のりもの図鑑が好きすぎて手放そうとしない

だいたい隔週で図書館に行って弊息子タケの本を借りている。

どの絵本を借りるかは真剣勝負だ。タケが本棚から持ってくる本は、「たまたま目についた、手に取りやすいサイズと場所にあったもの」なのでアテにならない。

かといって、親として「子どもにはこういう本を読んで学んで欲しい」などと教育の方向性があるわけではない。教育もなにも、まずは彼が飽きないで読み続ける気になることが大事だ。

せいぜい僕が気をつけているのは、漫画絵の本ばっかりにしないようにする、ということだ。たとえばノンタンとか、ブルーなとか。どちらも良い本だとは思うが、他にもいろいろ本はある。水墨画っぽいタッチの絵やダークな色使いの絵など、できるだけいろいろな絵本を選ぶことに注意を払っている。

アンパンマン?いや、まったく読ませていない。夫婦揃って若干あまのじゃくな性格なので、ああいう「どこにでも登場するキャラクターもの」は敢えて背を向けている。背を向けても、子ども向け商品のラベルやら食器類やらに勝手についてくるのですごい生命力だけど。

話は脱線するが、先日「たんぼレストラン」という絵本を何気なく借りて、中身にびっくりした。

著:はやし ますみ
¥1,430 (2023/03/20 11:45時点 | Amazon調べ)

たんぼの中で春を待つ動物・昆虫たちが冒頭に描かれ、「さあ、春だ」と思ったらその次のページから食物連鎖の嵐で、ページごとにどんどん上位の生き物に捕食されていく。食べた側も次のページで食べられたりする。これはすごい。

読み聞かせる側として、つとめて明るい声で「たんぼレストラン、はじまりまーす」などと語るんだけど、絵のトーンとあっていない。でも、これはこれで良い本だと思った。おかあさんと子どもがホンノリ温かい会話をするだとか、ゾウさんと豚さんとがどうたら、みたいなユルい本もいいけれど、世の中ってそれだけじゃないんだ。

この日、初めて図鑑のコーナーに行ってみたら、子どもでも楽しめそうな図鑑がいっぱいあった。そうか、ストーリーを楽しませるお話の絵本だけでなく、図鑑というのもいいな。

さっそく、のりもの図鑑を借りると、タケは大興奮。なぜなら、我が家にある東北新幹線・はやぶさが表紙だからだ。しかも表紙の片隅には、最近彼が空を見渡していつも探している「ヒコーキ」も載っている。

まだ中身を大して見てもいないのに、「これは絶対に手放さないマン」となってしまった。

「家に帰ってから読もうね」と声をかけても、絶対に手放さない。図書館で借りてきた本というのは、いつ自分の手元から消えてしまうか子どもにはわからない。だから、まず確保しておきたいのかもしれない。あと、図鑑のずっしりとした重さが、現在の彼にとってちょうどよい「持ち歩いて楽しい重さ」なんだと思う。

お陰で、タケを肩車して家に連れて帰ろうとしたら、図鑑が僕の視界を塞いでしまって何も見えなくなってしまった。

「ちょっとたけちゃん、図鑑を離して」といっても「ヤダ」と言って手放さない。「お父さん前が見えないよ」といっても力付くで手放さない。せめて片手で本を持って僕の視界を妨げないでくれ、とは言えない重さなので、彼を肩車から下りてもらうしかなかった。

しかし最近のタケは肩車も好きだ。肩車を外されたくないものだから、両膝を内股状態で力を入れ、僕の頸動脈あたりをしめつけてくる。やめろ、窒息する。本気で首を締められるので、彼を肩車するときは軽い気持ちでやってはいけない。彼が十分満足するだけの時間、肩車し続ける覚悟と体力があって初めて成立する。

肩車を解除されないように内転筋を鍛える、というのはよくないので、タケを公園に連れて行って遊ばせる。

すると呆れたことに、大好きなすべり台を滑るときでさえこの図鑑を持ったまま滑った。もちろん階段をのぼるときも、図鑑を持ったままだ。

これだけものに執着したのは初めてなので、びっくりした。

いずれ、ものへの執着が「所有欲」へとかわっていき、「これは僕の!」「ずるい!」などとはじまるんだろうな。今から先が思いやられる。

(2022.10.30)

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください