そばよし 京橋店

2015年06月01日
【店舗数:396】【そば食:656】
東京都中央区京橋

しらすおろし丼セット(そば・温)

そばよし外観

昨年秋から京橋界隈に用事があり頻繁に訪れていたのだが、今日そのタスクに一区切りがついた。次は半年後なので、しばらくはこの地から遠ざかる事になる。Ingressのポータルが高密度に存在する場所でもありよくお世話になった場所だった。

そんな京橋だが、毎度毎度訪問するたびに目にとまっていたのが「そばよし」という立ち食い風の蕎麦屋だった。いや、正確に言うと、「チラ見」程度しかしていなかった。なぜなら全然興味がなかったからだ。実はこの地を訪れていた理由が「かかりつけの歯医者があるから」だった。なので、病院に入る前は痛めた歯を一刻も早くなんとかして欲しいと思っていたし、病院から出てきた時は「これでひとまず暫定措置は出来た、さあガッツリ飯食うぞ」となっていた。到底、そこに「立ち食い蕎麦を食らう」という選択肢は入ってこないのだった。

ただ、今回ようやく歯医者通いが終わり、しばらくこの地からも遠ざかるな・・・と思った時、ようやくこのお店の事が頭にひっかかったのだった。最後だし、どんな蕎麦があるのかくらい店頭から覗いてみてもいいだろうと思った。でも、その程度のことだ。

店頭に「化学調味料を一切使わない」と謳っている。僕はこういうのが嫌いだ。なぜなら、ウェイパーをはじめとする化学調味料が大好きだからだ。・・・いや、大好きというのは語弊があるが、適切に化学調味料を使う分には僕は問題ないと思っている。嫌いなのは、化学調味料は悪であり、そんなものを食べるのはバカの極み、みたいな雰囲気を出すお店だったりそのお店に集う客だ。

そんなわけで、僕からしたら「無化調」を売りにするお店は、うまいかどうか以前に「面倒臭いお店」であり、ちょっかいを出したくなかったのだった。でも今日で最後だし、どれ、とりあえず。

しらすどんぶり

店頭には雑誌で紹介された切り抜きなどが貼ってある。それは正直どうでもいい。

でも、釜揚げしらすがどっさりのった丼飯が写真で紹介されていて、「おっ!?」と食指が動いた。これええやんけ。しらすはちょうど旬だし。

つい先日江ノ島に行ってきたのだが、名物のしらすはほとんどスルーした。せいぜい、「しらすアイスクリーム」を食べたくらいだ。これは冗談半分であり、しらすを満喫したとは言いがたい。で、後で旅行の写真とか整理してたら、なんだかしらすを食べたくなっていたところだった。そんな時にこの写真ですよ。ナイス提案。じゃあ、折角だからこのお店で蕎麦食べつつしらす丼も食べてみっか。

ちなみに丼単体では売られていない。うちは蕎麦屋だ、蕎麦喰った人のオプションとして丼があるんだ、蕎麦頼め蕎麦・・・というスタンスになっている。むむ、ならばかけそばとしらす丼のセットにしてみよう。ちょうど時刻は昼下がり15時過ぎ、中途半端な時間なので蕎麦にあれこれトッピングはいらない。

かつお節段ボール風の壁紙

このお店は日本橋の鰹節問屋が直営するお店なんだという。鰹節を卸すだけでなく、自社製品を有効活用する手段として蕎麦屋を営むって面白い発想だな。畜産農家が豚骨ラーメンの店を出すようなもんだ。・・・いや、たとえが違うな、JAが豚骨ラーメンの店を出す、といった方が正しいか。

そんな出自のお店なので、壁には鰹節の段ボールが描かれた壁紙が貼ってあって雰囲気があった。最初、本当の段ボールかと思ったら、単なる壁紙だった。

15時過ぎだというのに、ひっきりなしにお客さんがやってくる。店内はほぼ満席だ。二階席もあるようだ。繁盛してるってことは、うまいお店なのだろうか。

生麺から茹でる、というのを売りにしているお店らしく、提供までしばらく時間がかかる。カウンターで食券を出して待っていたら人であふれてしまうので、食券を出した後はいったん自分が食事をする場所に陣取り、番号で呼ばれるまで待機することになる。高速道路のSAの軽食コーナーみたいなものだな。

うどんも選べるのだけど、うどんを頼む人は皆無。

しらすおろし丼セット温

厨房は外国人店員さんだらけ。

蕎麦はテボで茹で、時間になったら自動的にお湯から上がってくる。その後、丸亀製麺などのうどん屋でよく見かける、「麺の水切りマシン」の上に麺が入ったテボを載せると、フィーンという掃除機風の音が鳴って麺の水を切ってくれる。蕎麦でこういうオペレーションなのは初めて見た。

で、数分待ってできあがったのがこれ。しらすおろし丼セット。暖かい蕎麦で。520円。

さっそくつゆを飲んでみたんだが、これが仰天した。やや、こいつぁ相当旨いぞ。最近の「街中の立ち食い蕎麦屋事情」ってのには疎いんだが、少なくとも僕がこれまで食べてきた立ち食い系蕎麦屋のつゆとは次元が違うと感じた。目を見張るくらいに、うまい。

つゆがしゃきっとしてるんだな。みりんと、それこそ化学調味料で甘ったるく、だれた感じになっていない。ちゃんとした手打ち蕎麦屋でかけそばを頼んだ時みたいな、引き締まった、背筋がシャンとする系のつゆだ。

立ち食い蕎麦屋といえば、店の前を通過するときに鰹節と醤油の濃厚な香りがして食欲をそそられるものだ。しかしこれを食べた直後なら言える、なんだありゃあ、と。あんなの下品だぜ、と。それくらい一刀両断で無礼な事を口走ってしまうくらい、ここのつゆが旨いんだから仕方がない。

厨房のカウンターに、「つゆ多めを希望する人は、注文時にそう伝えてくれ。増やすぜ!」といったことが書いてあった。麺多めじゃなくて、つゆ多めってなんだよ、と苦笑していたのだが、いやこれ本当にあり得るわ。つゆを飲み干しそうで怖い。

麺も良かった。細い麺で、ふわっとした口当たりで優しく噛むだけでいい。濃いつゆに勝てるだけの、ごわごわしたやや太めの麺、ってのが立ち食い蕎麦屋の定番だと思っていたが、この細い麺は素敵すぎる。多分、つゆを楽しんでもらおうと、敢えて麺を細くしたのだろう。それ、大正解。

しらすおろし丼もうまかったけど、もうこうなったらオマケでしかない。入店の直接の動機はこのしらすだったわけだけど、すっかりかけそばに持っていかれてしまった。

とはいえ、薄い塩梅がとても良かったのは強調しておきたい。しらすって、ものによってはやたらとしょっぱくて、うーん・・・と箸が進まなくなるものもあるから。

20150601-006

卓上には、おかかごはん用の粉かつおが置いてあった。白飯を別売りで買って、そこに粉かつおを振りかけて食べるとうまいという。鰹節問屋なので、鰹節を削った際に出た粉を利活用してますとのこと。すばらしい。

実際これをしらすおろし丼にかけてみたが、奥深いうまみがプラスされて良かった。

ただしこの粉かつおを愛してやまない輩がいるようで、なんと盗んで持ち帰ってしまう事案が発生しているようだ。店内の壁には、「持ち帰るな!」という警告が出ていた。卓上調味料を持ち帰るって一体何事だよ。でも、わかる気がする。それくらいこのお店はうまい。

かけそば単体なら270円。これだけうまいのは驚嘆だ。しまった、もっと早くに気がついておけば良かった。これなら通う価値がありまくりだ。

もう一軒、日本橋三越の近くにもお店があるらしい。どうしよっかなー、これからちょうど三越に用事があるんだよなー。そのついでにそっちでも食べちゃおうかなー。

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