子供に破壊される前に

はいはい、伝い歩きができるようになってきた弊息子は、ロボット掃除機並に家のレイアウトを急速に記憶していった。親の後追いで、あちこちの部屋に出没するようになった。

身長が70センチ程度しかないし、普段ははいはいなので見えている高さは床から30センチ程度だ。大人が見えている世界とは全然違うはずだ。試しに自分が腹ばいになって弊息子と同じ目線になってみると、周囲の家具がそそり立つ壁に見え、それは見知らぬビル群の中にいるようにも感じるし、攻略しがいのある探検地にも見えた。

そんなわけでタケは今日もあちこちを探検する。

いち早くキッチンは僕によって立入禁止指定され、キッチン手前にフェンスを立てた。

「ああ、そろそろ対策しないとな」などと先送りにしていたら、子供はあっという間に賢くなり、成長する。対策の不備を突いて、親にとっては不都合な場所まで探検しつくされる。キッチンはギリギリセーフだった。

洗面所は、対策を打ったもののタケの立ち入りはある程度許可している。

親が洗面所にいるときに限り、立ち入りを認めている。それ以外のときは洗面所の扉を閉め、中に入れないようにしている。

洗剤類が入っている棚のドアは、チャイルドロックをかけた。ほかにも、重たいもの・硬いものは敢えて高い場所に移した。

それでも解決できなかったのが、洗面台の引き出しだ。中身をカラにして安全は確保できたけど、この引き出しを引っ張り出し、体重をかけてのしかかり、バキッとレール部分を歪ませてしまう可能性がある。それは悲しい。

結局、この引き出しは抜き取り、納戸に仕舞うことになった。タケが分別つくようになるまで。

それはそれでポッカリと洗面台に穴が開いているわけで、タケにとっては気になる場所だったようだ。わざわざ頭を突っ込んで、奥までしっかりと探検していた。こんなところまで探検するのか!

こうやって、人間というのは「いちいち確認しなくてもいいや」というものと、「なにそれ!知りたい!」というものとを仕分けるスキルを身に着けていくのだろう。

なお、この家に入居する際、かなりの金額を使ってリフォームした。その時相談に乗ってもらった一級建築士の方は僕らの希望を聞き、微笑みながらこう言った。

「おかでんさんの現在お住まいの家の写真を拝見すると、かなりきちっとされた空間デザインがお好きなように見受けられます。でも、お子様がこれからお生まれになると、なかなか思ったようにはいかないものなんです。私の家もおかでんさんのようなデザインが好みですが、子供がいますとなかなかそうはいかないですよ。私も旦那も、一級建築士なのでデザインにはこだわりがあったんですけどね・・・」

確かにそうだ。まだ家はそこまでとっちらかっていないけれど、これから確実に散らかる。そして家のあちこちに傷や汚れが増えていくのだろう。今もっとも恐れているのが、エコカラットの壁がタケの標的になることだ。

(2021.12.26)

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