弊息子タケは、以前から童謡「きらきら星」をよく歌っていた。人生で最初に歌うようになった曲だ。
最初は、彼の歌にあわせて大人が一緒に合唱すると、彼は自分のペースで歌えなくなるようで、歌うのをやめていた。しかしそれが彼の成長とともに合唱できるようになり、今では親が最初の1フレーズを歌うと、そのあとを彼が引き取って歌い続けることができるようになった。
とはいっても、まだ言葉の発音がたどたどしいので、彼の言動を間近で見慣れている親でないと「きらきら星」を歌っていることには気が付かないかもしれない。
彼は延々とこの曲を歌っていることがある。他の曲を保育園で習っていないのか?と心配になるレベルで、「きらきら星」を歌いまくる。たぶん、僕らが彼の歌を大喜びしたので、それで彼なりの成功体験を得たからだろう。
この日のタケは、特に気合が入っているようで、テレビ台の引き出しからマイクを取り出し、テレビ台の前に椅子を置き、その上できらきら星を絶叫し始めた。
両手を高く掲げて動かしたり、片足立ちになったり、酔っ払ったかのように身振り手振りをつけて歌った。その結果、椅子から転がり落ちてテレビ台に頭をぶつけ、1分ほど半泣き状態で彼の歌謡ショーは一時中断。
その後気を取り直した彼は、今度は椅子を本棚の前に移動させ、そこでまた「きらきら星」を歌い始めた。ここなら椅子がズレて自分がバランスを崩して倒れることはない、という彼なりの計算なのだろう。
本棚に置いてあったブックエンドを手に取り、また熱唱を続けていた。
こういうのは写真を撮るよりも動画撮影をしたほうが記念になる。それはわかっているんだけど、動画を撮ろうとした時に限って彼は動きが止まってしまう。猫動画を撮るのが難しいのと一緒だ。
今回も、動画を撮りたいな、どうしようかな、と僕が迷っているうちに彼のコンサートは終了となった。どうやら十分歌って満足したらしい。
(2023.06.01)
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