
ハトほど、子どもたちから追いかけられる生き物はこの世の中に存在しないだろう。
子どもたちに殺されている生き物の数でいったら圧倒的にアリだと思うが、「追いかけられる生き物」ならハトだ。
これが日本独特なのか、海外でもそうなのか、わからない。でも、どの国の子どもも、やると思う。
ハトはなかなか飛ばない鳥だ。子どもがハトを追いかけると、ハトはしばらく地上をトコトコと歩いて逃げる。そして、これ以上逃げられないと思ったら、急に飛び立つ。
この、適度に子どもの身体能力に合わせてくれているような行動が、子どもを夢中にさせるらしい。
仮に弊息子タケがハトに向かって走って追いかけたり、物を投げつけるようなことをすれば、僕は厳しく叱ると思う。でも、今のところ彼はハトを見つけると「オー!」と叫んで指差し、「トリ!トリ!」と言って歩いてハトの後をついていく。「トリ、待ってー」と声をかけている。彼なりに、鳩とは友達になりたいらしい。今のところ平和な状態なので、彼に「鳩をびっくりさせたらダメだよ」とは言っていない。
なお、カラスがタケの近くに現れると、彼はびっくりして身をすくめる。彼はカラスにいたずらをされた経験はないものの、その黒々とした体、大きなくちばし、そしてとても大きな鳴き声に恐れをなしているらしい。カラスに近づいて観察しようとさえしない。
もちろんその対応で正解だ。カラスに近づくと、逆襲されるかもしれないから。
子どもは子どもなりに、何が危険で何が安全なのかを見極める能力がある。そういうことに気づくたびに、子どもの発達というのは面白いものだな、と僕は思う。
(2023.05.02)
コメント