あずみ 両国店

2014年02月23日
【店舗数:367】【そば食:605】
東京都墨田区横綱

乱切り野菜天そば

この日、両国のとんかつ屋「はせ川」で平田牧場三元豚のとんかつを食べる予定だった。

とんかつにはあるまじき極厚の肉で、相当なぜいたくだ。

しかし、開店直後に訪問してみたら、店内満席に加えて店の外まで長蛇の列。

初めて見たぞ、とんかつ屋に行列ができているのを。

しばらく前にテレビ番組「アド街っく天国」で紹介されていたのでイヤな予感はしていたのだが、まだその余波は続いていたらしい。

「とんかつ屋に並んでまで食べるべきか」と悩みつつも、一応列に並ぶ。

しかし、しばらくして店員さんが中から出てきて、「極上とんかつは本日売切れです」と死刑宣告。これで晴れて、この行列に並ぶ動機付けがなくなった。とっとと列から離脱した。

開店5分で売り切れるメニューとな。すごいな。とんかつ屋でも、そういうメニューってあるものなんだな。

さて、いざ戦線離脱してみて気がつく胃袋の軽さよ。

分厚いとんかつを食べるために、前日夜から食事の量を減らしてきたし、今朝だって何も食べていない。お財布だって覚悟していたので、それらがいっぺんに無に帰したとなると、ものすごくむなしくなった。腹減った。

かわりに、水道橋にある唐揚げが載ったラーメン屋に行こうかと思ったが、この日は定休日。そのほか、行きたい店に限ってどれも都合が悪い。

あずみ

両国駅の改札を前に途方に暮れていたら、改札脇に蕎麦屋「あずみ」があることに気がついた。

あずみ自体はチェーン店だし、珍しいことはない。JR東日本フードビジネス(JEFB)が展開しているので、都内のあちこちにある。

都内の駅蕎麦はすっかり、「あじさい」でおなじみの日本レストランエンタプライズ(JRE)と「あずみ」のJEFBに占められてしまっている。地元色あるローカル蕎麦屋は、もう都内では数える程度になってしまった。おや、見慣れない名前の蕎麦屋がエキナカにあるな、と思ったら、あじさいが名前を変えただけというお店がほとんどだ。JREはあじさいという悪評高い店名の看板すげ替えを全面的にやっている。

そんな「あずみ」なので、今更食指が動くことはない。しかし、店頭に「乱切りそば」の文字を発見し、「おや?」と気になった。期間限定で乱切りそばを提供する、というのだ。ほう、それは面白い。

乱切りそば。昔は、「手打ち蕎麦」といえば乱切りだった。不ぞろいの幅の蕎麦を手繰って、「うん、手打ちはやっぱりおいしいね」なんて通ぶった口をきくのが、グルメの常だった。・・・ただし、僕が子供の頃までは。

結局、「乱切り」というのは、単に蕎麦打ちが下手くそだったからに他ならない。しかし昨今、手打ち蕎麦の技術が向上し、職人の意識も変わったので、乱切りそばをお目にかかる機会はすっかり減ってしまった。

JEFBは、池袋駅の近くに「乱切りそばあずみ」というお店を昨年秋にオープンさせている。従来の蕎麦にはない、ワイルドさで差別化を図ろうというのだろう。でもその方針は間違っていないと思う。現にこのおかでん、こうして「乱切り」という言葉にずずずぃと惹かれてしまっているわけで。「下手くその象徴」だった「乱切り」が、いまや新しいトレンドになりえるようになっているのだから、面白い現象だ。

しかし、手打ちでこそ乱れた切り方ができるのであって、機械打ちで乱切りというのはちょっと大変なことだ。だから、「乱切りそばあずみ」では、5種類の太さの麺を混在させて提供する、というやり方で「乱切り」を実現させている。決して、1本の麺が台形状に幅が違う、というわけではない。

池袋のお店は結構繁盛していて、僕はまだ入店せずに見送っている。そんな中、両国のあずみでも乱切りそばを出すという。池袋での成功を受け、他店舗での横展開をにらんでいるのだろう。

とりあえず、食べてみっか。

乱切りなるものを食べてみたかったので、軽く食べていくことにした。とんかつの代替には到底ならないけど、なんだったらこのあともう一軒くらいはしごしたっていいし。前菜代わりに、乱切りそば。いいじゃないか。

乱切りそばかき揚げ付き

乱切りそばは350円。こいつを軽く手繰っていこうと思っていたのだが、店頭の食券機を見たらかきあげ付で400円となっていたので、そちらを選んだ。こういう立ち食い系のお店だと、かき揚げが食べたくなるもんだ。

出てきた蕎麦は、温かい蕎麦だった。あ、そうか、かきあげが付くと自動的にあたたかくなっちゃうのか。

蕎麦は太い

蕎麦は、乱切り感満点、というほどではない。確かに、幅広麺と細い麺とがあるが、それらが混ざることによって食感が大胆になっているという感はない。でも、ぼそぼそした感じの麺は、温かいつゆによく馴染んだし、なによりも空腹の胃袋が喜んだ。

いっそのこと、もっとゆでムラがあって、あるところは生煮え、あるところはでろでろ・・・くらいの方が楽しいけど、さすがにお店で出すのにそれは無理か。行儀良く、太い麺も細い麺もちゃんとゆでられていた。でもそのために乱切りのインパクトが薄れるというのは本末転倒かもしれない。

値段は安いし、また機会があれば利用してもいいな、と思った。なお、「乱切りそばあずみ」よりも値段が安いので、同じ麺が使われているのかどうかは不明。今度池袋に行く機会があれば、そっちの本家乱切りも食べてみないといかんな。

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