弊息子がRSウイルスにやられて一週間ほど保育園を休んだ際、昼間の間子供の面倒を一手に担わないといけない僕が慌てて買ったものがある。
ベビーサークル。

ここで、僕が「つきっきりで必死の看病」という発想にならず、「ひとまず弊息子が家中あちこちウロウロして危険な目に遭う(ケーブルで首を締める、棚からものを落として怪我をするなど)ことを避けるためにベビーサークルを買おう」という発想になるところが、男性的発想なのだろう。何でも便利ツールで解決しようとする。
そんなわけで、急な病気で保育園から連れ戻された彼をおんぶしながら、僕はうろたえて西松屋でベビーサークルを買った。衝動買いだ。
彼が回復するまでの間、会社は半日休みにしたり、「6時時間休み」というほぼ丸一日休みやんけ、という休み方をして彼を自宅でフォローした。とはいっても、テレワークで仕事をしている時間もあるし、家事もやらなくちゃいけない。
その間、彼にはベビーサークルの中に入ってもらった。
ベビーサークルは彼にとって至って不人気だった。ベビーサークルに入る、ということが「その後親が自分の近くからいなくなる」ということをいち早く悟ったからだ。大泣きする。
最初はベビーサークルにベビーふとんを敷き、ベビー用の椅子も置き、大人目線だと快適な個室・おままごと的空間を作っていた。しかし、彼にとっては牢獄に見えたらしい。
このベビーサークルを導入した当時は、まだはいはいを始めるかどうかという時期だった。家全体が「子供がうろちょろして、いろんなものを触る」ことを前提に整理整頓しておらず、うっかり親の目の届かないところで危険な状態になる可能性があった。
そうなると、ベビーサークルに入ってもらうしかない。
ちなみにベビーサークルだけど、子供の成長に応じて必要となるサイズは変わってくる。僕が買ったのは自立式のサークルだったけど、ベビーゲート(柵の形をしたもの)を四角形ないし六角形などにぐるっと取り囲むように組んでサークルを作ったほうが良いと思う。状況に応じてサイズを変えられるし、「テレビ台に近づかせないための柵」などと今後の展開力がある。
とはいえ、「子供をなんとかしなくちゃ」と慌てていた僕にとって、自立式で廉価なベビーサークルは良かった。拡張性はないけれど、全く問題ない。

ベビーサークルが導入されて数ヶ月、今はおもちゃ専用置き場になっている。
「ベビーサークル=閉じ込められて、嫌な場所」というネガティブな印象をタケに持たれないように、おもちゃで遊びたければこのベビーサークルの中だけ、という家庭内ルールにした。リビングやダイニングにおもちゃを持っていかない。
あと、子供はおもちゃをバラバラに取っ散らかす。そんなおもちゃをひとまずお引取り願うには、ベビーサークルが適していた。棚とか引き出しに片付けるよりも、楽だ。
そんなわけで、今は「閉じ込めるための場所」ではなくなり、ベビーサークルの入り口は常に開放されている。遊びたければご自由にどうぞ、というわけだ。もちろん、彼がまた病気になって保育園を休むようになったら、ここに滞在してもらうことになるけれど。
最初彼はベビーサークルに近寄ろうとはしなかった。でも、僕がサークルの中に入ってオモチャをカチャカチャ鳴らすと、彼が近寄るようになってきた。ただ、メッシュ状の壁に阻まれて、サークルの中には入れない。彼にはまだ、「迂回する」という概念がない。メッシュに顔をめり込ませて、「うー、うー」と禰豆子のような唸り声を出している状態だった。
これは不憫だ。
できるだけ早く「迂回する」という知恵を授けたい。
これ以降、できるだけ毎日「迂回すること」の練習をやってみた。オモチャの位置を動かしながら、だんだんベビーサークルの入り口へと誘う。鳥や獣のワナに誘導する仕掛けみたいだ。
何度かやっているうちに、彼も「そうか、ここに入り口があって、中にはいるとオモチャがあるんだな」と気が付いたようだ。それ以降は迂回というスキルを身につけ、ベビーサークルに限らずあらゆるものを回り道することができるようになった。
今困っているのは、「絶対触らせないぞ」とガードしているものまで、迂回して触ることができるようになったことだ。「触らせない」という親の意図を、子供は「チャレンジしがいのある目標物」と認識するようだ。
現在、リビング窓のバーチカルブラインドを引っ張ったり握りつぶしたりしようとするので、親子で知恵比べ中。
(2021.12.22)
コメント