まだ見たことがないものでも果敢に食べる

我が家では、2歳になる息子のタケにはスナック菓子や甘いものを殆ど食べさせていない。ジュースすら飲ませていない。

だから、子ども向けの絵本や知育教材を彼に見せるとき、僕らはちょっと困る。「ジュース」「ケーキ」「ドーナツ」「アイスクリーム」といった、彼に馴染みがない料理がたくさん登場するからだ。

子ども向けの絵本や教材を眺めていて、内容が案外古いな、と思うことが多い。どんどん新しい絵本は世に出ているはずだが、まず子どもが読むのは「定番」とされる名作の絵本だ。そういった本は高度経済成長時代に作られたもので、発想がとても古い。絵に描かれている家具や食器類も、全部古い。子どもから「これは?」と指をさされて質問されても、なかなか答えにくいものが多い。

その点、しまじろうが登場するベネッセの通信教育講座「こどもちゃれんじ」の教材はさすがだ。父親は積極的に家事に参加しているし、男の子だから、女の子だから、お兄ちゃんだからといったバイアスを極力取り除こうとしている。

それはともかく、タケにとってみたらし団子というのは見慣れない食べ物だ。しかしどうだ、警戒心が強い性格の彼なのに、親が食べるより先にムシャムシャと団子を食べているではないか。夫婦で1本の団子をシェアしようと思っていたのに。

「あっ、タケちゃん食べちゃったの!?」

と声をかけると、エヘヘ、と笑って誤魔化した。

彼は、見慣れない料理が出てくると、「辛い?」「アッチィ?」と親に聞いて確認し、親が問題ないと言ってもそれでも疑い深い目で料理を観察する。さらには、「緑色のものは苦かったり、繊維質が多くて食べにくい」ということを体験として知っているので、食材に緑色のものが含まれていると警戒が強まる。

なのに、なんで団子を食べているんだ?しかもなんの躊躇もなく。

昨年の秋、中秋の名月で団子を作ったときは食べようとしなかった。せっかく彼のために苦労して白玉団子を作ったのに、僕はとても残念だった。正月には家でお餅を作って彼に少し食べさせたけど、ガムのように粘る食感を気味悪がって、殆ど食べようとしなかった。これもとても残念な気持ちにさせられた。

しかし、2歳になってくると、総合的に判断して眼の前の串に刺さった団子が美味しいものだ、と理解するようになったらしい。親が大事そうに買っていること、時間からして、どうやらこれがオヤツらしいこと、オヤツは美味しいに決まっているし、甘いことが多いので、自分も食べられるだろうと思ったのだろう。

元々、彼はひじきやきんぴらごぼうといった醤油を使った甘辛い味が好きだ。なので、みたらし団子は彼が大好きな味だった。一口食べて、自分の推論が正解だとわかったので、後はノンストップで食べ続けた。食べるのをやめると、親に取り上げられることがわかっているからだ。

結局彼はみたらし団子を1串全部食べてしまった。仕方がないので、僕ら夫婦は自分たち用にもう1本新しく団子を買った。

(2023.05.21)

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