自宅で珈琲焙煎(ガスコンロ+電動メカ編)

コーヒー豆の焙煎は、僕の日常にすっかり組み込まれている。一度自家焙煎を初めてしまうと、今更市販の焙煎済み珈琲豆には戻れない。値段が相当違うからだ。

僕の人件費と、光熱費を考えると市販よりもきっと割高だ。でも、楽しんでやれているので人件費はタダと考えている。

最初のうちは、銀杏を炒る網で焙煎をしていた。自家焙煎始めたての頃の記事がこのサイトには残っている。

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しかしほどなく現在のパートナーとなる彼女がほぼ我が家に入り浸るようになり、そのまま同棲が始まり、そのままあっという間に結婚に至った。この流れの中で当然珈琲の消費量は1.5倍~2倍となり、とてもじゃないが銀杏網でガサガサやっている余裕がなくなってきた。

無心で網をガサガサやるのは楽しい。修行でもあり、ヒーリングでもある。しかし、焙煎中にイヤホンをしてラジオを聞いたり、音楽を聞くわけにはいかない。そして、他のことができない。なぜなら、豆が爆ぜる音を聞き分けながら火力調整をするからだ。なので、焙煎回数と時間が増えると、反比例して自分の余暇時間が少なくなった。

そんなわけで導入されたのがGeneCafe(ジェネカフェ)。電気ヒーターで焙煎するロースターだ。

ご家庭で珈琲豆を焙煎しましょう、という文化はまだまだ日本では根付いていないのか、売られているものは海外製のものが大半だ。なかでも、韓国製、中国製が多いようだ。なので、中には変圧器を電源コンセントに挟まないと動かないものもある。

GeneCafeは比較的知名度が高い焙煎機だ。珈琲の専門書で紹介されていたり、この機械を使った焙煎のノウハウを伝えるサイトや動画がネットにはいくつか見つかる。タイマーが装備されているし、1度単位で温度調整ができるダイヤルがついているので、細かいチューニングができる。手作業とはなるが、最初の5分は160度、そこから1ハゼまでは230度、みたいなことができる。

ただし、値段がギョッとするほど高い。値段はだいたい8万円弱。いくら「生豆を自家焙煎をしたほうが安い」と自分の趣味を正当化しても、この焙煎機の出費を前にすると家庭内で説明が付きづらい。

ええと、都内あちこちにある、「注文してから生豆を焙煎してくれる自家焙煎珈琲豆店」の場合、だいたい100グラムが650円から、といった価格帯だ。一方僕はというと、生豆を1kgで1,000円~2,500円の間くらいで買っているので、ええと、何キロ焙煎すれば元がとれるんだ?電気焙煎だとかなり電気代がかかるだろうから、それも考慮に入れると・・・

わからん。わからんけど、気になりすぎたのでこのGeneCaffeを買った。それが確か2019年春先だったと思う。完全に同棲して、財布を二人で一つにまとめていたら、こんな高い買い物はできていなかったはずだ。まだ僕の財布は僕のお金、という分け方だったからの高価なお買い物。

このときの焙煎については記事にしようと思っていたのだけど、結局書きそびれた。「おっ!」という驚きと、「あれ?」というクエスチョンと、「うーん」という悩みと、いろいろ交互にやってきたので「結局、話をまとめるとGeneCafeというのはこういうものでした」という文章を書くタイミングを逸してしまったからだ。

ただ、便利なのは間違いなかった。なにせ電気だ、ガスと違って火事の心配はない。調子にのって、週末は1日で1kg(250gを4回)焙煎した日もある。

でも、これらが全部過去形として書かれているのは、2021年に入ってからこの焙煎機を廃棄したからだ。元が取れたかって?うーん、たぶん取れた。きっと取れた。うるさいこれ以上聞くな。

だんだん温度が上がりにくくなってきたな、というのは使い込んでいるうちに実感としてあった。240度に設定しても、温度センサーの表示は225度くらいで頭打ちになってしまう。高温の温風が吹き出るヒーターがヘタってきたのかもしれない、と思い、購入してから1年でヒーター部分を買い直した。GeneCafeはパーツがバラ売りされているので、機械工作がお嫌いでなければ自分で交換できる。

パーツがバラ売りといっても、安いものじゃない。ヒーターは9,000円弱したと思う。おおう、高い。でもしょうがない、最大250度くらいの熱を吹き出す部品だ。頑丈に作られて当然で、むしろこれが激安だと不安なくらいだ。

GeneCafeをバラバラにバラしてパーツ交換をする。ヒーターを交換するのに要したのは、30分強だったか。けっこう面倒だった。

で、ヒーターを交換して、フレッシュな状態で珈琲焙煎ができると思ったけど、状況はちょっとしか改善しなかった。うーん、センサーがヘタっているのか・・・?

このマシンにはセンサーが二種類ついていて、温風吹出口に1つ、排気するところに1つある。これで、「ヒーターの温度」と「実際の庫内の温度」を見比べ、設定した温度に近づけるように火力の微調整が自動的に行われる。で、どっちのセンサーがヘタってしまったんだろう?

いっそのこと両方交換?いやー、手間はともかく、これがまたそれなりにお金がかかるんよ。そして、センサーを交換したところで完治するような気がしないんだよな。そうしたら無駄金だなあ。

そのまま首を捻りながら使い続けていたのだけれど、さすがに20分かけても焙煎が終わらず、もくもくと黒煙を吹き上げる威勢の良さがないまま「なんとなく豆が黒くなってきたので終了」という状態が続くと諦めがついた。これはもう、使うのをやめよう。

こちらの理想としては、10分~15分で焙煎を完了させたい。珈琲豆の場合、「じっくりコトコト」なんてやっていたら風味が飛んでしまうからダメだからだ。時間が短すぎると酸っぱいし、時間が長すぎると苦いし、本当にバランスが難しい嗜好品だ。20分の焙煎だと、僕の感覚でいったら「味がスカスカ」だと感じた。

じゃあ変わりの方法はなにかないのか?・・・と探しても、なかなか代案が出てこないのが珈琲自家焙煎の悩ましいところだ。Amazonを漁ればいろいろ出てくるのだけれど、口コミ評価は人によってバラバラだ。結局、焙煎経験がどれほどあるか、どういう珈琲を理想とするのか、というところで評価軸が異なるのだろう。「この焙煎器を買えばオッケー!」というわかりやすい勝利の方程式が見つからない。

実は、パナソニックも「The Roast」という名前で自家焙煎機を販売している。

https://panasonic.jp/roast/

ただし、これは「貴族の遊び」のレベルのものであり、僕らプロレタリアートが買うものではない。最初っから除外している。パナソニック製ならば、品質に信頼ができるのだけれど。

この「The Roast」は電気による温風で焙煎する焙煎機だ。特徴なのは、スマホと連動していて、スマホアプリから豆にあった焙煎プロファイル(分刻みの焙煎温度設定)を指示するようになっているということだ。IoT感があって、いい。

ただし、一度に豆を50gしか焙煎できないのはキツい。焙煎後は水分が抜けて40gくらいになるはずなので、会社に行く際に水筒に詰める珈琲の量にしかならない。つまり、焙煎が日課となる。

さらに、値段がすごい。1台、11万円。えっ!?と二度見してしまう値段。何かの見間違いかと思うけど、これが現実。おそらく、パナソニックはこれがマニア向けの少量しか売れない機器だという見立てなのだろう。だから、製品化するまでにかかったコストを商品価格に転嫁すると、えらいお高くついてしまう。

11万円で良い焙煎ができるなら・・・と腹をくくったとしても、ハードルはその先も続く。これもまた「えっ!?」と二度見してしまう。生豆を定期購入しなければならないからだ。そのお値段、200gで2,160円。ははは、僕が1kgの生豆を買う値段だぞこれ。

もちろん、その200gの豆には最適な焙煎を実行するためのプロファイルが存在する。そのノウハウ代込、ということだが、だとしても高い。「貴族の趣味」としての焙煎機なので、きっと相当良い豆を使っているんだろう。

おそらく極上の珈琲が仕上がるはずだ。しかし、プロファイルをアプリから送って、スイッチオンするだけで焙煎完了。それだったら、近所の自家焙煎珈琲豆店から毎日豆を買ってきて、その都度珈琲談義でもやったほうがまだマシではなかろうか?幸い僕の家の近くには、焙煎をやっている豆屋さんがあるので。

生豆の定期購入とセットで売るのはズルい!と思うでしょ?僕もそう思う。で、そんなアナタのために、パナソニックは「自分でプロファイルを設定できるよ。だから好きな豆を自由に焙煎できるよ!」というタイプのThe Roasterも提供している。その名も、「The Roast Expert サービス」。お値段は・・・275,000円。

「嫌なら買うな」という言葉がぴったりのサービスだ。これほどまでに清々しい「嫌なら買うな」はそうそう見たことがない。うん、僕はいらない。・・・違った、「買えない」が正解だ。

(つづく)

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