わたしの歯医者遍歴

5軒目:Eデンタルクリニック(2014年秋~現在)

「折れた歯を接着剤でくっつける方法があるらしいよ」と連れがなだめる。僕がインプラントに向け腹を据えかけていたからだ。インプラントは少ないながらも失敗例があることから、技術的に難しいものだ。「よしインプラントだ」と即決するのはよくない、というわけだ。

しかし、そんな「プラモデルを作る」かのごとく、歯を接着することなんてできるのだろうか。もしそれができるなら、それはこちらがまさに望んでいることだ。接着して、そのまま何事もなかったように普通の生活に戻りたい。

今はスーパーボンドで歯が固定されているので、歯の周辺が盛り上がってざらざらしている。これもまた違和感。

調べてみたら、折れてしまった歯を接着する技術を持つ歯科医院を見つけることができた。その病院もちゃんとサイトを持っていて、先生だけでなく歯科衛生士までもがブログで治療についていろいろ解説したり、見解を述べている。筋が通っているようだし、信頼できそうだ。このところずっと歯医者さんには振り回されているので、そろそろどうにかして欲しいものだ。

歯根破折治療

「歯の根本が折れてしまう」ことを専門的には「歯根破折(しこんはせつ)」というらしい。この治療を扱っているのはごく一部の歯科医だけらしく、中には治療効果を疑問視している先生もいるようだ。

新たにお世話になることになった病院は、その道路向かいに別の歯科医院があってびっくりした。過当競争ここに極まれり。どうして「直線距離数メートル」という至近距離で歯医者が並び立つのか。

それはともかく、初診なので、もちろん最初はレントゲン検査だ。ここで驚いたのが、施術するための椅子に座ったまま鉛エプロンを装着させられたことだ。え?え?と思っていたら、D歯科医院でさんざん苦労していた「望遠鏡型・ピンポイント撮影用レントゲン」が頭上から登場。えっ、レントゲン室でなくても撮影できちゃうんですか?すげえなあ。

この病院では、1発で撮影完了。しかも、撮影直後に、席にあるディスプレイで歯の写真が映し出される。いやー、新しい器材ってすごいねえ、先生の腕はまだ未知数だけど、器材が新しいってだけでワクワクするわ。それにしても、この「椅子と、ディスプレイと、レントゲンと、その他うがい用の水道設備など一式」で一体何百万円するんだ?リースだとは思うが、新しいものに置き換えようなんてすると大変な出費になるはずだ。

撮影後、「院長室へどうぞ」と言われ、別の個室に案内される。これまでの歯科通院で初めてのことだ。そこへ、タブレットとUSBメモリを手にした先生が登場。おー、タブレットとかもしれっと使うのか。かっこいいなあ。これが若い先生なら、「設備は新しいかもしれないけど、腕はどうなんだろうね?」と思うだろうが、経験がありそうな年恰好と自身ありげな顔なので大丈夫そうだ。

先生から歯根破折についてあれこれ話を聞く。治療は、歯をいったん根本から引っこ抜き、ひびが入ったところに速乾性の接着剤をつけてくっつけ、また元あったところに戻すのだという。スゲー強引だ。ひびが入ったところから先だけを抜くのかと思ったが、根こそぎ抜くとは。

先生は、「どうしても接着したところは弱いので、あくまでも審美的な要素が強いです。歯が接着したからといって、りんごをかじったりして良いかというと、それはできません」という。ああやっぱりそうか。でもそれは差し歯だった頃と一緒のことだ。今回歯をへし折って再認識させられたので、今後はちゃんと前歯を労わろうと思う。

「うまくいかない場合もあります。また、あくまでも数年もてば、という程度のものです。うまくいけばずっと使えるかもしれませんし、うまくいかなければ駄目になる場合もあります。こればっかりは人それぞれなので私からはなんともいえません。しかし、差し歯とはいえ根本はまだ自分の歯なんですから、それをできるだけ生かすというのは良いと思います。インプラントなどはその後でも良いと思います」

という話に後押しされ、この接着治療を受けることにした。ただし、どうやらいずれはインプラントなどに頼らざるをえないらしいが、うまくいけば一生逃げ切れるかもしれない。それを信じたい。

治療は、後日あらためて行われた。1時間の予約を取り、その日のうちに「歯を引っこ抜き→接着→しばらくしてもとに戻す」が行われた。その後はスーパーボンドで歯の両隣と接着し、歯茎が落ち着いてもとに戻した歯とくっつくのを待つことになった。次の診察は一カ月後。

接着された歯はしっかりしてくれたのだけど、一週間もすれば歯がぐらつき始めた。スーパーボンドは薄く、ごく少量使われていたのだけど、そのせいで左右の歯との結合が緩んでしまったらしい。途中一回通院し、スーパーボンドを増量してもらった。

一ヵ月後、スーパーボンドを除去し、治療は完了。最初はどうなることかと思ったが、ボンドがなくなってもぐらつきはなかった。すばらしい。治療費は8万円くらいかかったと思うが、よかったと思う。

ただし、実際に食事をしてみてすぐにわかるのが歯のもろさ。ビビっているというのもあるが、食べ物を噛む際、よっぽど気をつけて前歯を労わる必要がある。うっかり前歯を使うと、すぐにまたバキッといきそうな予感がありあり。先生が術前に「審美的」と言っていた意味がよくわかった。

歯の定期点検

保険適用外の歯根破折治療を行った際、「アフターフォローを病院側が保証するかわりに、患者は定期的に通院して歯のチェックを受けること」という条件があった。そんなわけで、以降この病院には何の治療目的がなくても、半年に一度通院するようになって今に至る。

歯科衛生士による虫歯チェックなどが主なのだけど、それが感心させられる。歯周ポケットの深さを測るため、二人がかりで検査を行ってくれるからだ。一つの歯に対して6箇所、細い針で歯と歯茎の隙間をチクチクする。その際、針が入った深さで歯周ポケットを調べている。3ミリまでは通常だけど、4ミリ以上になったらやや問題あり、と診断される。6箇所×歯の本数だから、かなりの数チクチクされる。「3、2、4」と一人が針を手にチクチクし、一人がそれをメモっていく。

歯石除去は、上下すべての歯を10分だか20分だかで終わらせてしまった。恐ろしく早い。これまで、何回も通院してやっていたのはなんだったんだ?いや逆だ、1回で済ませてしまうってなんなんだ?

なんでも、超音波だかなんだかで歯石を浮かせるとかで。いや、よくわからないので正確なことは書けないのだけど、何か新しい器材を使っているらしい。ビバ新しい器材。

極めつけは虫歯チェックだ。なにやら歯に棒のようなものを当てたな、と思うと、「びよ~ん」という音が鳴る。時には音が高くなったり低くなる。どうやらこの音の大きさや高低で、目では確認できないような虫歯さえも発見できるらしい。

奥歯でびよーんとひときわ大きな音がする。虫歯ができているらしい。しかも、B医院、C医院で治療したはずの奥歯!なんてこったい。まだ1年も経ってないぞ?

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