お豆腐目当てで早起きしよう【入谷朝顔市⇒笹乃雪】

時刻は朝7時40分。なにやら温泉旅館の夕食でも始まりそうな勢いだぞ、おい。

最初にやってきたのは、「生盛膾(いけもりなます)」という料理。いわゆる「八寸」みたいなものだろうか。そして右には、サイコロのような正方形の冷奴。ごつい。

こういう冷奴を出すのは、よっぽど味に自信がないとできないはずだ。だって、大して美味しくなければ、これだけでもうウンザリしちゃう。ある程度お腹に溜まっちゃうサイズだし。

冒頭からでかい冷奴を出しても、このあとに続く豆富料理に対して飽きを感じさせない上にむしろ期待感を募らせる、そんな自信があるからこそできる芸当だ。

うん、食べてみたら案の定うまい。わかりきっていた答え合わせだけど、うまい。

豆腐の場合、何をもってして「うまい」と定義づけするのかは人それぞれだ。「男前豆腐店」のようなごついものが好きな人がいれば、卵豆腐みたいにちゅるんとしたのが好きな人もいる。香り重視、食感重視、それぞれだ。

このお店の豆腐は全てにおいてバランスがよく、レーダーチャートで味とか食感とか香りとかを表示すると、円形に近いかたちになるような気がする。まんべんなくうまい。誰もが納得の味だ。

飛竜頭(ひりょうず)。

メニューには載っていなかったけど、飛竜頭も出てきた。

豆腐ってにくいやつだよな、そのまま食べても最高なのに、油との相性もいい。油揚げ、がんもどき、厚揚げ。そして麻婆豆腐になんてして食べても素晴らしい。

あとは、おからを美味しくいただく方法さえあれば言うことなしなんだが。あれだけ大量に出てくるおからを、どうにかして飽きずに大量に食べられるようになれるだろうか?

雲水

変わった名前の料理だが、出てきたのは茶碗蒸し・・・とも違うし、スープのようでもある。季節の七種類の素材を投入で煮込んだもの、なのだそうだ。へええ。

胡麻豆富

おや。胡麻豆富も出てきたぞ。大豆で作った普通の豆富と違って、胡麻豆腐というのは葛粉で作るもので全く別物だ。でもこのお店の場合、これも豆富の一種ということでスターティングメンバーに入れている。

松の実がちょこんと上に載せられているのが愛しい。

「豆富にはこういう変化球もあるんですよ」という驚かせにしては、これもまたやたらとうまい。ねっとりと絡みつくその触感は、朝からエロい。

そういえば朝だけど、周囲のお客さんはお酒を嗜んでいらっしゃるミドル夫婦などが結構いらっしゃった。そりゃそうだよな、こういう料理を前にして、一献やりたくなるのが人情ってもんだ。

とはいえ、本日は月曜日。僕もいしもこれから出勤だ。なにしろこのあと2時間もしないうちに僕は職場のパソコンに向かって仕事をしている状態になっているわけで、にわかには信じられない。

だって、まるで温泉旅館の晩飯だぜ?このあと、もう一回露天風呂にでも入ってくるか、って思うもん。

あんかけ豆腐

あんかけ豆富

これが笹乃雪を有名たらしめたスペシャリテ、らしい。

どこぞのお偉いさんに出したら、「あまりにうますぎて一杯じゃ足りないから、次からは最初から二杯出すように」と言われたという伝説が残っているとか。だから、一人前で豆富が二杯。

この写真、二人分の写真じゃないのよ、これで一人前。

さっきからやたらとボリュームがある料理を食べているように見えるでしょ?冷奴だけでお腹いっぱいになりそうだし。でも、さすが豆富。量を食べているようでも、満腹になっていない。むしろ、もっと食べたい、次は何だ?という気持ちにさせてくれる。

これもメニューには載ってなかったけど、ひょっとして3,000円のコースではなくて「えーい、この際だから高いコースにしちゃえ」と3,900円のコースを頼んでいたのかもしれない。記憶が曖昧。

これは、揚巻湯葉と高野豆腐を炊いたものだ。

そうそう、湯葉というのもにくいヤツだよな。これ、本当にけしからんよ。お値段が高いからそうそう手は出さないけど、安いなら毎日の食卓に上げたいランキングの五本の指に入るかもしれない。

乾燥しているのは揚げていない湯葉もいいし、揚げている湯葉もいい。もちろん、標準的なよくある「汲み上げ湯葉」は余人をもって代えがたい旨さだ。あれはもう、エロいだなんて形容できないな。清楚すぎて。下々があれこれ余計な比喩表現をしちゃいかん、みたいな。

絹揚げ

いわゆる揚出し豆富、というわけだな。絹ごし豆腐を揚げたものだ。揚げだけでガラリと風情が変わるから、豆富というのは面白い。

スーパーで売ってる厚揚げなんかとは全然違う、キリッとした食感はさすがお店で食べる料理ならでは。肉ではないので、揚げてあってもぜんぜんくどくない。「朝の揚げ物」としてはぴったりだ。

豆富茶漬

はっはっは、こうきたか。

お茶漬けの具として、細く刻んだお豆腐がいっぱい入ってる。昔、ドラマ「おしん」で、生活が貧しかったので少量のご飯に大根をたくさん入れた「大根飯」を食べる、という話があった。一方これはどうだ、豆富飯なわけだけど、むしろこれは贅沢品だ。

豆富アイス

あっ、もうコースの締めになっちゃった。豆富アイス。まさか豆腐がアイスになるとは。というか、アイスにする必然性があるのか?と思うが、それを言ってはおしまいだ。

さて、只今の時刻は8時前。そろそろお店をあとにしよう。一旦朝顔を家に置いてから、会社へGOだ。早朝から、朝顔を見たり豆腐を食べたり、東京にいながらにしてとても不思議な、非日常的な体験ができた。お金はかかったけど、満足度が高い「東京の夏」感の満喫だった。

(この項おわり)

1 2
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください