東京大学の本郷キャンパスはイチョウ並木がきれいだ、という話を聞き、家族で自転車を漕いで本郷まで行ってきた。
一昔前、大学のキャンパスというのは学生だけでなく学食目当てのサラリーマン、果てはホームレスまで自由に出入りできる場所だった。その自由さこそが学問の自由を保証する場としての力強さだった。
しかし、昨今じゃ事件事故に対する警戒心が高まっていて、「学生以外は立入禁止」とする学校が増えた。まるで工場のゲートみたいに、校門のところで警備員さんに学生証を提示しないと中に入れないような学校もある。
さらに、コロナが追い打ちをかけた。キャンパスがロックダウンするという事態になり、学生さえも構内に立ち入れない時期があった。
そんなわけで、「東大のイチョウが見頃」と言われても、中に入って大丈夫なのか心配だった。不法侵入はイヤだ。
でも待てよ、東大本郷キャンパスには東大病院が併設されている。東大病院は路線バスが行き交うようなオープンな場所だし、病院から学部棟に向けてはゲートなど全くなかったはずだ。だったら、東大赤門のほうから正面突破は場合によってはマズくても、「病院に来たついでにフラっと立ち寄りました」感を出しつつキャンパス内のイチョウを見るのは言い訳が立ちそうだ。
そんな姑息な言い訳を考えつつ、東大に行ってみた。
なお、東大駒場キャンパスは崖線の上に立っている。自転車で行くとなると、急な坂をホイホイと登っていかないといけないので注意だ。気軽に行くと後悔する。
到着してみると、確かにイチョウ並木が素晴らしかった。
あちこちで写真撮影をしている人がいるけど、そこまで知られていないらしく人の数は多くない。
石畳にイチョウの落ち葉が降り積もり、それがまた美しい。
都心では神宮外苑のイチョウ並木が有名だけど、あそこはシーズンになるとものすごい人出になる。それに比べて、ここがなんと静かでなんと心地よいことよ。
肝心の弊息子タケは、「葉っぱ!」と地面を指差し、時には落ち葉をガサガサと踏みしめ、時にはばさーっと落ち葉をかき集めてばらまいたりして遊んでいた。人が少ない分、小さい子どもでも安心して自由にさせられたのは良かった。
(2022.11.20)
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