あらかわ遊園で子どもがもっとも熱心だったのは、電車だった

家族で、東京都荒川区にある「あらかわ遊園」に行ってきた。荒川区が運営する、珍しい公営遊園地だ。なお、「あらかわ遊園」という名前だけど、荒川沿いではなく隅田川沿いにある。

浅草花やしきほどではないものの、規模の小さな遊園地だ。そして、児童遊園の延長線のような内容になっていて、一番の人気アトラクションは園内をぐるっと一周する蒸気機関車に乗ることだと思う。

僕らは知りあいから無料の入園券を貰い、今回この一風変わった遊園地に入ることができた。その無料入園券は、荒川区の成人式で新成人の若者たちに配布されたものなのだそうだ。で、貰ったその人は「いらない」と思ったのだろう。無料入園券を母親に渡し、その母親から「タケちゃんにどうぞ」ともう一度譲渡された。それくらい、大人にとっては魅力が薄い施設ともいえる。

一方で、小さな子どもに全振りした遊園地ということで、僕ら家族のような年齢層にとっては最高の場所となる。そもそも園の敷地が狭く、さらに遊具同士が密集していない。子どもが迷子になる心配が比較的少ないというのも安心材料だ。

なにせ、園内に滑り台があって堂々と「これもアトラクションです」という面構えをしているのには驚いた。そんな、シンプルな遊園地だ。

とはいえ、2歳児の弊息子タケが遊べる遊具というのは案外少ない。絶叫系アトラクションは皆無だけど、それでも身長制限や年齢制限のために遊べないものが多かった。結局、うっかり多めに買ってしまったのりもの券(1枚100円)を余らせてしまったくらいだ。

観覧車に乗ったり、カピバラに餌をあげたりして楽しい時間を過ごしたが、そんな中で最も彼が食いついたのが、電車の乗り物だった。100円玉をコイン投入口に入れると、一定時間ゆらゆら揺れる、というものだ。

僕ら夫婦はまだ彼に「お金で一過性の娯楽を買う」という体験をさせたくないので、100円玉を入れるとこの電車が動くということは教えなかった。なので、全く電車は動くことがなかったのだけど、それでも彼は執拗に運転席をガチャガチャいじり、何かをすれば動くのではないか?と探りを入れ続けていた。

ここまで電車に執着心を見せる、ということに改めて驚かされた。

調べてみると、男児というのは動くものに反応しやすい脳の構造をしている説、「大きくて、すごいもの」に強いあこがれを持つ性分であるという説があるそうだ。そういえば僕も、幼稚園の頃に「将来の夢は?」と聞かれたら「営団地下鉄(現在の東京メトロ)の運転手!」と答えてたな。なんで地下鉄なのか、今となっては覚えていないが、たぶんあの電車が真っ暗な地下を走る!という非日常感に憧れたのだろう。

男の子が鉄道に対して強く興味を抱くのはだいたい4歳くらいまでで、それ以降は熱量が落ち着いていくという。なので、彼のこういう鉄道趣味を暖かく見守っていられるのは、今だけのことなのかもしれない。ひょっとすると、彼が鉄道マニアになっていくのを見守り続けることになるのかもしれないが。

(2023.06.17)

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