2017年04月21日
【店舗数:407】【そば食:675】
東京都港区赤坂
牛フィレとフォアグラの山椒焼き、俺の肉サラダ、桜鯛の揚げ出し、焼きタケノコ、俺の巻き寿司、パルミジャーノ大根、牛すじ大根、玉子、海老しんじょ、肉そば、オールフリー、ジンジャーエール、緑茶、ほうじ茶
「俺の会」という食べ歩きグループを作っての第二回開催。
第一回目は「そば 俺のだし GINZA5」だった。
「俺のそば、食べたかったですー」という人がメンバーにいたので、第二回目も蕎麦が食べられるお店を選んだ。それが「そば おでん 俺のだし 赤坂」だ。店名フルネームの間に、スペースが3つもつくのだから面倒臭い名前だ。
「俺のだし」というのはもともとおでんを提供するお店だと認識していたが、ここ「そば おでん 俺のだし」では蕎麦も出します、おでんも出しますというスタイルをとっているらしい。
どっちにせよ、「俺の」シリーズのお店なら大抵フォアグラだのなんだのと和洋関係なくメニューが並ぶだろうから、あんまりジャンルを細分化する意味はないのだけども。
赤坂見附から徒歩。道中、ところどころに警備員さんが立っていて、頻繁に人々を注意している。外国人の警備員さんもいるからびっくりだ。何をやっているのかと思ったら、通りに出ての客引きを「条例違反だぞ!」と警告する役割らしい。
客引きは鈴なりにいるのだけど、みな建物のひさしにいる。で、警備員さんの目を盗んで、すすっと歩道に出てきては、通行人に声をかけ、警備員さんに怒られてすぐに引っ込む、ということを繰り返していた。
夜の赤坂なんて全くの無縁なので、ちょっとびっくりさせられる光景だ。
このお店に入るまで、ここのメニューはほとんど知らなかった。蕎麦さえ食べられればいいや、という程度の考えだ。
だとしても不思議なものだ。「俺の」シリーズのお店って、「高級食材を低廉な価格で!」というのが売りのお店だ。そんなコンセプトのお店で、「おでん」とな?一体何を出すというのか。フォアグラおでん?キャビア巾着?
おでんだって、高級店ってのが存在するし、そういうところで食べるとびっくりするくらい高くつくのは知っている。とはいえ、あえて「俺の」シリーズのお店でやる意味、あるんか?という疑問。
だからこそ、今日という日が楽しみだった。さあ、一体何を出すというのか、と。
店頭の立て看板。
原価超えのボリューム満点 肉料理
こだわりの仕立てで造る お刺身
その時、一番おいしいお野菜の 逸品料理
おい、肝心の「おでん」はどこへ行った?というキャッチコピーがむしろ清々しい。
このお店、「おでんを主体としたお店」ではない、ということをハナから宣言しているというわけだ。もちろん我々とて、おでんを食べにここに来たわけではない。おでん周囲のサムシング、を期待しているのだ。そのあたりを楽しませてもらおうじゃないか。
それにしても原価超えってホントかよ。さすがに炊き出しボランティアじゃないんだから、それはないと思うんだが。
食べ物のメニューに注意が行きがちだけど、「俺の」シリーズのお店は飲み物のメニューも油断がならない。「俺の泡」とか「俺のボトル赤」などと、「俺の」が付くネーミングのお酒が目に付く。こういうのはついつい頼んでしまいたくなるよな。お店としても一押しなんだろうし。
お通し。
桜海老みたいなのが入っている、ビシソワーズみたいなもの。
「みたいな」を連呼しているけど、すまん、あんまり覚えていない。
俺の肉サラダ 580円。
何かサラダを頼もう、と仲間で話をして、決めたもの。店員さんに「サラダがメニューに二つありますけど、どっちがお薦めですか?」と聞いたら、「しらすサラダの方だ」と言われたのだけど、その質問そっちのけで頼んじゃったメニュー。
やっぱり「俺の」っていう名前がついていると、ついつい選んでしまう。お店に誘導されてるなーとは思っているのだけども。
それにしてもこれで580円は安い。
パルミジャーノ大根 580円。
なんだこりゃ?というメニューで、頼まずにはおれんかった品。
見ると、取り皿サイズのお皿に、白い粉がいっぱい。これ、全部粉チーズなんだぜ。では大根は、というと別皿で・・・というわけではなく、この下に埋没しているというわけだ。
箸をおそるおそる差し込んでみると・・・あ!おでんに入っている大根の輪切りが、ひっそりとあった!
味はもう、「おでんの大根に粉チーズを振りかけた味」としかいいようがない。とはいえ、そう解説しても、いまいちピンとこないだろう。食べている側も、「うーん」と唸り、苦笑とも思える薄ら笑いを浮かべ、態度に困っていた。
うまいっちゃあうまいんだが、「なるほど!これはいい!」という味ではない。かといって、「なんだこんな料理」ともいえないうまさは、確実にある。食べ慣れない味で、類似する料理が見当たらないので、ただただ困惑するのだった。
これはここに来たら是非食べていただきたい逸品。そしてその後、大いに仲間で議論していただきたい。
お酒を飲んでいる人たちが、一杯目のビールを飲み終えて「さて次はどうしようか?」とソワソワしている。
「二杯目もシュワシュワしたのがいいと思うんだよねえ」
なんて言ってる。
「折角だから『俺の泡』にしたらどうです?『俺のシャンパン』ってのもありますよ」
「俺のシャンパン!いいねえ」
メニューを差し出すと、ぐいぐいと前向きに検討を開始しはじめた。泡系の飲み物は、宴会の前半で飲んでおかないとおなかが膨らんでしまう。飲むなら、今だ。
「俺のシャンパンって、『ASK』って書いてあるんだよね。店員さんに問いあわせろ、ということかな」
「原価、って書いてありますよ?シャンパンって原油価格のように変動するんですかね」
「今月の、って書いてあるから頻繁に銘柄が変わるんだろうね」
やいやい言いながら店員さんを呼び、ASKしてみる。
「1,300円です」
テンションが上がっていた酒飲み連中、一気にトーンダウン。案外高かった。
「でも原価ですし。メニューには『じゃぶじゃぶ!!なみなみ!』って書いてありますし」
意を決して、1,300円に飛び乗る人。しかも二人。うわー、無茶するなあ。
「ところで、隣のテーブルの女性達、シャンパンを飲んでいるように見受けられるんですが」
俺のシャンパンを頼んだ方にそっと耳打ちする。
「ん?」
「グラス・・・小さくないですかね?」
「あらっ?」
「あれでなみなみ、じゃぶじゃぶでもあんまり量は入らないっぽいんですが」
「いやさすがにそれはないでしょうおかでん君。だって1,300円なんだし」
「お待たせしました、まずはグラスです」
店員さんが俺のシャンパン用グラスを持ってきた。
「ちょっと、そのまんま隣のテーブルのグラスと一緒じゃないですか」
「まあまちたまえ、きっとこれは普段庶民が口にできないような高級なシャンパンなのに違いない」
量で満足できそうにない、ということを悟ったこの人は、質で満足するという方針に切り替えたらしい。
で、その後やってきたシャンパンはというと、ボトルに「MUMM」と書いてあった。
「ちょ、これってせいぜい5,000~6,000円程度のお酒ですぜ」
あんまりお得ではなかったっぽい。しきりに悔しがる二人。
「もうダメだ、次からはハイボールにしよう」
と言い、実際この人はそれ以降ハイボールを繰り返しおかわりしていた。財力的に1,300円のお酒をカパカパ飲めるのは、よっぽどの金持ちでないと無理だ。
牛すじ大根 780円。
ああ、確かに和っぽい料理ではある。しかし皿はあくまでも洋皿であり、こじゃれた雰囲気。そういえば店内を見渡すと、若い女性グループがちらほら。「おでん屋」とは到底思えない雰囲気だった。
桜鯛の揚げ出し 780円。
俺の巻き寿司 1,180円。
もうこうなると、巻いている意味があるんだかないんだかさっぱり。
僕は酒飲みだった時代でも、ビールが主戦場だったこともあってご飯物にはほとんど手を出さなかった。なので、こうやって「お酒を飲みつつ、米ものをつまむ」というスタイルは未だに理解ができない。不思議だなあ、と思っている。しかもシャンパンを飲みながらこれをつまむわけだから。
牛フィレとフォアグラの山椒焼き 1,680円。
ほら出たぞ、「俺の」シリーズのお店ならではのメニュー。「俺のだし」という店名であっても、容赦なくこういうのが出てくる。どうだ!フォアグラ様だぞ!ひれ伏せ!という勢いがとても潔い。
単に「牛フィレ!フォアグラ!」とだけ言われても、「いいよもう、そう簡単にその手には乗るか」と思う。でも、「山椒焼きなんですけど」と言われたら、「ほう?山椒?それは気になるではないか」と頼んでしまう。ええ、頼んでしまいましたとも。
このお店、一人とか二人で訪れちゃダメだね。大勢でちょっとずつ、あれこれ食べてこそ割に合う。
焼きタケノコ 780円。
シンプルな料理だけど、最初に出てきた「俺の肉サラダ」よりも200円も高いという。
緑茶は普通のグラスに冷たいやつが出てきたのだけど、「ほうじ茶」を頼んだら陶器に入ったアツアツのが出てきた。380円。
この手の飲み物は定食屋などで無料で振る舞われることが多いので、380円と言われてちょっとたじろぐ。いや、無料のお茶とは茶葉が違うんだとは思うけど。
これだったら「お冷やください」で良かったかもしれないと密かに思った。
折角「そば おでん 俺のだし」に来たのだから、おでんを頼まないといかんだろう?ということで、形式的におでんを頼んでみた。半ば義務感で。
「盛り合わせってあります?」
と店員さんに聞いてみたら、ないという。ならば、一人一品ずつ自分が食べるものをチョイス。その結果がこちら。餅入り巾着2名、しらたき、玉子。
海老しんじょ 580円。
というわけで、最後は蕎麦でしめ。肉そば 880円。
「あれ・・・?」
ぱっと見てすぐ分かる、細めの麺。GINZA5のお店とは違う。
「細麺にしてみました」
と店員さんは言う。お店によって、麺は違うらしい。セントラルキッチンで同じものを作って、各店舗に供給しているわけではない、ということだ。
こちらの麺の方がつるつるッと食べることができ、最後のシメ向きともいえる。うん、うまいうまい。でも、ごわごわして食べ応えがある蕎麦も大好きなので、これはTPO次第といったところだ。今回はするっと食べられたこっちの方が口にあった。
そんなわけで第二回俺の会終了。全員大満足して帰宅していった。第三回は蕎麦と関係のないお店に行く予定。
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