成田空港潜伏の巻

東峰神社

東峰神社。

小さな本殿と、鳥居があるだけのもの。戦後のこの地に入植した人たちの信仰の場として崇められていたらしい。なので、神社そのものの歴史は戦後から始まっており、浅い。ただし、成田空港阻止の象徴的な場所として存在しているため、この地は大変な責任を背負っている場所となっている。

ちなみにご本尊は二宮尊徳。

境内にある皇紀2600年記念の石碑

神社脇に、「皇紀2600年記念」と彫られた石碑があった。なので、決して左翼の人たちがここを占拠しているというわけではない。不幸にも、ここが激戦の地になってしまっただけのことだ。

網目状の塀がいくつかある

神社の裏手の塀だけは、網目状になっていて空港の中を覗くことができた。

この地を参拝のために訪れた人へのサービス・・・かと思いきや、むしろ逆らしい。空港の内側から、警備員がこの神社の様子を監視できるようにとの意味がここにはある。

警備員とばったり塀ごしにご対面したりしないかと思ったが、それはなかった。

網目越しに中を覗いてみる

網目越しに中を覗いてみる。

鉄条網付きのフェンスがあって、さらにその奥に塀。少なくとも滑走路に到達するためには、3つのハードルを乗り越えないといけないらしい。で、そこでもたもたしている間に警備員到着、というわけだ。

この距離と塀の高さなら、火炎瓶を投げ込んでも滑走路には届かないだろう。何か投てきする器具でも用意しないと。でも、そんな物騒なものを持ち歩いていたら、神社に立ち入った段階で御用、だ。

B滑走路を飛び立つ飛行機

B滑走路を飛行機が飛び立っていく。

この神社は空港のど真ん中にあるが、B滑走路の末端でもある。B滑走路を離陸した飛行機は、既に結構な高度で飛び立っていた。頭のヅラが吹き飛ぶ心配をするくらい、飛行機が頭上スレスレを飛ぶ・・・ということはなかった。そういうのを期待する向きなら、ここはふさわしくない。

黒塗りの車がやってきた

この神社の由来を記した看板があったり、絵馬をぶら下げる場所があるわけでもない。ものの数分も滞在すれば、もう見るものは何もない。なにしろ、塀に取り囲まれているのだから。

なので、我々も用は済んだから車に戻ろう、と振り返ったら・・・おっと、黒塗りの車がきたー。

神社ギリギリまでやってくるのかと思ったら、100メートルほど手前の待避所に車を停め、こっちの様子を伺っている。おー、なんか秘密組織の監視を受けているようだ。うわさに聞いていた、警備員が飛んでくるっていうのは今でも本当だった。神社にやってきてからものの5分くらいだろうか?
途中、どこにセンサーやカメラがあったのかわからない。そもそも、この黒塗りカーがどこに待機していたのかさえわからない。恐らく、航空自衛隊のスクランブル発進よろしく、我々が東峰神社にやってきたのを察知したらすぐに飛び出してきたのだろう。

「不自然な動きするなよ、疑われるぞ」

相方に注意を促す。

「でも、びびってすぐに車に戻るっていうのはかっこ悪いし、余裕を見せつつ車に戻るよ」

かっこつける必要はないんだけど、焦ってます感は出したくなかった。なので、努めて平静を装って、車に戻った。

写真は、車のルームミラー越しに撮影したもの。

「恐らく、今ごろはこの車のナンバーから持ち主が解析されているんだろうな」
「でもこの車、レンタカーですよ。むしろ怪しまれるかも」
「なるほど、悪事を働くなら、マイカーじゃなくてレンタカーか。ってことは、ひょっとしたらレンタカー会社に連絡が行って、誰が借りているのか身元確認されているのか?」

さすがにそこまではやっていないと思う。ただ、万が一があったときのために、ナンバーはちゃんと控えられたはずだ。

道路幅が広くない場所なので、Uターンするなら待避所で・・・と思っていたのだが、肝心の待避所には黒塗りカーが控えてらっしゃる。そこまでバックして、黒塗りカーの脇でUターンなんてしたら、警備員さんはスッゲー身構えると思う。それで面倒なことになるのはイヤなので、神社前の狭い場所でギッコンギッコンハンドルを切って、なんとか車の向きを逆にした。

その頃になると、黒塗りカーから警備員が一名降りてきて、こちらにゆっくりと歩いてきていた。職務質問されるのかな?と思ったが、結局びびって焦ってアクセルを踏んだ我々の車の横をそのまま通り過ぎていった。遠ざかっていく東峰神社をルームミラー越しに観察してみたら、その警備員は草むらや塀の周辺をチェックしているようだった。爆発物などを仕込まれていないか、一応チェックして回るらしい。ご苦労様です。

東峰神社から脱出

「すごかったねえ」
「未だにそこまで警戒する必要があるのだろうか?」

興奮冷めやらぬ車中の我々。

ああいう厳戒警備があるからこそ、テロ行為が未然に防げているのか、それとも時代に即していない過剰な警備なのかは、よくわからない。でも、「たかだかノンポリの参拝者が来た」程度で緊急出動しているというこのぴりぴり感は相当なものだった。

T字路に戻る。

正面には、空き地が広がっている。ここも反対派の土地なわけだが、今では単なる更地だ。

ここを訪れたのは2015年5月3日なのだが、偶然にもその2日後、この土地を地権者が空港に売却する意向、という報道があった。なんというタイミングだ。

これでまたB滑走路の延長が進展するのだろうか?ただ、まだこの地区には反対派が3名いるとのことで、まだまだ合意形成まで道のりは遠い。

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