ボールを投げる

ボールを投げる、という動作は大人にとって、いや、子どもにとっても当たり前のことだ。

特に意識しなくても投げられるものだ、と勝手に思っている。

しかし実際は、ボールを持った状態で振りかぶって、手をブンと前に旋回させ、ちょうど良い頃合いで指の力を緩めて球を手放すという複雑な動作が短時間に発生する。よくよく考えると、かなり高難度なことをやってのけているということに気がつく。

特に「狙いをすませて、ボールを投げる力加減をコントロールする」というのは脳、筋肉、経験、勘、そして五感のすべてを統合する行為にほかならない。よくできるものだな、と感心させられる。もしこれをロボットでやろうとすると、いろいろなセンサーを機械に取り付けないといけない。

タケのボール投げは、まず「振りかぶったところで後ろに球が飛んでいく」ことから始まった。砲丸投げ競技なら、飛距離ゼロで失格だ。

しばらくは真上に飛ぶようになったり、地面に球を叩きつけるようになったりしながら力加減の微調整を学習していき、今やひょいっと球を投げられるようになった。1歳8ヶ月にしてようやく、だ。

これまでは飛距離が出ないことを前提に、家の中で球を投げるのを見守っていた。でもこれからは室内での球投げは禁止という方針を夫婦で決めた。「球を投げて良いのは外だけ。家の中は球を転がしてね」という方針だ。そうでもしないと、球をあちこちに投げて、調理中のガスコンロに球が飛び込んでくるとか、壁に吊り下げているアートを直撃して壊すとかやりかねない。

(2022.11.30)

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