子育て経験がない方からすると、「なにをその程度で」と呆れられるであろう話。

弊息子タケが、床を転がっていって棚の下に潜り込んだおもちゃを一生懸命取ろうと手を伸ばしている。それを見て「おお、成長したな」と感心した。これまでになかった光景だ。タケ生後1年3ヶ月で得た知識と経験、そして頭脳だ。
これには3つの要素があると思う。
- 動体視力
- 記憶力
- 執着力(所有欲)
そもそもこれまでは、物が高速で転がっていったらタケの目がついていかなかった。なので、ボールを転がして遊んでみても、すぐに見失ってしまい遊びが成立しづらかった。せいぜい紙風船くらいがちょうどよいスピード感だった。
床の下に転がっていったおもちゃを認識できたのは、しっかりと目線がおもちゃを追いかけられたからだ。目がついていっただけでなく、脳の中では数学の帰納法的に「これまでこのスピードでおもちゃはあっちに向かっていったんだから、これから先も同じようなスピードで進み続けるだろう」という予測も働いたはずだ。賢くなったなぁ。
あと、記憶力。これもなにげに大きなできごとだ。赤ちゃんの頃は、視界からおもちゃが消えると、記憶からも消えていた。しかし今だと、棚の下におもちゃが転がっていって姿が隠れても、まだ記憶に残っている。記憶力がないとできないことだ。
そしてなによりも、「視界から物が消えても、その物質が消失するわけではない」という万物の真理をちゃんと理解できるようになった。
これは数ヶ月前からモンテッソーリ教具を使って教えてきたことだ。木製のコインやフェルトのポンポンなどを小さな容器に入れると一時的にその物が見えなくなる。でも容器の蓋を開けるとまた出てくる、ということを繰り返し見せてきた。また、物が入っている状態の容器をガシャガシャとマラカスのように鳴らさせ、姿が隠れても中にちゃんと物が入っているんだよ、ということを理解させてきた。
それがようやく、「床に這いつくばっておもちゃを拾おうとする」スタイルで花開いたというわけだ。親として感無量だ。
そこまでしておもちゃを拾おうとするようになったのも最近のことだ。これまでは集中力が続かないというか、飽きっぽかった。執着心が湧いてきた証拠だ。この執着心が近々所有欲に変わり、「これは僕の!」と強く主張するようになっていくのだろう。自己と他者の境界がよりはっきりしてくると、親としてはやや寂しさはあるが受け入れていくしかない。
(2022.06.13)
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