鍋奉行を成敗せよ!彩の国鍋合戦

川越藩火縄銃鉄砲隊

川越藩火縄銃鉄砲隊の人たち。鎧姿で談笑中。

さすがに銃は持っていなかったし、刀も下げていなかった。模造品とはいえ、こういうイベント会場で武器らしきものを携行すると治安上よろしくない、という判断からだと思う。

甲冑というのは見るからに重そうなものだが、彼らが来ているのは「見た目重視」の軽そうな作りになっていた。最新鋭の防弾チョッキではないと思うので、一撃されたり一振りされたら一発であの世行きだ。気をつけろ、背中ががら空きだぜアンタ。

川越藩陣中鍋

川越藩陣中鍋。

陣中で天麩羅を揚げるなど、悠長なものだなどと揶揄してはいけない。わざわざ、このクソ忙しいイベントのために、千個以上もの天ぷらを用意したのだ、その努力たるや相当なものだ。しかも、焼きおにぎりまで具に入っている。多分、「煮込み時間」を除いて、具のスタンバイに要した時間はここが一番ではないか。お疲れさまですとしかいいようがない。

で、お椀の中に入っている具だが、さつまいもの天ぷら、味噌が塗られた焼きおにぎり(といっても、焼けていたっけ?単なるおにぎりのように感じたのだが)、牛蒡、大根、人参、油揚げ、こんにゃく、鶏団子。結構なボリューム感。がっつり食べて、戦うぜ!という一品だ。

味は・・・ええと、後で振りかけた一味唐辛子が思ったよりどばっと出てしまい、よくわからない。でも、具が特徴的なのに対して味は平凡な印象。具の質感に惹かれない限りは、次回食べたいという魅力までは感じなかった。

・・・ああ、現時刻12時半だけど、「献上そばすいとん」完売。撤収準備に取りかかっている。もう鍋の片付けを始めだしたぞ。

12時35分。今気がついたけど、「あつあつスタミナもつ煮鍋」も完売表示が出ている。それほど行列の長さは印象的ではなかったが、完売。

要するに、行列ができる店=早く完売する店、というわけではないということだ。行列ができるお店はそれなりに過去に実績がある。だから、売れる事が事前に分かっているので大量に仕込む。その結果、行列ができてもなかなか売り切れない構図だ。逆に、中堅どころや新参者は見込みが難しいので、少量で打ち止めとなるのだと思う。

この頃になると、ブース全体的に行列が一段落してきた気配。さすが鍋。2杯くらい食べればそれなりに満腹になってくるので、殺到するのが早いし、客が引くのも早い。

ようやく周囲を見渡す余裕ができて来だした。見ていると、生の水菜がもわっとお椀に盛り上がって盛りつけられている鍋を持っている人がちらほらいる。あれはどこの鍋だろう。気になる。たかが水菜だが、インパクトがある。

あまり視線を上にばかりむけていてはいけない。この会場には子供が非常に多い。しかも、小学校に入らないくらいの年齢の子供だ。大人の視界からは完全に死角となるサイズなので、うっかりすると蹴飛ばしそうになる。蹴飛ばしたついでにお椀をひっくり返して子供にばちゃー、なんてなったら大事なので、本当に細心の注意を払いながらの移動が必要。

スーパー銭湯が「小さな子供がいる家庭のささやかな娯楽施設」になっているのと同じで、この鍋合戦も子供連れ夫婦の娯楽となっていた。安くて良いと思う。

12時40分時点速報。

完売:「地元おふくろ鍋」「とろろ味噌ちゃんこ」「冬野菜とトマトのイタリアン鍋」「あつあつスタミナもつ鍋」「献上そばすいとん」。

行列が長いのは、圧倒的に「こしがや鴨ネギ鍋」。さすが王者の風格。段違いなフットワークの軽さを持ちつつも、いまだに行列が途切れる事がない。あと、「鹿児島県産黒豚肉入りだんご汁」も相変わらずの人気。あとは、「とろーりチーズのはいったカレーちゃんこ鍋」と「塩モツ鍋」の行列が比較的長い。その他は沈静化傾向で、行列なしのところも増えてきた。あ、「武州煮ぼうとう」も行列が長い。一番端のブースなので気がつかなかった。「一番端」ということは、ここも人気店として主催者に認定されているのかもしれない。

「並んでまでは食べたくない。でも、何でもいいので何か食べたい」と思っているなら、12時半以降に訪れるのが吉だろう。

[10杯目:黒豚ソテー(ガーリック風味)と野菜達のトローリ鍋(潮睦會)]

黒豚ソテー(ガーリック風味)と野菜達のトローリ鍋(潮睦會)

鹿児島産黒豚のロース肉を醤油とガーリックでソテーしたものをくずあんのトローリとしたスープと野菜の上に乗せた鍋です。

トローリ鍋、というネーミングが惹かれる。擬音系に人間は弱く、メニューに「サクサク」とか「もっちり」などと書いてあったらついついて頼んでしまうものだ。その心理を見事に突いた鍋の名前。ただ、惜しむらくは名前が長すぎて、チラシ上では「トローリ」という文字が全然目立たなかったのが惜しい。

あんかけの鍋を10杯目で食べるのは相当無理があるが、でも気になるので食べる。ああ食べるとも。

鉄板で豚肉を焼く

店頭では、屋台の焼きそば店で使われている鉄板が置かれていた。そこで豚肉が炒められていた。できたての豚肉を鍋に乗せるぜ、という意気込みは素晴らしい。素晴らしいというか、よくやるなあ。機材搬入するだけですごく面倒だっただろうに。事前に仕込んでおけばどれだけ楽だったことか。

とはいえ、事前に豚肉を炒めておくと、肉が固まるし脂が白くなるし、あんまり良いことはない。こういう手段を執らざるをえなかったのかもしれない。

あれ・・・でも、これ、「調理」だよな。ルール違反じゃないのか。大会本部、これOKなの?まあ、手袋しているし、マスクしているし、衛生面としては問題ないとは思うが。

ちなみに、店頭でこのような調理を行っても全くパフォーマンス効果はない。なぜならば、そこら中ひとだらけ、行列だらけなので「視界に入るものすべてが人」なのだった。

黒豚ソテー(ガーリック風味)と野菜達のトローリ鍋

で、これが「黒豚ソテー(ガーリック風味)と野菜達のトローリ鍋」。

・・・あれ?

トローリはわかったが、野菜達はどこへ行った。視界に入るのは、キャベツと、豚肉。今まで他店はどこも具の豪華さ、量の多さを競っていたのだが、ここだけ異次元。ええと、塩味風味ということはポトフに近い味なんだよね。せめて玉ねぎとか人参とか、入っていても良いんじゃ?というか、「達」という名付け方はどうよ。

ふと店頭の看板を見てぶったまげた。「あっ、名前が変わってる!」

主催者が用意した看板を覆うようにして、微妙に異なる名前が張り出されていた。「黒豚とキャベツのトローリ鍋」だそうで。なるほど、その結果がこのお椀の中身か。確かに、見えるのは黒豚とキャベツだけだな。実は、底をすくってみるとキムチも入っていた事に気付いたが、その程度だ。

どうしちゃったんだろう?仕込みの関係か、仕入れの関係か、試作の結果シンプルな方が良いという判断なのか。部外者からはその真相はうかがい知れない。しかし、一つ言えるのは今までの中で一番貧相な見てくれの鍋、ということだ。

肝心の黒豚だが、炒めた際に縮んでしまって見栄えがあまりよくない。

そして、家庭の食卓の王様野菜とも言えるありきたりなキャベツ。せめて赤色系の何かが欲しかった。
まあ、何はともあれ味わってみる。

あれ、おいしいぞ。これ、シンプルながらに美味い。なんだろ、豚の旨みなのか、なんなのかわからないがつゆがしっかりと旨みが出ている。やや塩辛いのが惜しいが、シンプルな具のくせにいい味出してる。そして、とろみ加減も絶妙。表題どおり「トローリ」していたら相当にくどいが、ゆるめの堅さにまとめてあるので鍋のつゆとしても十分いける。いいコントロールだ。

そしてキャベツが憎い。てっきり、鍋でぐつぐつ煮込まれてへろんへろんになっていると思っていたのだが、7割方火が通った状態でストップされた状態。だから、食べるとシャキシャキ感があって食感が楽しい。そして、かじった時にキャベツの甘みが出る。火加減と、甘みとのバランスがとてもよい。これ、結構計算されて作られているぞ。

見た目さえもっとカッチョ良かったら素晴らしいのだが、これはやむなしか。あんまり具を入れて味がぐちゃぐちゃになるより、これくらいシンプルな方が美味いと思う。作っている側も、それに気付いて敢えてシンプルにしたのかもしれない。

ただ、これでは「鍋合戦」には勝てない。勝てないけど、美味い。・・・こういう鍋が、出店ブースの中にあっても良いと思う。勝てないけど美味い鍋。

カレーちゃんこ完売

12時57分時点、「カレーちゃんこ鍋」完売ですね。

「早い者勝ち!」という張り紙に偽りなし、といったところ。しかし、胡散臭いのは「\2,000→\200」と大幅値引きをしているかのような表記。9割引ではないか。どんなディスカウントストアでもこれはありえんぞ。

なんでこういう、公正取引委員会が見たら「二重価格表記だ」と突っ込まれるような事をやっているのか不思議だ。推測するに、このお店では「カレーちゃんこ」は2,000円で売られているのだろう。その代わり、土鍋いっぱいに入った1人前として。それが、お椀1杯200円で食べられますというわけでこういう表記にしたのだろう。比較対象が全く違っているので、こういう表記はまずいと思う。

でも、あまりに価格が違いすぎるので「そんなわけねぇよ」とみんな気がつく記述。まあ、その場の勢いで書きました、程度のノリで良いのではないかと。

ちなみにこの「日本橋亭」、調べてみたらチェーン展開している居酒屋だった。和光市にも一店舗構えており、今回はその和光市店が出店している模様。チェーン居酒屋も登場とは、面白い。ほんと何でもありだな。ついには「和民」や「笑笑」が出てきたらどうしよう。

この時点で客が随分引いてきた。1時間前までは立錐の余地なし、なくらい混んでいたのに、随分空いてきた。目に見えて空間に余裕ができてきた。ということは出店者側としては、販売にラストスパートをかけていかないとそろそろまずくなってきたということだ。売れ残りが一番悲惨だ。開始からまだ3時間足らず、そしてまだ2時間を残しているのにこの客足の早さは一体何。

お椀を返却した際に、投票券に付随して抽選券がついていた。抽選結果発表はイベントの最後に行います、ということだった。なるほど、そういうことか。主催者側としても、来場者がさっさとメシ食ってさっさと帰って最後は閑散とすることが分かっているので、予防策を講じたということなのだろう。

おっと、13時時点での確認では、「新倉じんじんポタージュスープ」も完売。ここは既に撤収完了してしまっているので、結構前から完売していた模様。もともと小規模経営的なところだったので、仕込みが少なかったのだろう。

「マグロと新鮮野菜の鍋」も終わり。「鳥団子鍋」も終わりと思われる。

この時点で、1,200杯を仕込んでいた「こしがや鴨ネギ鍋」もいよいよ完売。鴨ネギのマスコットキャラクター人形が登場して、来場者の写真撮影に応じております。

鍋仕込量チキンレース、徐々に終盤に向かいつつあるようだ。

そんな中、懸案の「チゲモツ鍋」がいまだ煮込まれ中。昼時のピークを完全丸ごと逃してしまった状態になってしまった。なんとももったいない。

普通、焦って「適当に煮えた時点で提供」しちゃうところだが、ここはじっくりと腰を据えて煮込んでいる。こうなったら妥協せずに美味いものを提供しよう、という意気込みや良し。ただ、もう人気投票の締め切りまで30分前。商工会による出店なので、ある程度動員がかかっているだろうし得票が期待できたのに、残念なところ。

今のところ、人気投票ではこしがや鴨ネギ鍋が優位といったところだろうか。個人的にはすっげぇ美味いとは思わなかったが、圧倒的動員数と「鴨肉」というところで票数を確実に伸ばしていくんじゃないかな。

[11杯目:ふるさと鍋(古民家愛好会&和光高校)]

ふるさと鍋(古民家愛好会&和光高校)

旬の地場産野菜と鳥ミンチ肉ダンゴ入り。シンプルながら奥深く、ふるさとを思いだ明日味付け。

もうこれこそ最後のいっぱい。これ以上は食べられません。いや、限界まで挑戦する企画ならばまだもう少しいけるが、そんな主旨じゃないし、太りたくないし。そもそも、塩分摂取のしすぎなのかどうか知らないが顔がむくんできた気がする。やばい。

その最後のいっぱいは、「高麗鍋」を選ぶつもりだった。要するにキムチ鍋。しかし、先ほどからちらほら見かける、「水菜どっさりの鍋」にどうしても心が惹かれてやまなかった。キムチ鍋をフィニッシュにすると、相当くどそうだ。しかし、水菜をはりはりと頬張るのはなんだかさわやかな予感。締めのいっぱい、ということを考えれば水菜の鍋が妥当だろう。

どこがそんな鍋を出しているのかと思って追跡調査をしてみた。すると、「ふるさと鍋」なる鍋を提供しているブースだった。なんという安直なネーミング。名前だけだったら絶対に食べない。水菜をたっぷり入れて正解だったねぇ。見た目で一気に挽回。おかでんの胃袋に滑り込みセーフだ。

それにしても「古民家愛好会」と「和光高校」のコラボチームということだが、一体どういう接点で彼らが結びついたのか、謎だ。そしてなおかつ、鍋合戦に出店した経緯も、謎だ。

旬の地場産野菜と鳥ミンチ肉ダンゴ入り

注文して出てきたお椀は、期待にそぐわぬ良い水菜の盛りっぷり。まあ、水菜の量がとても多いというわけではなく、単に火を通していない生の状態だからぶわっと盛り上がっているのだが。

具は、大根、人参、牛蒡、長葱、水菜、鶏団子、こんにゃく。鶏団子は意図的か偶然か不明だが、煮くずれて鳥そぼろ状態になっていた。

具が激しくでかい

この鍋の特徴は、具がでけぇことでけぇこと。とにかく、どれもがデカい。大根なんて、おでんの具並にでかいし、こんにゃくも「細かくちぎって入れた」なんて言わせない。「うぉりゃあ、とちぎってぶん投げた」という形容がぴったりだ。田舎風鍋、というコンセプトを突き詰めていくと、「具がデカい」という結論に達したのだろう。確かに、この武骨さは確かに田舎っぽい。根拠は全くないけど。

どのお店の鍋も具の量は多いが、「デカいままぶち込みました」という店はなかった。デカ具というジャンルとして認定したい。これだけデカけりゃ、煮るのに時間がかかっただろう。苦労が偲ばれる。あ、でも、具を切る手間が若干簡略化されているので帳消しか。

具には大感激なのであったが、さすがに11杯目でこれは食べ歩きキラーだ。いや、いっぱい目にこれだったとしても、二杯目、三杯目と行くには躊躇してしまうボリューム感。こういう、「自店の具の量で他店を妨害する」というポジティブ妨害もあり得るから面白い。もちろん、提供している側は他店を妨害する気なんてさらさらないとは思うが。

味はどうかというと、うーん、なんだかつゆがイマイチなのであった。なぜか、酸っぱい。酸味とえぐみが感じられる。どこからこの味が出てしまったのだろう。最初、後のせトッピングである長葱と水菜からにじみ出たものかと思ったが、どうもそうではないようだ。季節柄、つゆが傷んだとも考えにくいし、何だろう。意図的にこの雑味を演出したとは思えないので、何かのアクシデントだと思われる。

正直おいしいとは思わなかったので、投票対象から外した。惜しい、具は最高だったんだけどな。

おなかいっぱいになったので遠巻きに屋台を眺める

13時16分。もうギブアップ。さすがにこれ以上は無理だ。

お手洗いに行きたい気分に何度も襲われ、そして元通りになる。ただ、できるだけトイレには行きたくない。たくさんの人がトイレを使っているので、結構汚れているからだ。我慢できる範囲で我慢しておこう。それよりも、水分が欲しい。喉が渇いた。鍋ばっかりだからなあ。

昔のおかでんだったら、「鍋にはやっぱりビールだぜ」とかいってビール飲むために訪れたんだか、鍋食べるんだかわからない状態になっていたはず。しかし今回は車なのでビールは御法度だ。そもそも、これだけ人がいっぱいで、なおかつ片手にお椀、片手に箸を握りしめている状態においてどうやってビールを飲めと?

13時16分時点の完売状態をおさらい。完売店舗が増えてきたので、まだ販売中の店だけを紹介。なお、早く完売した方がエラいわけではなく、イベント最後まで安定的に売り上げた方がエラいことを念のため補足しておく。

この時点で結構売り切れ店が出てきたため、まだ完売していないお店に行列ができつつある状態。

「コクーンの野菜たっぷりすいとん」、まだ売れ残ってます。行列中。

「YES,WE 豚」の「究極至高の元気豚汁」は全員でもう打ち上げ状態。自分たちの鍋をお昼ご飯にしてくつろいでおります。

「情熱!祭鍋」はまだ売れ残ってます。今行列ができてスパート中。

「かす汁」、まだ頑張ってますが残念ながら行列はゼロ。

「天日干し自家製大豆のチリコンカン鍋」、これ胃袋に余裕があれば食べたかったんだよなあ。でも、まだ売れ残ってます。人の数はそこそこいる状態。

「豆乳入りホワイトヘルシー鍋」、まだにんじんうどんで絶賛発売中。マニアックな鍋ではあるけど、結構仕込んでいたようだ。

「寿司屋のつみれ鍋」、こちらはまだ売っていてびっくり。あれだけ行列ができたお店なのに、よくぞ仕込んだものだ。ひょっとしたあの行列は「単に客さばきの手際が悪かっただけ」・・・ではないと思うんだが、どうか。

「塩モツ鍋」、これは現在最大勢力で行列中。40名近い列になっている。名前だけ見るとあまりぱっとしないのだけど、頑張ってるなあ。

「黒豚とキャベツのトローリ鍋」、店員さんが暇そうにしているけどまだ売られている状態。頑張れ。

高麗鍋のビラ

高麗鍋、まだ売っている。この時間になってもテンション下げることなく、大きな声で客引きをやっている。

高麗鍋。「こうらい鍋」と読むのではなく、「こま鍋」と読む。日高市の高麗地区の鍋のことだ。ここは、約1,300年前に渡来人である高麗人が移住した由来があり、その経緯でキムチ鍋を出している。もちろん、1,300年前なんかにはキムチは存在しなかったので(一説によると、朝鮮半島に唐辛子を持ち込んだのは日本人で、豊臣秀吉が朝鮮討伐に行った際、というものがある。本当かどうかは知らん)、「古くから伝わる伝統の味」というわけではない。近年、オラが地元のルーツを考えていく上で、「そうだキムチ鍋を売りにしよう」として作られたものだろう。

高麗鍋の定義3箇条が張り出されてあった。・キムチ味 ・地場産野菜 ・高麗人参 という条件を満たして初めて「高麗鍋」になるのだそうだ。「地場産野菜」を使うというのが結構厳しい条件だ。地場=埼玉県日高市だとすると、日高市では栽培されていない野菜を使えないのでバリエーションに限界がある。たとえば、香菜やパプリカを使いたいと思っても、栽培している農家があるかどうか。

そんな「主旨はわかるが拡張性に乏しいのではないか?」と疑問を持ってしまう高麗鍋だが、来る2月8日に「高麗鍋コンテスト」なるものを日高市は高麗神社境内で開催するそうだ。高麗鍋の定義はできていても、まだ切磋琢磨して味の鍛錬ができておらん、ということか。これから内紛状態をしばらく続けて、圧倒的美味なるレシピを作り上げようという魂胆と思われる。頑張って欲しい。コンテストを通じて、「この野菜を使いたいので、栽培して欲しい」というリクエストが地元農家の人に行くだろうし、場合によっては自分で栽培しちゃえ、となるかもしれない。そうなるとまた面白い地元振興に繋がるだろう。

おっと、モツ煮込み中で完全周回遅れになっていた「チゲモツ鍋」、ようやく販売再開(ひょっとしたら「開始」かもしれん)。コンテスト投票締め切りまであと15分ちょっと、イベント終了まで2時間を切っているが、最後まで頑張れ頑張れ。行列はとても長い。

東洋☆ザ・キックの「大すきもつ鍋くん」は、ちょうど完売。フロントでは札束の勘定を開始し、裏手では寸胴の奥に残ったものをさらっている状態。

「牛すね入りたっぷり野菜のポトフ」もまだ検討中。テントの中では、牛の着ぐるみ(なぜかホルスタイン)を着た人がわっせわっせと鍋を準備していた。

「おがの祭りもつ鍋うどん」はまだ発売中。「ライオンズちゃんこ鍋」もまだ売っているものの、寸胴から残りを小さな鍋に移し替えており、カウントダウン開始。

とっとと完売した「にんじんポタージュスープ」のブースは、もう跡形もない状態。引き際がやたらと早いぞ、おい。

満腹だし、全てのブースをひととおり見て回ったので投票所に行く。食べたかったけど食べられなかった鍋がまだまだいっぱいあったので、公正な判断はできない。しかも途中から満腹状態だったわけだし。こうなると、えいやっと入れるしかない。手元には投票券11枚があるので、これをどう振り分けるかは思案のしどころ。どこか一箇所にどかんと全部投票したって構わない。

結局、思案した結果「イタリアン鍋」「そばすいとん」「とろろ味噌ちゃんこ」に、傾斜配分をつけつつ投票した。

「黒豚入りだんご汁」も美味かったのだが、投票所の脇で和光鹿児島会の西郷どんが「10番!10番(和光鹿児島会のエントリーナンバー)に入れて!」としつこく勧誘していたのが気にくわなかったので、ゼロ票にした。このような行為ははっきりいってみっともないのでやるべきではない。票が欲しくてたまらないですという欲望が剥きだしで、いい気分じゃない。しかも、来場者は「どれも甲乙つけがたい。どうしようかなあ」と思いながら投票所に来ているわけで、逡巡している最中にこのような勧誘を受けたらついつい10番に入れてしまう。実際、「じゃあ10番に入れるわ」という人、何人もいた。

ただこれはまだ可愛い方で、明らかに不正行為をしようとしているブースがあったことも併記しておきたい。自分のブースに支給されたお椀を、未使用のままゴミステーションに持ち込み投票券と交換しようとしていたのを目撃している。これはひどい。

ただ、うんちくを垂れる料理評論家が登場して審査する方式よりも、参加者が審査員という現行方式のほうが良いだろう。ただ、そうすると関係者を大量動員して組織票を組むとか、いろいろ不正も可能になる。問題点は多いが、かといって対応策があるわけでもないところが難しい。

自転車屋が出店していた

投票を済ませた後、会場を後にする。

会場の外には、鍋以外の一般店舗が出店していてこちらもそれなりににぎわっていた。

ただ、なぜ自転車店が出店しているのか、非常に謎だった。こんなところで自転車を買っていく人、いるのだろうか?

お店の人はチャリンコを売る気満々のようで、新品自転車をまるで駐輪場のようにずらりと並べていた。これの運搬だけで相当手間暇かかるだろうに。

おにぎりを売っている屋台

おにぎりを売っている屋台は、既に完売御礼で奇麗さっぱり片付けられていた。

やっぱり、鍋食べているとご飯が食べたくなるものらしい。なるほど、これは良い着眼点だ。おばちゃん、良い商売しましたね。

会場外でも大行列

会場外でも売り切れ店がある中、鍋合戦のブースに負けずと長い行列を作っているところがあった。何だ、これは。

精肉店のコロッケ、大繁盛

店をのぞき込んでみると、そこはコロッケ販売をしていた。精肉店が出店していたのだった。揚げたてのコロッケが90円。メンチ、ハムカツなどもある。

「たかがコロッケなのに」と思うが、そういえば「日光そばまつり2008」に行った時もコロッケ屋台が大人気だったっけ。コロッケはこういうイベントでは人気なんだな。よく覚えておこう。

もちろん、作りおきコロッケなんてスーパーのお総菜売り場に行けばいくらでも売ってる。多分、行列を呼ぶ理由は「揚げたて」であることに尽きる。確かに揚げたてコロッケを手軽に食べられる機会ってあまりないよな。家で揚げても良いけど、手間だし、その他盛りつけやご飯みそ汁の準備をしている間に冷めてしまう。

もつ煮込みが売られていた

笑えたのが、会場外のブースでもつ煮込みが売られていたということ。しかもそれに結構行列ができている。おい、鍋合戦の鍋を食べないで何やってるの、行列の人たち。もつ鍋の店はまだ会場内で営業やってましたよ。

こちら、お値段は「中」で200円、「大」で500円。「中」はさすがに鍋合戦と同じ価格帯にしてあるが、「大」は「中」の2.5倍のお値段。一体どれだけデカいお椀に入っているのか、とても気になった。でも食べないけど。

その日の夜、早速webニュースで鍋合戦の結果が速報された。大手新聞社のニュースサイトに結果が掲載されるくらい、大きなイベントに成長したのだな。和光市商工会のアイディア力とPR力には脱帽だ。

ニュースによると、来場者は(のべ)38,000人とのこと。凄いな。一人3杯食べたとしても、12,000人以上が訪れたということだ。和光市及び和光市商工会そのものは大して儲からないイベントだけど、東武鉄道と東京メトロ、そして会場周辺の自販機は潤ったのではないか。

第五回鍋奉行の座を射止めたのは、和光鹿児島会の「鹿児島県産黒豚肉入りだんご汁」だったそうだ。そうかぁ、やっぱりなあ。美味かったもんな。

投票所で勧誘行為をしていなければ、おかでんも気持ちよくここに投票できたのだが、あれを見てしまったので非常に残念だ。

これで「黒豚肉入りだんご汁」は二冠。二度とも、こしがや鴨ネギ鍋の連覇をストップさせたことになる。

次点は僅差で、「武州煮ぼうとう」だったという。むう、やっぱり会場の端のブースは強いんだな。食べておけば良かった。

こしがや鴨ネギ鍋、連覇ならず。あれだけ売りまくったのに、作戦失敗か。

これで、過去5回のうち、「こしがや鴨ネギ鍋」と「黒豚肉入りだんご汁」がそれぞれ2回ずつ鍋奉行の座に就いた事になる。それはそれで偉業だが、強者と弱者の差があまりにはっきりしすぎると面白くない。来年は、この2強をひっくり返すぐちゃぐちゃな展開になることを願ってやまない。来年の開催も楽しみだ。ぜひ訪れたい。

(2009.01.25)

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