋に収めてみたいものだ。

ところで出店者名である「はるちゃんとチキン野郎」って一体なんだ。お店の名前ではなさそうなので、家族もしくはそれに準じた集まりなのだろうか。

そういえば、店先にはメガホンを持って勧誘をしている男の子がいた。彼が「はるちゃん」なのかもしれない。

寸胴と格闘中

ということは、裏方として鍋番しているこの人達が「チキン野郎」か。試しに「やーいチキン野郎」と言ったら何て反応するかな。「おう、チキン野郎だが何か?」と胸を張るのだろうか。ちなみに「チキン野郎」とは一般的に「弱虫」を指す言葉だ。

こちらのお店は、先ほどの鴨ネギと違って小規模経営。とはいえ、8人くらいは居たので、テントは既に窮屈な状態だ。

とろろ味噌ちゃんこ

200円払って、とろろ味噌ちゃんこを受け取る。客の並びゼロだったので、すぐに購入できてラッキー。

とろろは後のせ。なるほど、名前の通り味噌ベースの鍋の上にとろろが載っているな。これは面白い。

なお、料理が盛られるお椀だが、全ブースともに主催者側から提供されているエコカップを採用している。一見、単なるプラカップであり全然エコではないように見えるが、ちょっと違う。お椀の内側はシールコーティングされており、食べ終わったらこのシールを剥がす。シールは廃棄処分だが、カップそのものはまた再利用ができる、というものだ。このシールはJ:COM(ジュピターテレコム:ケーブルテレビ会社)のロゴ入り。今回、散々J:COMのロゴを見たので、頭に焼き付いてしまった。しかしケーブルテレビに入る気はしないが。

具だくさん。200円とは信じがたい

具は白菜と、牛蒡、鶏つくね団子、牡蠣と蟹の足。

牡蠣と蟹が入っていることは最初気付かなかったのだが、一口つゆを啜った瞬間「あ、生臭い!」と気づき、お椀の底をあさってみたら発見。牡蠣は2個も入っていた。これまた、200円鍋の域を超えているサービス。

とろろ、素晴らしい。そうか、こうなるのか、と感心させられるまろやかな食感。白味噌の甘みと上手い具合に絡み合い、粘りあい、美味さを加速させている。この技術、自炊料理でも応用できそうだな。素晴らしいと思う。

とろろ蕎麦は当然食べたことがあるので、醤油ベースのつゆ+とろろの味、というのは知っていた。しかし、そこから想像していたものとは全く別次元の味わいが、このお椀の中にはあった。味噌ととろろがこんなに合うとは。

とろろ後のせという作戦も正解だと思う。最初から煮込んでしまうと、ぐずぐずになってしまいせっかくの食感が失われる。家族経営的ブースだけど、侮れないね。こりゃ面白いイベントだわ。

ただ、牡蠣が・・・牡蠣が余計だった。牡蠣の生臭さが抜けておらず、鍋の味を一部殺してしまったのが残念。蟹の足も、一見豪華だけど食べカスが出るのでこういうイベントでは邪魔。どうせ中身をほじっては食べられない小ささで、ダシにしかならないんだから具としては不要だと思う。

海鮮よりも、オーソドックスに根野菜を増やした方が良かったような気がする。海鮮に拘るなら、鱈などの白身魚を使うと美味かもしれない。

アイディアには感動したので、こちらの鍋に一票を投じておいた。

[3杯目:冬野菜とトマトのイタリアン鍋((株)フロンティア食鮮クラブ)]

冬野菜とトマトのイタリアン鍋((株)フロンティア食鮮クラブ)

鶏肉と冬野菜をふんだんに使ったボリューム満点のイタリアン風鍋。

3杯目は、とろろ味噌ちゃんこのブースのすぐ隣に移動。

「冬野菜とトマトのイタリアン鍋」に手を出すことにした。こういういかにも風変わりな鍋こそ、食べ歩きの対象として選びやすい。

フロンティア食鮮クラブ、というところが運営しているようだが、株式会社を名乗っている。後ほどwebで調べてみたが情報は見つからなかった。無農薬野菜の自主流通をやっているような会社なのだろうか?

このフロンティア食鮮クラブに限らず、鍋合戦に出店している出店者がwebでひっかからないところは結構あった。謎のマスクマン来日、強敵現る・・・みたいなプロレス的ストーリーを想起させて大変に面白い。

トマト鍋もいいもんだ

イタリア、トマト、鍋・・・というキーワードが並ぶと、思いつくのは当然「ミネストローネ」だ。ミネストローネ、として販売していたら、多分おかでんはこのブースを素通りしていただろう。ありきたりだからだ。

しかし、「イタリアン鍋」と銘打ったからこそ、惹かれた。案外人間ってそんな単純な表現でころっといってしまうものだ。

ただ、これが「鍋」を名乗っている理由は、食べてみて分かった。あ、俗に言うミネストローネとは違うわ。これ、食材が和風。

入っている具だが、トマト煮込みになっているので食材識別にやや難航。えっと、全部を網羅できているかどうかわからないが、分かった範囲で列挙する。

トマト、白菜、しめじ、エリンギ、椎茸、玉ねぎ、人参、鶏肉。そして、お椀によそった後、粉チーズのトッピングと何かの液体を上から一回しかけていた。多分オリーブオイルだ。

そのオリーブオイルのせいか、保温性が飛び抜けて優れているいっぱいだった。おかげで、火傷の心配をしつつ食べる。こりゃ体が温まるわ。鍋として素晴らしい。

見た目、トマトの酸味が気になるところだった。しかし、粉チーズが入っているせいもあってか、酸味よりも甘みの方が勝っていて、とても濃厚かつまろやかな味わいに仕上がっていた。野菜からも甘みがでているし、きのこ類から旨みがでているし、高次元に味のバランスがとれているいっぱい。ごった煮の神髄発揮、というところだ。一本取られた、と思わず口走ったくらいだ。

[4杯目:マグロと新鮮野菜の鍋(おっとどっこい)]

マグロと新鮮野菜の鍋(おっとどっこい)

三崎直送のマグロとその日の朝とれた地元の無農薬野菜を使い、天然水・利尻コンブとカツオでとったダシ、天然醸造のみりん・醤油を使用して作ります。

イタリアン鍋の二つ隣のテントが大行列。一体何なんだ、これは。

看板を見ると、「マグロと新鮮野菜の鍋」だという。とりあえず、並んでみることにする。

こんなペースで食べ進んでいったら、途中で遭難必至だ。もう少しお店を飛ばし飛ばしでいかないと。でも、「マグロ」という食材が面白いので、ここには立ち寄っておくことにした。

(6)ライオンズちゃんこ鍋

はスルー。ちなみに「西武ライオンズ」の鍋ではなく、「和光市ライオンズクラブ」の鍋の意味。

WACが自衛隊勧誘ビラを配っていた

なにやら制服をびしっと着こなした女性が、たくさんの人混みの中でパンフレットを配っていた。後ろ姿を見ると、車掌さんか何かに見える。何だ、あれは。

配っているパンフレットを見ると、「陸上自衛隊広報センター」と記されていた。ああ、この人女性自衛官さんなんだ。それにしても頑張ってるな、わざわざ鍋合戦の会場に出張してPRしているとは。確かに広報センターはこの会場からさほど遠くないところにある。

ただ、自衛隊って紛争地帯に派遣されるのは法律で厳しく制限されているよな。ここはまさに戦いのまっただ中「鍋合戦」だから。立場上、こんなところに居て許されるのだろうか。ああそうか、日本国内だから「治安出動」という名目になるわけだな。いいぞもっとやれ。

丁寧に一杯ずつ仕上げていく

行列が長いのには訳があった。一杯を作り上げるのに結構手間取っているからだった。他のブースが次々とお椀に入った鍋が供給され続けているのに対し、ここは一杯仕上げるのに15秒近く要していた。

「行列店=人気店」、ではないということだ。これは教訓となった。客さばき上の理由で列が長くなる場合と、本当に人気で列が長くなる場合の両方の可能性があるということだ。
ただ、来場者はたくさんあるブースに戸惑い、「とりあえず行列があるところに並んじゃえ」という心理が働きやすい。行列がさらなる行列を作ることもあるから面白い。

このブースの客さばきが遅いのは、まずお椀への盛りつけがバックヤードではなく受付の長机上で行われていた事にある。わざわざ寸胴から土鍋に移し替え、店先で盛りつけをやっていた。パフォーマンスなのか料理の都合上なのかは不明だが、小さな土鍋を頻繁に交換しなくちゃならないので効率があまり良くない印象を受けた。盛りつけ要員はこのオペレーションのせいで限定され、ますます遅くなる。

また、ここはまぐろ肉を後のせにしていたので、「お玉で鍋をざっくりよそって盛りつけてはいでき上がり」という訳にはいかない。崩れやすい肉である故に、慎重に盛りつけていた。それが所用時間を延ばしてしまった要因でもある。

この後のせ用のまぐろ、大きめに切られたものが山盛りになってスタンバイされていたのだが、遠目でみるとコンニャクに見えた。「何だ?コンニャク後のせか?」といぶかったが、近くでよく見るとマグロ。そりゃそうだ。コンニャクは煮込んでこそ意味がある。後のせじゃ、ダメだ。

マグロと新鮮野菜の鍋
マグロたっぷり

結構並んだ上に手に入れた「マグロと新鮮野菜の鍋」。

卓上調味料としてゆず七味があったので、上に振りかけた。写真における黄色い粉末はそれ。

具は、白菜、葱、しめじ、そしてまぐろの赤身。

「その日の朝とれた地元の無農薬野菜」ということなので、今朝の仕込みは大騒動だっただろうな。早朝に収穫して、10時の開店までに切って煮込まないといけない。そのせいか、具の種類は少なめ。マグロで精魂使い果たしちゃいました感あり。

そのかわりマグロのボリュームは相当なものだ。よくぞこれだけ投入したもんだ、と感嘆するくらい後のせされた。ブロック状のものが4切れ、5切れ程度入っていたと思う。

しかし・・・味については、特筆することなし。平凡、という感じ。説明書きによるといろいろ味付けにはこだわりがあるようだが、おかでんにはそのすごさが伝わらなかった。イタリアン鍋という濃厚な奴を先ほど食べた直後だからか?きっとそうだ。

まぐろに関して言えば、あんまりおいしいとは思わなかった。これはイタリアン鍋とは関係なく。そうだ、実物見て思い出したが、まぐろって加熱すると「ツナ」になっちゃうんだよな。つまり、もさもさした食感。つゆの旨みを吸ってるわけでもなく、脂が乗っているわけでもなく、いまいち。やっぱりまぐろの赤身は刺身で食べるのが一番良い気がする。脂分が多いトロ肉になると、炙りとかねぎま鍋なんてのも良いが・・・。

後のせトッピングは、煮くずれ防止策であると同時に「メイン食材が各お椀に均等に行き渡るように」という配慮でもある。しかし、その結果、鍋そのものと後のせ食材とがうまく融合していないものが多かった気がする。この店に限らず、今回訪れたお店全体に言えることだが。これは難しいところだ。

イベントステージでは、和光太鼓の演舞が始まっていた。
ただ、ステージ直前まで巨大テントがせり出している上に、人混みが激しいのでその勇姿を見ることができるのはごく一部の人だけだ。

あと、うかつに料理を持ったままぼけーっと舞台に気を取られていたら、前後左右から人にぶつけられて危険。お椀をひっくり返す恐れあり。それだけ人口密度が高く、なおかつ縦横無尽に人が移動していた。食べ終わるまでは、周囲1m程度の索敵は常に怠ってはいけない。

太鼓の後は、エイサーが出てきた。変わった組合せだ。

太鼓の音が腹に響き、結構満腹感を強めてくる。やばい、4杯目でもうそろそろキツくなってきたぞ。10軒くらいはイケると思っていたのだが、そこまでは無理そうな気がしてきた。

ちょっと待て、鍋ブースは全部で4列あるのだけど、まだその1列目すら見届けていないのにこのありさまじゃあやばい。ペース配分を考えないと。

(8)鳥団子鍋(新鈴会婦人部)
(9)和光名物”新倉にんじん・ポタージュスープ”(和光市役所”食”員チーム)

はパス。

鳥団子鍋は、食べようかどうしようかしばらく店頭で悩んだ。一見ありきたりな鍋なのでスルー推奨だったのだが、店頭に「第一回優秀賞」という看板が出ていたからだ。ちょっと気になった。権威にはからきし弱いな、自分。

ただ、しばらく考えて、左右のブースを見ているうちに気がついた。ああ、優秀賞って事は「最優秀賞(鍋奉行)」になったわけではないのか、と。ならば、申し訳ないが胃袋のキャパシティの問題があるので、辞退させていただく。

次の「にんじんポタージュスープ」はちょっと興味があった。スープも鍋なんか?という気がするが、ポトフが洋風鍋として認識されているように、具だくさんスープであれば鍋といって支障あるまい。

全34ブースの大半が和風鍋を出してきているので、こういう西洋風のブースはちょっと目立つ。だから優先して食べていきたいところだ。

とはいえ、時間の経過とともに満腹感が・・・。この後のお店の数と、自分のおなかのおなかの出っ張り具合を勘案すると、これは諦めざるをえない。残念。

そんな中、隣のブースを見て面食らった。もの凄い長蛇の列だ。何だ、これは。

[4杯目:鹿児島県産黒豚肉入りだんご汁(和光鹿児島会)]

鹿児島県産黒豚肉入りだんご汁(和光鹿児島会)

本場鹿児島県産の黒豚肉、田舎むぎ味噌、サトイモを使い、たっぷりの和光産野菜を入れた栄養満点鍋。一昨年優勝に輝いた味。

事前検討段階では完全ノーマークのお店だったが、この列を見て急きょ食べる事にした。「会場端のブースは人気店が入る」の読みを考えると、この店は下馬評が高い証拠だ。

真っ赤なのぼり

真っ赤なのぼりには、「和光鹿児島の会」の表記と共に島津藩の家紋が。

そして、主催者側が用意した正式店名看板の上に、さらに大きくて目立つ「黒豚だご汁」の看板を掲げていた。

和光鹿児島の会なるものが何なのかわからなかったので帰宅後ネットで調べてみたが、独自のサイトは持っておらず活動内容は不明。ただ、その正体は「県人会」であることが判明。埼玉県の鹿児島県人会の、和光支部みたいな位置づけ。

組織の性質上、それほど組織戦には強くなさそうではある。しかし、こののぼりといい、看板といい、客さばきといい、結構手慣れた感じ。商工会がやっているブースとはわけが違うので、この体制はお見事だ。

店頭には「2007年優勝、2008年準優勝、そして・・・さらにパワーアップした今回は?」というあおり看板まで出ていた。おい、やる気満々だぞ。それにしても凄いな、こしがや鴨ネギ鍋の連覇を止め、その翌年鍋奉行の座を鴨ネギに取り返されたものの準優勝をキープ。安定して上位にいるということだ。で、「さらにパワーアップ」ということは、年々鍋はバージョンアップされているらしい。今年は鍋奉行を取り返すぜ、ということだ。

こりゃあ、戦いの見届け人としてちゃんと食べておかなくちゃ。行列は相当長そうだけど、食べておかないと後悔するだろう。

・・・と、誰もが同じ事を考えて、行列を作る。過去の実績という威光は数年間使える。誰も34杯なんて食べることはできないので、そうなると実績こそが最大の集客力と集票力を持つことになる。その点では実績がない店というのは厳しい。初参加で優勝をかっさらうのは相当に難しそうだ。既に第五回を数えているので、「上位ランカー」というのは定着しつつあるだろうから。

お犬様がお出迎え

店先で招き猫よろしくお客様を出迎えてくれる犬のはりぼて。

ご丁寧に、足にコロがガムテープで装着されており、引っ張ればコロコロと移動することが可能。

時々、上野公園の西郷隆盛像のような着流しの格好をしたお父さんが現れ、この犬(薩摩犬・ツン?)を引いて会場を闊歩していた。上野の西郷隆盛像はあまりに有名なので、「鹿児島のだご汁いかがですかぁー」と叫ばなくても、格好だけで十分宣伝になる。とてもよく目立っていた。やはり動物を使うとインパクト大だ。

ただ、これ、どう見ても柴犬なんですが。薩摩犬ではないな・・・。そこまでリアルには追求できなかったか。

ちなみに薩摩犬は、交配が進んでしまい純血種は絶滅の危機にあるのだとか。日本各地のご当地犬と同じ現状だ。だから、「薩摩犬ってどんな風体しているんだろう?」とgoogleで画像検索をしてもなかなか引っかからなくて困った。

もちろん検索にはヒットするのだが、なぜか白くてふわふわした犬が出てくる。何じゃ、こりゃ。どうみても西郷どんが連れている犬ではない。

しかも、その写真が掲載されているサイトはことごとく中国語圏のサイト。いろいろ探ってみると、西亜細亜産、もしくはソ連産、と記されている。どうやら日本固有の犬ではなく、同名で別の「薩摩犬」なるものが存在するらしい。大変に紛らわしい。

延々と伸びる行列
整理券が発券された

店先を起点とした行列は、店をぐるりと回り込み、裏側に回り、それでも納まりきらずに市庁舎のピロティまで蛇行しつつ伸びていた。ざっと100名は軽く行列を作っている。相当なものだ。やはりこういう行列ブースは会場脇に設置、という運営サイドの意図は間違いなさそうだ。

ラーメン店のように、「1ロットで数名分ずつ麺をゆでます」といったオペレーションは鍋の場合、存在しない。だから、行列は常にじりじりと前へと進んでいく。その点、気が楽だ。ラーメン店の場合、列が完全にぴたりと止まる時間が出てくるので、時間の経過が遅く感じる。

行列の途中で、食券販売担当者が待ちかまえていた。店頭でお会計していたらおつりやらなんやらで手間取るので、行列の段階でお会計を済ませてしまおうという算段だ。よく計算されている。食券(チケットには整理券、と書かれていた)を販売していたのは34ブース中ここだけで、独自のアイディアだ。それだけ売れる自信も実績もあるということだ。

ちなみにこの整理券を手に入れたのは11時9分、鍋合戦開始から約55分経過時点。通番が409番だったので、一時間で400杯程度を売りさばくのがキャパの限界なのだろう。

※実際に整理券を買ってからも、店頭で料理を受け取るのにはまだ時間がかかるのでその分も考慮。

一時間400杯ということは、1分あたり6.6杯だ。つまり、10秒に一杯のペースよりもさらに早いということになる。イベント開催時間は5時間なので、常に行列ができ続ける前提ならば2,000杯分を作ると過不足がない。ただ実際には、昼下がりになると来場者は満腹になるので売上低下も考慮しなくてはいけない。実質、1,500杯程度スタンバイというのが理想像なのだろう。

それを考えれば、1,200杯用意したという前年度覇者・こしがや鴨ネギ鍋は妥当な線といえる。売れ残らず、しかし希望者にはほぼ行き渡る量を見極めるのは大切。何しろ、「人気投票に勝ってナンボ」な大会。まずはできるだけ多くの人に食べて貰わないことには、票を入れてもらえない。

ネギ取り放題なのがボトルネック

行列が長いのは、その人気と実績に依るところも大きいが、店の提供方針にもあった。何とこのお店、無料トッピングが3種類もあるのだった。

まず、スタッフは寸胴からお椀に鍋をよそう。そして次の人は、黒豚を後載せトッピング。この段階でフロントのカウンターまで運ばれ、フロントでは今度は角切りにされた薩摩芋が盛りつけられる。後のせ二段階で、結構手間暇かけている。ただ、ここまでは相当手際がよく、次々とスタンバイOKなお椀がストックされている。行列を伸ばす要因にはなっていない。

しかし、その後で人が詰まるのだった。なぜなら、このお店は「ご自由にどうぞ」と、長葱、青葱、白髪葱の3種類を盛り放題で用意してあったからだ。セルフの讃岐うどん屋の様相を呈している。おっと、それから七味唐辛子も用意されていたので、都合4種類をお好みで調合できる仕組みだ。

他店は、せいぜい七味を用意している程度だ。七味すら無い店も多い。そんな中、このぜいたくな取り合わせは凄い。薬味の無料トッピングは大会規則のルールすれすれな感もあるが、七味がOKなら葱だってOKで何らおかしくない。これは全くの許容範囲だ。作戦がうまいな。味で勝負するだけでなく、手際もよく、そしてお得感でも満足感を演出する。誰だ、ここの仕掛け人は。相当できる奴だと思う。

そんなありがたいトッピングではあるが、その結果行列が伸びてしまっているのは致し方ないところだ。「一人いっぱい」のオーダーならば、そんなに手間取らずにすいすいと流れていく。しかし、「家族を代表して私一人が数人分まとめ買いに参りました」というパターンが多々あり、そのため一人で4杯分くらいのトッピングをすることになる。こうなると、「一人いっぱい」よりも随分と流れが悪くなり、滞るのだった。

とはいえ、しょせん薬味の盛りつけ程度のことだ。大した時間が浪費されるわけではない。比較的スムーズに列はさばけていたと思う。

ネギだらけになってしまった鍋

結局、結構薬味を盛ってしまった。盛りすぎた。これ、葱汁じゃないか。

葱をかき分けながら、食す。

当時のICレコーダーを聞いていると、一言目が「ま、こりゃ美味いですわ」だった。

「早い話、豚汁なんですよね。そりゃそうだ、味噌仕立てで豚肉が入ってりゃ豚汁だよな、と」と、今更この鍋の正体を知った次第。

具は、大根、人参、牛蒡、しめじ、油揚げ、黒豚二きれ?、団子。

黒豚の旨みが汁によく溶け出ていて、良い味が出ている。豚肉は後のせなのだが、ちゃんといったん鍋に味を放出させているということだ。やっぱり、旨みという点では豚肉は一日の長がある。「豚汁」がこれだけポピュラーなのに、味噌仕立てで牛汁や鶏汁があまりメジャーではないのは、豚が廉価かつ美味いからに他ならない。

それにしても、後のせでこれだけ美味いとなると、こしがや鴨ネギ鍋のあのつゆのイマイチっぷりはとても気になる。鴨も旨みが強い肉だが、なぜつゆに深みが足りなかったのだろう?

他店の話は置いておいて、この鍋の美味いのは麦味噌を使っていることにもある。関東地方で味噌といえば大半が信州味噌であり、正直おかでん個人としては飽き飽きしている。己の出自が中国地方なので、やはり麦味噌や、米と麦のブレンド味噌というのが好きだ。だからこそ、ここの麦味噌仕立てはとてもおいしいと思った。

ただ、こればっかりは個人的趣味なので、他の人がどう思うかは知らない。

豚肉+みそ汁となれば単なる豚汁で、どんなに美味であっても「しょせんは豚汁」の域を超えない。しかし、ここの料理は具だくさんということもあって、「単なる豚汁」の領域を越えた、立派な鍋に仕上がっていて立派だと思った。野菜の具が多かったので、「豚汁」ではなく、「野菜汁」に近い感じだったと思う。とてもおいしかった。

一点反省点を挙げるならば、調子にのって葱類をトッピングしすぎたこと。そのせいで、葱の辛味がお椀全体に回ってしまい、味を損なってしまった。やり過ぎた。薬味はあくまでも薬味であり、主役級に盛ってしまってはいけない。

具だくさんでおいしい鍋だが、一点問題点を指摘すると、根野菜の煮込みが足りていなかった。許容範囲内とはいえ、固めのゆで加減だった。この堅さは狙って出したものではなく、単に煮込み不足だと思う。

リサイクルステーション

これまで効率重視でお店巡りをしていたので、お椀が随分たまってきていた。数えてみると、既に5杯。さすがに邪魔だ。料金の支払いや、料理の入ったお椀の受け取り時に非常に不安定になる。そろそろいったん処分をしにいくことになる。

会場内3箇所には「リサイクルステーション」なる場所が設置されており、そこに箸と使用済みお椀を捨てることになる。

食べ終わったどんぶり

リサイクルステーションは長蛇の列。ゴミ捨てるのに列を成すというのはちょっとすごい話だ。

それもそのはず、お椀はエコカップなので、一つずつ表面の「JCOM」と書かれたビニール幕を引っぺがさないといけない。ちょっとだけ手間がかかるので、そこで足止めを食らうというわけ。

行列の誘導は、どこかの地元中学?高校?の野球部員がユニフォームを着て行っていた。地元密着型イベントだなあ。別の場所のリサイクルステーションでは、ボーイスカウトがその役目を果たしていた。

割り箸は、細かく砕いて何か別に再利用するらしい。エコカップも当然再利用対策だ。やはり、これからの時代、行政が主催するイベントでエコを意識していないものだったら「やーい時代遅れ」と馬鹿にされるんだろうな。というか、自ら積極的に馬鹿にしてやる。

リサイクルステーションの注意書きで「あちゃー」と思ったのは、「お椀は重ねないでください」という注意書きを見たときだった。おい、モロに5枚重ねてるぞ、自分。なぜそんなことを書いているのかと思ったが、恐らくカップリサイクル時に洗浄のコストを削減したいからなのだろう。重ねると、どうしてもお椀の底に下のお椀に入っていた鍋の汁や脂分が付着する。それを落とすために、大量の洗剤と水が必要となる。それは良くないよね、ということなんだろう。

すんません、以降気をつけます。

抽選券と投票券
投票箱

お椀をゴミ箱に投棄すると、その数だけ投票券を貰うことができる。この投票券で、気に入った鍋に投票することができる仕組みだ。

エコステーションには投票所が併設されており、そこには全34ブース分の「投票ポスト」が設けられてあった。お気に入り鍋を提供してくれたブースのポストに投票券を投函すれば一票入る仕組み。

ただ、おかでんはまだこの時点で投票権を行使しなかった。満腹になってもう食べられません、となった時点で、それまでの判断の上で投票するつもりだ。場合によっては、所有している券全てを一点集中させる事だってあり得る。また、場合によっては分散させて投票するかもしれない。この辺りの駆け引きは、今後登場する鍋次第であり、自分の満腹具合次第となる。

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