玄関先の廊下。
各戸の玄関扉同士の距離が開いていて、好感を持つ。
建物によっては、お隣さんの玄関扉と自分ちの玄関扉の間が文庫本一冊程度の幅しかないものもあり、唖然とすることがある。壁がどれだけ薄いんだよ、と。人んちながら、見ていてハラハラする。
そうだ忘れていた。今回、言うまでもないことだけど隣の家との防音はちゃんとしていて欲しいものだ。物件探しの際、不動産屋に伝えて置けばよかった。「防音完備」と謳ってなくてもいいけど、壁ドンしたら壁に穴が開いた、じゃあ困る。
ネットで「レオパレス伝説」というネタが出回っているのを知っているだろうか?ウィークリーマンションでおなじみのレオパレスに入居したら、壁が薄くてびっくりした、ということを面白おかしくネタにしているというものだ。「エアコンのリモコンを操作したら、隣の家のエアコンが動いた」といった話がたくさん出てくる。
僕はレオパレスに住んだことはないのでこのネタの真偽についてはコメントしないが、レオパレスはこのネットの不評を払拭しようと現在頑張っているのは間違いない。掘北真希がテレビCMで物件の遮音性についてPRしている。
でもこれは笑い話の人ごとではなかった。今住んでいる家がそれに近く、隣の部屋の電話が筒抜けになるくらい壁が薄かった。電話に限らず、鼻歌、咳、ラーメンをすする音までが聞こえた。
これと同じ音が、我が家からも外部に漏れているということになる。だから僕は、テレビを見るときは必ずヘッドホン装着だったし、電話をかけるときは毛布を頭からかぶっていたし、目覚ましはバイブレーター以外は使わなかった。早朝に音が鳴るだなんて、向こう三軒両隣に申し訳が立たないからだ。
調べてみると、賃貸物件、特に単身者用の賃貸物件で作りが良いものってのはあまりないようだった。不動産屋も、「建売の家と比べると、当然作りが簡略化されます」とはっきりと言っていた。「所詮賃貸だから」ということなんだろう。
遮音性については、実際に住んでみないとわからない。お隣さんが不在の時に内見しても全く参考にならないからだ。壁をコンコン叩いてみて、ベニヤ板みたいな音が鳴ったら完璧NGだが、さすがにそこまでペラペラな壁な物件というのはあまりないだろう。
玄関。
そこそこ広い玄関でちょっと意外。
単身者向けの家というのは細長い間取りで、玄関なんて狭苦しいものだ。・・・と思っていたが、これだけ広いと案外いいな。登山靴みたいに脱いだり履いたりするのに一苦労な靴だと、玄関が広いと何かと助かる。
やっぱり、自分が「良い」と思える物件ってのは内見を積み重ねていかないと気づかないんだろう。机上の空論ではなかなか玄関までは思いが至らない。
玄関脇に下駄箱があるのだが、やっすいカラーボックスをそのまま置いただけみたいな感じで、色気がなさ過ぎる。まあいいけど。
下駄箱って、ちゃんと扉でふたができたほうがいいな、と思う。僕自身が他人の家にお呼ばれしたとき、生活感があふれる家だとちょっと嬉しくないから。
玄関すぐ脇が洗濯機置き場になっていた。
突っ張り棒でも設置してくれ、といわんばかりの、三方が壁に囲まれた場所。
あまり広くないので、大きめの洗濯機は置けないだろう。
物件探しの時、「ドラム式洗濯乾燥機を置こうと思っている」と話をしたら、不動産屋のスタッフの一人が「ああ、それだと結構難しいですよ」と即答した。
「この物件だと・・・たぶんダメですね。これもダメ」
と、既に目の前においてあった間取り図を次々はじいていった。あれれ、なんてこったい。間取り図だけを見ると大丈夫そうなんだけど。
「ドラム式は、床面積としては置くことができても、結構本体が前にせり出しているんですよ。しかも前に扉が開く形です。だから、洗濯機置き場が外から隠れるように引き戸や扉が付いている物件というのは厳しいです。ギリギリ入っても、扉が開け閉めできなくなります。」
だ、そうだ。
このあたりは買ってみて設置してみてギャー、ということになったら大変なので、慎重にならないといけない。
玄関入ってすぐ右が洗濯機置き場、そして左が浴室。ひょい、と浴室を覗いてみる。
ユニットバスなんだけど、便座がないバージョン・・・といった感じ。
こうなると、洗面台ってどうにかならんかったのかなあと思う。独立洗面台を設置するだけの場所はない、ということなんだろうけど。
濡れている床を気にしながら髭をそったり身だしなみを整えるのは、ちょっと冴えないシチュエーションだ。いっそのこと、トイレ一体型の完全ユニットバスなら諦めがつくのだけど。
しかも鏡が備え付けになっていない。減点。
しかし、浴槽の脇になにやら気になるものを発見。おお?メカがあるぞ。
追い炊きとか、湯温の設定とか、いろいろできるっぽい。
タイマー機能もあるようだ。
「タイマーなんてどうするんだろう?」
振り向いて、担当者に聞く。
「何ですかね?」
担当者も首をひねる。
しばらく二人で議論していてわかったのだが、どうやらこれは「家に帰宅したら、今まさにお湯が沸きたて!さあすぐに湯船に飛び込め!」ということをやってくれる機能らしい。なるほどそういうことか。
確かに便利だとは思う。でも、そこまで帰宅早々に風呂に入らないといかん、という状況がちょっと思いつかない。スポーツの後で汗びっしょり、という場合・・・。うーん。
どうせ帰宅後にお湯を張っても15分あれば満水になる。こんな大げさな機能はオーバースペックだ、と結論付けた。
・・・でも、ワクワクするよな、こういうメカメカしたものが家にあるって。その機能を使う・使わないはともかくとして。
これしきのことで心が揺れてしまっている自分が悔しい。
物件を最終決定する際、決め手が「なんかメカが付いてたあの物件に。」程度だったら、自分の浅はかさを笑う。
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