銀座に、文具メーカーでおなじみの「ぺんてる」がプロデュースするカフェ&バーが期間限定営業していたので行ってみた。その名を「GINZA RAKUGAKI Cafe&Bar」という。
このお店の特徴は、店内いたるところに落書きしてヨシ、ということにある。机にも、床にも、壁にも。ぺんてるのマジックがテーブルには完備されているので、やりたい放題やってよいことになっている。
誰しも、子供の頃、壁なんかに落書きをして親に怒られた経験がある。さらには、既にお子さんがいる人なら、子供の落書きに怒り、消去に焦った経験もあるだろう。
禁じられた行為・・・現代日本においては、子供の頃に固く戒められた「落書き」がこの場においては許される。こんな楽園、体験しないわけにはいかないじゃないか。さすがぺんてる、目の付けどころが素敵だ。ワクワクさせられた。
店の扉からして、既に落書きされてしまっている。
これ、どうするんだ一体。期間限定営業なので、これが終わったら原状回復しなければならないわけだが、一体どれだけの手間とコストがかかるのやら。
あー、これはすごい。
わかってはいたけど、店内は落書きだらけだ。「やっちゃいけません」としつけられてきた過去を全て振り払うように、全力で店内に落書きされている。
店内はしっかりしたバーラウンジだった。てっきり、こういう期間限定営業のお店なのだから、適当な椅子と机があって、屋台風のカウンターがある程度のものだと思っていた。
空きスペースを有効活用しました、みたいな。
しかしどうだ、これはちゃんとしたお店だぞ?店員さんも、「この期間だけ雇われたバイトっす」みたいな人ではなく、バー店員のプロとしてきびきび動く。
あまりに不思議なので店員さんに聞いてみたら、
「ここはコンセプトバーとして企業様にご利用いただいています。今はぺんてるさんがご利用なさっていますが、これが終わればまた別の企業が別の形で使う形です」
ということだった。へえ、そういうビジネスというか、飲食店っていうのもこの世の中にはあるんだな。
道理で店員さんがプロな動きなわけだ。決してバイトでもなければ、ぺんてるの社員というわけでもない。
でも、だとしたらこの壁の落書きはどうする気だろう。
薬品で溶かすとしても、防毒マスクをして作業しないと作業員が死んじゃう。
窓も、当然のように落書き。あー。
ガラスは曇りガラスのように透明度が低い。落書きされることを前提に、半透明シートでも貼ったのだろうか?
絵は、軒並みみなさんお上手。「落書き」とはいえ、ここはバーなので大人が集う場所。本当の「落書き」ではなく、理性ある落書きが展開されていた。
面白いもので、「俺がこの空間を独り占めしてやる」と無駄に広いスペースを占拠するような輩は皆無。みんなお行儀よく、他人の邪魔にならないように、こじんまりと落書きをしていたのが印象的。
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