「はじめてずかん1000」という本を買った。
動物、植物、乗り物、食べ物など、様々なジャンルのものを紹介する、子ども向けの図鑑だ。
タッチペンがついているのが特徴で、図鑑に描かれている写真をペンでタッチすると、その名前をペンが読み上げる仕組みになっている。名前だけでなく、動物の場合は鳴き声も教えてくれる。便利な時代になったものだ。
これを緊急導入したのは、弊息子タケの2歳の誕生日が近かったためだが、誕生日まで待っていられなかったからだ。
僕が彼を保育園から連れて帰った後、夕食の準備を始めると、彼が退屈して荒れることがあった。パンダのぬいぐるみを投げたり、キリンにヘッドロックをかけたり、積み木を全部ひっくり返したりする。親に構ってもらいたい、子供ならではのささやかな抵抗なのだろうけど、親としては勘弁してほしいものだ。
できることならば、僕が夕食の準備を終えるまでの間、大人しくソファに座って読書に勤しんで欲しい。そんなのは無理に決まっているけれど。
毎日、彼のストレス発散のために撒き散らされたおもちゃを片付けながら、僕は「早く対策を打たなければ」と考えていた。そこで思いついたのが、図鑑を与えるということだった。
彼にNHK Eテレの子供向け番組を見せることはすでにやっていた。でも、インタラクティブ性のないテレビは彼にとってあまり面白くないようで、10分もすれば飽きてしまう傾向だった。だったら、タッチペンを押したら名前を読み上げたり音が鳴る図鑑なら、彼の興味を惹くのではないか?と考えた。
値段はとてつもなく高い。フルカラーの本であること、タッチペンがついていることから高くなるのは仕方がないが、購入に躊躇するレベルの値段だった。それでも、買った。一足早い彼へのお誕生日祝いという名目で。そういう名目がなければ、我が家の家計だったらとても買える値段じゃなかった。
彼に与えてみると、親の思惑通り彼は夢中になった。朝起きてすぐに図鑑を触り始めるし、夕方帰宅するとまた図鑑を触っている。
この本のよくできているところは、単に「タッチペンで押せば名前を教えてくれる」だけでなく、クイズ形式で「◯◯はどれ?」「この鳴き声の動物はどれ?」と質問を投げかけてくれるモードがあるということだ。
最初のうちは、彼はクイズモードはほとんど使わなかったけど、読み慣れてくるとだんだん名前と写真が一致してきたらしい。クイズを楽しむようになってきた。むしろ、クイズ形式でないと図鑑を読む動機づけができないようで、クイズ主体になってきている。
よく考えてみたら、そりゃそうだ。タッチして「キツネ」とか「ウマ」とか言われても、大人の僕でも「だからなんなんだ?」と思って飽きてくる。
夢中になる我が子の様子を見て、高いけど良い買い物をしたなあ、と僕ら夫婦は思った。
しかし、1ヶ月後にベネッセの通信教育「こどもちゃれんじ」が届くと、そっくりなタッチペン図鑑がついてきた。その値段ははじめてずかんの半額なので、びっくりした。年度はじめの4月号なので、撒き餌の要素が強いというのはわかるが(デアゴスティーニ商法)、それにしても安い。
そして、購入して2ヶ月後になると、ついに彼は図鑑をあまり使わなくなってしまった。彼が時々かんしゃくを起こして床に投げつける道具になってしまい、本のハードカバーがボロボロになってしまった。
非常に高価だったので、彼が本を投げつけるたびに私は「おい、やめてくれ!」と叫ぶ。せめてあと1年、できれば2年以上は使い続けてほしい。
一時的とはいえ、図鑑を与えたおかげで、夕食の準備中も彼は大人しく図鑑を読んで過ごしてくれるようになり、家庭内のストレスも減った。
また、図鑑を見ているうちに、彼の知らない生き物や物事に興味を持ち始めたことが嬉しかった。彼が「これは(何)?」と質問してくるたびに、一緒に調べて楽しんでいる。
(2023.02.13)
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