【できることならマストバイ】電動昇降式デスクの威力

盤面が昇降する机、というのはこの世にたくさんありそうな気がする。振り返れば、小学校の頃からお世話になった「学習机」はまさに昇降式だった。僕の世代は「くるくるメカ」みたいな機能はなく、一旦机をばらして別のネジ穴にはめることで高さ調整ができる、という力技だったけど。

なので、よりどりみどりなんだと思っていた。

しかし、探してみると案外存在しないものだ、ということを知る。えっ、そうなの?

大手のオフィス家具メーカーは各社電動昇降式デスクを発売している。しかし、その値段は10万円台の後半くらいからスタート、ものによっては20万円オーバー、という価格帯になっている。個人が買うには現実的ではなかった。

一方、個人で買える価格帯として探すと、出てくるのは実質数社程度だった。Flexispot、サンワサプライ、イケア、タンスのゲン、山善、その他メーカー不詳のもの。ニトリはたぶん電動式を発売していないと思う。

おそらく、テレワークの普及でこれから電動昇降式デスクはもっともっと増えるはずだ。現在は過渡期で、選択肢がまだ少ないのだろう。

実物を実際に見ることができないので、webのオフィシャル情報、口コミ情報をもとに判断しなくてはいけない。ただ、調べてみるとどこの製品も口コミ評価が低い情報がちらほら見受けられ、悩ましい。安くはない買い物でこれは、何か罰ゲームをやっているような気分になる。

手動式昇降デスクでもいいじゃないか、という意見もあるだろう。でも、これは圧倒的に電動式のほうがいいと思う。ハンドルをぐるぐる回して昇降させるデスクは、確かに安いし機構が簡易な分壊れにくい。しかし、こちらとしては一日何度も立ったり座ったりしながら仕事をしたいんだ。その都度、キコキコとハンドルを回している場合じゃないんだよ。

面倒になって、結局座ったままになるのが目に見える。こういうところでケチってはいけない。

もちろん、電動昇降デスクだと、モーター部分が壊れると単なるゴミになってしまうリスクがある。着座状態でモーターが壊れたならまだ我慢できるけど、スタンディングの状態のままとか、中途半端な位置で動かなくなってしまうと、本当に扱いにこまる粗大ゴミだ。これぞ罰ゲーム。

電気製品なので、製品の出来不出来を問わず、いずれ壊れるときがくる。それが一体いつなのか。メーカー保証期間を過ぎたらすぐに壊れた、というのは目も当てられない。そのあたりは、今後の検証になる。

ちなみに、椅子と同じく「ガス圧で机を上下させる」という昇降式デスクも存在する。これも電動式より、安い。しかし、口コミを調べてみると、「盤面を押し下げるときに随分力がいる」という情報を見かけたのでやめた。

五十肩で痛いのを我慢しながら、肘でぐいーっと机を押さえつける光景を想像して、ゾっとしたからだ。

電動昇降式デスク

結局、さんざん悩んだ上に買ったのは、FlexiSpotという会社のE7というモデルの電動昇降式デスクだった。おそらく中国メーカーだと思うけど、やたらと広告に力を入れているようで、この手の机を調べていたらやたらお目にかかる会社だ。

あまのじゃくな性格の僕は、むしろそういうメーカーは敬遠する。でも、FlexiSpotの製品はそれなりに口コミ情報もあり、評価が微妙な点は多々あるにせよなんとなく製品のクオリティが理解できた。一方、他社製品は口コミがまだまだ足りず、「商品の良し悪しがよくわからないので手が出せない」という結論になった。

名が知れたサンワサプライ製にしようか、とも思ったのだけれど、お手頃価格で売られているものは奥行きが45センチしかなく、それはさすがにちょっと狭すぎると思ってやめた。ドトールのカウンターみたいで、長時間の労働はしんどそうだからだ。特に壁に向かって机を配置した場合、目の前に立ちふさがる壁は心理的圧迫感がありそうだ。

なお、サンワサプライの電動昇降式デスクは、5万円以下の安い商品と、20万円近い高価格帯の商品の両極端で存在する。となると、安いのは一体どういうクオリティなんだ?とむしろ心配になる。

FlexiSpotの電動昇降式デスクはいろいろな型番があってどれを選ぶと良いのかわかりにくい。でも、僕が求める「机の高さが67センチまで下がる」というのは今回購入したE7しか選びようがなく、必然的にこれになった(正確には、公式サイト限定販売のE7Proも条件を満たすのだけど、僕が購入を考えていたときはずっと品切れで発注できなかった)。

FlexiSpotのサイトで、「身長178センチの人向けの机の高さは67センチ」と言っておきながら、大半の自社製品はそれに対応していないんだから謎だ。178センチって、そこまで巨人サイズではないんだけどなぁ。

おそらく、電動昇降式デスクは「スタンディング時の高さ」のほうが重視されるのだろう。立ったときに使いやすい高さまで盤面が上がるのが最低条件。そうなると、一番低くしたときの高さはある程度犠牲になる。

なにしろ、昇降式デスクというのは、デスクの支柱の中にまた支柱、さらにその中にもう一本細い支柱、と支柱がマトリョーシカ人形のように入っている。それをモーターの力でぐいぐいと押して、高くしていくスタイルだ。高さを上げていくに伴って、上に行くほど支柱が細くなる。当然グラグラしてくるし耐荷重も落ちてしまう。なので、最初っから土台となる支柱を太く・長くしておいたほうが構造的に楽、というわけだ。

なので「安いモデルは机の上下幅が狭い」。逆に「高いモデルは机の上下幅が広い」ということになる。

いずれにせよ、僕はFlexiSpotのE7を買った。本体だけで売られているので、別売りで天板を買うことになり、合計で62,000円だったと思う。会社から助成金なんてのは出ないので、当然全額自腹だ。確定申告で経費扱いにできないものか、と思うが、サラリーマンには既に基礎控除と給与所得控除があるので無理だ。

公式サイトで購入することはできるのだけど、敢えてAmazonで買った。「公式サイトはサポート体制が弱く、不良品について連絡しても返事が返ってこないことがある」という口コミをいくつか見かけたからだ。逆に、「Amazon経由で買うと、Amazonのコールセンターに不良品の連絡を入れることができる」という話を聞いたので、Amazonで購入した。

Amazonはマーケットプレイス出店業者に対して強力な権限を持っている。Amazonのコールセンターにマーケットプレイスで販売された商品のクレームが入った場合、マーケットプレイス業者は48時間以内にそのクレームに回答しないとAmazonからペナルティを課される。その力強い対応は、僕自身以前体験済みだ。バッキバキに素早く確実な対応でコールセンターのオペレーターに惚れてしまったくらいだ。オペレーターの人はマニュアル通りに応対しているだけだけど。

現時点のFlexiSpot社がどの程度信頼に足る企業なのかは不明だけれど、心配ならばAmazon経由で購入したほうが確実だろう。売値は一緒だ。ただし、FlexiSpotは直売サイトでときどきセールをやっている。購入を待つことができれば、公式の直売サイトで安く買える可能性がある。

発注した電動昇降式デスクは在庫が不安定なようで、「注文は受けるけれど納期はずいぶん先」ということだった。これはAmazonでも公式サイトでもそうだった。

今回の新居引っ越しでは、ある意味最大の買い物となるのがこのデスクだ。なにせ、一日8時間以上お世話になる「パートナー」なのだから、待ち遠しくてソワソワする。なので、引っ越しの前日に新居に配送されるよう、発注しておいた。新居引っ越しとともにデスクを組み立て、週明けからすぐにテレワーク用として使いたかったからだ。

そういう計画で引っ越しまでカウントダウンの日々を送っていたら、ある日飛脚マークでおなじみの配送屋さんから電話がかかってきた。「荷物があるんだけど、受け取れないのか?」と。

どうやら、予定よりも一週間以上到着予定が早まってフライング配送になったらしい。聞いてないよ、そんなの。

あ、いや、まだその家は僕に引き渡されていない状態なので、今配送されても困るんですけど。

「宅配ロッカーに入りませんか?」
「大きくて入りませんね」
「不在通知をポストに入れておいてください、後で確認して、再配達をお願いできる日時を指定しますんで」
「既に2通不在通知をこれまで入れてたんです。それでも連絡がなかったんで。今すぐ決めてもらえませんか、毎日荷物を出したり下ろしたりすると大変なんですよね」
「え?この電話で?」
「そうしてください」
「ええと・・・そう言われても」

なんかちょっと怒ってらっしゃるのが電話越しからもわかる。やべえ。

この電動昇降式デスクがクッソ重い、というのは予め知っていた。口コミでも、さんざん「びっくりするくらい重い」という情報が流れていた。なにしろ、本体重量は35.6キロ。天板もあわせると40キロに達するはずだ。

飛脚のひと、そんな重たい荷物を上げ下げしても僕が不在だから、イラッとしたらしい。申し訳ない、でも僕のせいじゃないんだ、こんなに早く配送してくれなんて頼んでいないんだから。

Amazonあるあるだ。「◯月◯日~◯日頃入荷予定」というボヤンとした予定の場合、ある日急にやる気を出して予定がグイッと早まることがある。今回がまさにそう。

結局、この電話で受け取り予定日を確約し、お赦しいただいた。

後日、想定よりも早くこのデスクを新居で受け取った。要組み立てのデスクなので、梱包そのものはそこまで大きくない。しかし、手にした瞬間にぎょっとする重さだった。噂には聞いていたけど、35.6キロというのがこんなに重たいのか!と手に汗を握るレベル。

段ボールをばらして、デスクの二本足の1本ずつを手にしてみた。だめだ、到底片手では持てない。両手で胸のところに抱きかかえないと、持てないくらい重い。これを一人で組み立てるのは無理だ。

そういうこともあろうかと、引越し当日に僕は兄貴を招聘し、組立を手伝ってもらう算段をつけていた。それまではこの未組立のデスクは放置だ。さっさと組み上げたいと思ったけど、おそらく一人でやっていたら、組んでいる途中でドスーンと何かを倒す。で、フローリングに傷がついたり凹みができたりするに決まってる。それはイヤだ。だから二人で慎重に作る。たとえ床に毛布を敷いてその上で作業をやったとしても、倒れたら床が凹む事案だ。

(つづく)

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