整形外科で医療用インソールを作った(お値段数万円)

以前からなのだが、長時間歩くと左足の小指が薬指に当たり、痛むことがある。昔、自分の中でブーツが流行った時期があり、やや窮屈なブーツを履いていたせいで足に魚の目ができたときが最初だと思う。かれこれ10年以上前の話である。

魚の目はじきに解消したが、それ以降長時間歩いたり立ったりすると、小指がやけに痛むことがある。特にここ最近はそうで、わざわざ靴を買い替えたくらいだ。

「テレワーク三昧で太ってしまい、足の周りに脂肪がついたのかな?」と思ったが、靴を替えてもさほど効果がなく、やはり痛みがある。

足をかばって引きずって歩くようになってきたため、これは駄目だと悟った。魚の目対策のスピール軟膏を貼っても効果がないため、諦めて整形外科と皮膚科をハシゴしてみた。


本命は皮膚科である。魚の目さえ対策できれば、この痛みは解消するはずだ。整形外科に行くのは、一応足に異常はないですよね?という確認だ。

整形外科には五十肩のときに週3回ペースでお邪魔していたので、スタッフのみなさんとは顔なじみだ。久しぶりに会ってご挨拶をしたい、という軽い気持ちだった。

しかしながら、整形外科に行くと先生から「一般の方よりも甲高ですね」と言われる。レントゲン写真を見て、さらに実際に僕の足の甲を触って、そう断言された。

うん、知ってた。子どもの頃から「幅広甲高だね」と言われていて、靴を買うときは3E以上の靴を買うのが常だ。幅広についてはそうやって意識してきたけど、甲高について具体的に困ったことはない。しかし外科医としてはその甲高が問題らしい。

「ええと、甲高だとなにか問題でもありますか?」
「足のかかととつま先で体重を支えようとするので、つま先に負担がかかって指が押されてしまうんですよ」
「足が扁平だったら問題、というのはよく聞きますが、アーチが高いのも問題、ということですか?」
「そういうことです」

これにはびっくりした。甲高というのは土踏まずのアーチが高く、体重を支えるバネの力が強くてたくましいのだと思っていた。しかしどうやら違うらしい。

「遺伝的要素もあります」

え、そうなの?私の鍛錬の人生のたまものじゃないのか。

でもどうすればいいんだ。

せいぜい、外反母趾サポーターみたいな矯正具を取り付けて、指の歪みをフォローする方法が提案されるんだと思っていた。しかし問題は足の指だけではなく、甲高にあると言われたら困惑するしかない。

「治療法があることはあります」
「えっ、なんですかそれは」
「インソールを作ることはできます」
「インソール??」

インソールって、要するに靴の中敷きだ。それが治療と言われると、ぜんぜんピンとこない。というか、それって対処療法であって「治療」とは言えないのではないか。

また、医師の説明がやや歯切れが悪いのが気になる。その理由は、

「お値段が結構するんですよ。だいたい4万円くらい」
「おう・・・」

私は年配の方が自分の足にあった靴を購入した際に5〜6万円も払ったことを聞いたことがあるので、インソールで数万円がかかることを聞いても、なんとなく理解できる。

「実際には保険適用で3割負担となるので、7割は返ってきます。ただし、全額お支払いいただいた後に、後日健康保険組合に還付の申請をしていただく必要があります」

手続きが面倒だと思う。そうか、そんな手順があるのか。だから、医師はインソールを勧める際には慎重になったのだろう。

7割返還されるとはいえ、それでもかなりの出費となる。インソールだけで効果があるのだろうか?

「そもそも治療になるんですか?」
「はい、結構なりますよ。インソールを履いて足を調整すれば、数か月で改善する場合があります。」

へええ。そういうものなのか。

外回りの方や立ち仕事の方はきっと効果が出やすいだろう。しかし、僕のように自宅で仕事をするタイプだと、なかなか外出する機会がないためそもそも靴をはく時間が短い。効果は限定的だと思っておかないといけないだろう。

とはいえ、骨格や筋肉に由来する足の負担をこのまま放置しておいても改善の見込みがない。この際だから、インソール制作をお願いすることにした。

すると医師は、「装具士がここに来るのは毎週○曜日の午後だけなんです。その日に予約を入れていただく必要があります」とおっしゃった。

おっ、ここで「装具士」なる聞き慣れないキーワードが出てきた。一旦予約を入れるだけ入れて、後で確認しておこう。その人は何者だろう?


この後、引き続き皮膚科にも行ったのだが、整形外科で「足の形が悪い。インソールで矯正する必要がある」という衝撃の発見があったので、消化試合感が漂う雰囲気となった。当初は、皮膚科こそが今回の主戦場だと思っていたのに。

皮膚科ではたこ・魚の目になっている箇所をメスで削り取ってもらった。

「今度来るときは、事前にスピール膏は貼らないでくださいね。皮膚を柔らかくする薬なので、逆にメスで角質を削り取りにくくなります」と言われた。なるほど。

メスで皮膚を削られるという体験は人生初で、実際にメスを見たことさえ初めてだった。「えっ、痛いんじゃないの?麻酔は?」と思ったほどだけど、さすがプロの刃物とプロの技術。全く痛みを感じないまま、出っ張った角質の削り取りに成功した。

むしろ看護師さんは物足りない顔をして、

「皮膚が柔らかくなければ、もっとギリギリまで削れてたんですけどね」

とおっしゃる。いずれにせよ、痛い足がこれで一旦ラクになった。皮膚を柔らかくするサリチル酸ワセリンを処方され、この日は終わりとなった。

(つづく)

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