子ども、特に小さい子どもがいる夫婦の会話を聞いていると、独特の家庭内スラングを多用しているのに出くわす。
経緯を知らない他人からすると、「なんでこれをそういう呼び方にするの?」と不思議な名詞や表現方法を使っている。普段対外的に見せている大人としてのキャラクターとは違う、家の中限定の油断した雰囲気が垣間見えて面白い。
おかでん家では、なぜか「◯◯丸」という言い方をよく使う。
「ウンチ丸、出た?」とか。
なんでそういう言葉が使われるようになったのか、語源は全く不明だ。気がついたら使っている。
これは「おいしい丸」のポーズ。
弊息子タケは、最近食べ物の好き嫌いがずいぶんはっきりとしてきた。食べ物に限らず、自我を出すようになってきたのだけど、特においしい食べ物に出会ったときは喜びを体で表現する。
足をバタバタさせる、というムーブをすることもあるし、食べ終わってカラになったお皿を帽子のように頭の上に乗っけてしまうこともやる。
「おや、タケちゃん、おいしい丸なの?」
と両親はタケに声をかける。
ただ、磁器で割れる食器なので危ないし、お行儀が悪いのでお皿はすぐに回収だ。彼の喜びを削がないように、頭をなでて喜びを共有するふりをしつつお皿を奪う。
まだ赤ちゃんの頃は、頭でっかちで手足が短かった。なので、親が彼の両手を持って、頭上で「マル」のポーズをやらせようとしても、両手が届かなかったものだ。多分、それを面白がって「マル!」と僕らがやっていたことから、「おいしい丸」のポーズとそのことばが生まれたんじゃないかと思う。
今や、すっかり手足は伸びておいしい丸は自在にできる。成長したものだ。
(2022.08.17)
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