2020年6月/三密の山・高尾山&高尾山ビアマウントのwithコロナレポート

食べ物を受け取るカウンターを見て回る。

まず、カウンター一番左端「A」のエリアは、ピザとカレーを扱っている場所だ。厨房の奥に、本格的なピザ窯に薪がくべられているのが見える。このビアマウントではピザが大人気メニューで、焼きあがるたびにあっという間になくなってしまう。

そんなピザだけど、ご時世柄「ご自由にお取りください」とはなっていない。ぴったりとサッシが閉まっていて、開店休業状態になっている。

で、そのピザだけど、焼きあがったものが隣に置いてあった。ホットプレートの上に載っている。シュウマイと並んでいるので、まさに看板通り「イタリアン・中華」のゾーンということになっている。ちなみに、この界隈にはエビチリや焼きそば、茄子のチーズ焼きなどが並ぶ。

お隣は揚げ物コーナー。唐揚げ、餃子などが並ぶ。

お客さんは先ほどの「イタリアン・中華」コーナーとセットで、厨房にいるスタッフさんに「すいません、アレとコレを・・・あっ、それとあっちのも!」とお願いしてお皿に盛り付けてもらう。餃子とかなら、「2個!」などと具体的に指定できるからいいけど、焼きそばのように量がぼんやりしているものについては指定がちょっと難しい。「もっと多く!」とお願いするのはちょっと気恥ずかしいし、かといって遠慮するのは、むしろ後でおかわりをする際にスタッフさんの二度手間になるし。ちょっと悩ましい。

いずれにせよ、自分が何をどれだけ取るのか!?という喜びの半分を持っていかれた感じで、慣れない上に手間がかかるし、正直言ってワクワク感が半減だ。こういうのも、「New Normal」ということで馴染んでいくのか、やっぱり面白く感じないままモヤモヤが続き、こういうスタイルの営業は廃れるのか、どっちなのだろう?

Eは「本日の名物料理」コーナー。

八王子ラーメンがシメとして用意されている。玉ねぎのみじん切りがトッピングされた醤油ラーメンだ。この生玉ねぎのピリッとした刺激が、アルコールでぼんやりした頭をリフレッシュさせてくれる。・・・たぶん。僕はお酒を飲まないからわからないけれど。

そして、シメとは別に、お酒のつまみに、ということでおでんも用意されていた。

最後。Fのエリアには「デザート・野菜・ほか」。

すべてのカウンターに言えることだけど、厨房と客との間にはビニールシートの仕切りが張ってあって、厨房とやりとりする際の飛沫防止に一役買っている。

もういっそのこと、このビニールシート越しに料理を好きに取らせてくれよ、と思う。でも、「トングを不特定多数の人が触る」ということ自体がアウトだと言われているので、やっぱり無理なんだろうな。

withコロナ時代のビュッフェで、ひとまずの解答となりうるのが「小鉢・小皿での料理提供」だ。トングを使って好きなものを好きなだけ取るわけにはいかないご時世じゃ、せめて小皿単位で取れるようにしてくれると嬉しい。

ここで置いてあった小皿は、

プチトマト、グリーンサラダ(八王子野菜使用)、枝豆、きゅうり、よだれ鶏、デザート盛り、フルーツ盛り

だった。渋い料理ばかりな気がする。ビアガーデン!ヒャッホウ!という人向けではない。もし可能なら、この小皿制度をヒャッホウな気分になる料理(といっても、唐揚げとかフライドポテトとかで構わない)にも拡大して欲しいものだ。

あと、そうなってくると「トレイにたくさんお皿が載るように、縁が広がっていない、無駄のない形のお皿」が望ましい。具体的に言うと、小鉢だ。小鉢、あれは今思うと相当にいい。四角に近い形だし、縦長だし。トレイにたくさん並べるのに向いている。こういうご時世だからこそ、小鉢が見直されていい。

八王子野菜が使われているというグリーンサラダの野菜がホワイトボードに列記されていた。

あと、肉じゃがもあるようだ。

僕が写真を撮っている間に、いしが料理を取ってきてくれた。ここで僕が新たに料理を獲得しに出撃していたら時間が勿体ないので、一旦ここで乾杯することにした。

ノンアルコールビールがないので、ジンジャーエールで。

ファーストアタックとなる料理にしては、地味だ。というか、なぜお皿に余白があるのか。このあとおかわりに行く手間を省くために、1回目はお皿に盛れるだけ盛る、というのが鉄則ではないのか?

・・・ああ、この「鉄則」は僕だけのマイルールか。いくらおかでんのパートナーとはいえ、さすがにこの考えには賛同してもらえないっぽい。

それはともかく、これが「お店の人に盛ってもらう」スタイルのビュッフェの限界だ。やっぱり、遠慮してしまう。「シュウマイ4個!」なんて言いづらいので、2個になってるし、「料理を端から順に全部!」とも言えないから、結局お皿に広大な空き地ができた。

ただ、そうはいっても満足度はものすごく高い。屋外、しかも山の中での食事。しかも人が殆どいないとなれば、もう気分は右肩上がりだ。これが従来の激混みだったら、俗っぽさが勝ってしまうけれど、今日ばかりは静寂。そして冷涼な空気がすーっと日暮れとともに流れ込んできて、心地よい。はっはっは、ジンジャーエールでの乾杯でも嬉しいものだな。

セカンドアタック。

ダメ元で、生ビールコーナーのスタッフさんに「ノンアルコールビールって、置いてます?」と聞いてみたら、「ありますよー」と言われた。えっ、マジで?どこにもそんな表示、出てなかったのに。ラッキー。聞いてみるものだな。

以前ここでノンアルコールビールを頼んだときは「サントリー オールフリー」だった。しかし今回は「アサヒ ドライゼロ」。350ml缶をジョッキに注いでちょうどなみなみ。いいね、この見た目。

嬉しくなっちゃって、2杯同時に頼んじゃった。どうせすぐに飲むから。

昔、お酒を飲んでいた頃のおかでんそのまんまだ。「どうせ飲むから、2杯ください」というのは10年20年前から変わっていない定番ムーブメント。

本来のビアマウントなら、ジョッキ飲みきりで次のジョッキと交換、というルールなのでこういうことはできない。しかし今回は「コロナのどさくさ」でできてしまっている。いずれはできなくなると思うので、ラッキーだった。もちろん、残さず飲みますよ、一滴残さずに。

嬉しい誤算でノンアルコールビールを「くはーっ」と言いながら飲む。先ほどジンジャーエールを飲んじゃったのでそこまで「くはーっ」ではないのだけれど、気持ちの上では「くはーっ」だ。なにがなんだかわからないかもしれないが、そういうことだ。

ただ、もう一つの誤算もあった。

やっぱり、僕でさえも料理については遠慮が働いてしまったということだ。

写真手前の丸い皿は僕が取ってきた料理だけど、餃子2個、唐揚げ2個、焼き鳥2本だった。どうしてもスタッフさんに注文するときに気を遣ってしまう。それは自分のプライドとの兼ね合いでもあるし、「スタッフさんに細かくあれこれ料理を取ってもらうのは悪い」という気持ちが働くからだ。

どうも残尿感が残る。

僕みたいに「ガツンと食べて、帰り道すがら『しまったなあ、ついついタガが緩んで食べ過ぎちゃったなあ』とお腹をさするのも醍醐味」と感じている人からすると、ちょっとこの残尿感は惜しい。

いずれ場数を踏むと、慣れてくるのだろうか?どうなんだろうか?本当にニューワールドだな、コロナ下では。

料理数はそんなに多くない。なので同じ料理を繰り返し取ってくることになる。またもや餃子と唐揚げさんこんにちは。

おでんと、八王子ラーメン。

昔僕がビール飲みだった頃、「おでんというのはビールのつまみにならねェなァ」とつくづく感じていた。これはどちらかというと清酒と合う食べ物だ。腹に溜まりやすいビールのアテにしちゃあ、ずっしりと重量感があり、食べると一気に腹に溜まるおでんというのは相性が悪いと僕は思っている。

いずれにせよ、何やらもうそろそろシメの雰囲気。

いしはお酒を嗜む人だけど、「なかったら無いでぜんぜん問題ない。付き合いで飲むけれど、飲んだら眠たくなるしだるくなるので、むしろ飲まないほうが楽」と仰る。なので、二人揃ってバクバクご飯を食べていたら、結構速いペースで満腹になってしまったというわけだ。

本日最後。焼き鳥と唐揚げがしつこく出てくるのは、よっぽど気に入ったから・・・というよりも食べやすい・頼みやすい料理だったからだ。

名物の窯焼きピザだけど、焼き上がったものがホットプレート上で保温されており、迫力がぜんぜんない普通のピザになっていたのが惜しい。

館内放送が30分おきくらい?にかかって、スタッフさんはそれを合図に各所の清掃をやっているようだった。衛生管理を厳しく行っていることが伺える。「屋外だから、いいでしょ?」と思っていないのが素晴らしい。

お店の様子を眺めていたら、このお店の偉い人っぽい人に声をかけられたので、今後について話を聞いてみた。すると、

「いずれは皆さんにトングを持ってもらって、料理を自分で取れるようにする」

のだという。えっ、マイトング!?

これはこれで新しい。トングの使いまわしで感染リスクがあるならば、マイトングを最初から渡しちゃえばいいじゃん、というわけだ。

いや、でも、誰しもが真っ先に考えるのが、「汁気のあるものを触ったトングが、その後別の料理に使われるのは嫌じゃん?」ということだ。たとえばエビチリをつかんだトングで、そのまま唐揚げをキャッチするのか?

さすがにそれだと、唐揚げが汚れてしまう。自分が食べる分にはいいけど、他人様の分まで汚れる。この問題はどうするのだろう?

まさか、料理単位でマイトングを用意する・・・わけはないよな?料理を盛り付けるたびに、マイトングを交換する。いや、一体どれだけのトングが必要になるんだよ。きりがないよ。

一瞬荒唐無稽に思えるアイデアだけど、何か秘策があるようだ。どういう営業スタイルになるのか、高尾山ビアマウントのこれからにスゲー期待だ。withコロナ、アフターコロナは新しい時代になってほしい。いろんなところで、これまでになかったアイデアで世の中が変わってほしい。ビアガーデンも、飲食店もそう。がんばれがんばれ。

なお、19時のケーブルカーに乗車したら、座ることが余裕でできるほどの乗車率だった。

本当なら、高尾山駅の構内はビアマウントムード一色になるほど、ちょうちんがぶら下がっているはずだ。でもまだ今はちょうちんは飾られておらず、地味にプレオープン中。コロナが落ち着くのをじっと待っている。

帰りの京王線も、びっくりするくらいのガラガラだった。こんな空いている高尾山を見たのは初めてだ。

お昼ごはんを食べたBERGを除けば、四六時中人と密接に接する機会がない、静かな日曜午後の山歩きとなった。とても満足している。良い一日だった。

コロナのおかげで、ちょっとしたお出かけでもすごくご機嫌になれるのは良いことだ。抑圧があるからこそ、喜びは大きく感じられるものだ。前向きに生きていこうぜ。

(この項おわり)

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