途中棄権の意味とは

公園のアスレチックに弊息子タケが熱心に取り掛かっている。

この夏、保育園では殆ど外遊びをしなかった。暑すぎるからだ。なので、日暮れ時の退園時になると、公園を恋しがる。さすがに8月頃は夕方でも暑いので、遊び盛りの2歳児であっても公園にはあまり行きたがらなかった。しかし9月に入って、また公園への情熱が復活したらしい。

彼が通っているのは園庭がない保育園で、外遊びをするためには隊列を組んで道を歩いていかないといけない。公園に園児を連れて行くとなると、担任だけでなくサポートの保育士も動員することになる。

2歳児クラスにおける保育士の配置基準は、「園児6名に対して保育士1名」と定められている。1クラス20名だとすると、最低でも4名の保育士がいないといけないし、外出するならもっと人手が必要になる。なので、必然的に「毎日、たっぷりと外遊びをする」なんて保育園生活は夢のまた夢、ということになる。

外出するといっても、子どもの体力の問題もあるし、それ以上に保育士の人材配置の問題があるのだろう。せいぜい公園に30分も滞在せず、公園で遊び始めたと思ったらすぐに帰っていく。そんな様子をチラッと見かけると、「ええー、もう帰るの?」と残念に思う。

これが3歳児クラスになると、保育士の配置基準が「園児20人に対して保育士1名」という無理ゲーになる。上司からの嫌がらせで人を減らされたのか?と心配になるレベルだが、国がそう定めているのだから仕方がない。国が決めている以上、自治体から認可保育園に支払われる保育園運営費は、「園児20人に対して保育士1名を雇っている計算」に基づいて支払われる。さすがにこれは厳しい。

園内でも、保育士1名が3歳~4歳の子ども20名を面倒見るのは大変だ。中にはオムツがまだ取れていない子もいるだろうから、一人でもそういう子がいると全体のコントロールが難しくなる。ましてや、外出だなんて相当厳しい。

もちろん、園だってそこは考えているはずで、限られた予算と人員を工面して外出する機会を設けてくれるだろう。とはいえ、そんなに毎日ホイホイと外出はできないはずで、つくづく園の運営は大変だなと思うし、外遊びができない我が子が不憫だ。

朝、園庭がある保育園の横を通り過ぎたとき、びっくりしたことがある。朝9時ころだというのに、もう子どもたちが園庭を走り回っていたからだ。登園そうそう、朝礼が始まるまでの間さっそく外遊びをしているのだろう。園庭脇のテラスには自分の水筒を置き、さんざん園庭をぐるぐると走り回って、水筒の水を飲み、また走り始めるということをやっていた。こりゃあ夜、よく寝るだろうな。

そして、まだ小さな0歳児~1歳児たちは、ベビーカーに載せられ、テラス席で先輩諸君が走り回っている様子をじっと観察していた。これもまた良い体験だ。

弊息子タケは0歳児のとき、今とは違う保育園に通っていた。その時の園長先生の方針は、「できるだけ1日2回、子どもたちを外に連れて行く」というものだった。その園も園庭がなかったけど、朝9時半から1時間ちょっと、そしてお昼寝明けの15時過ぎから1時間ちょっとの2回、近所の児童遊園に連れていっていた。今思うとすごい労力だ。小規模保育園で、1クラスの人数が少ないからこそできたことだし、認証保育園だったからできたことだと思う。

その園の園長先生はこうおっしゃっていた。「子どもたちがストレスで引っ掻いたり叩いたりするということがあったのだけど、外出を1日2回にしてからはそれが殆どなくなった。子どもたちにとって良い効果があるので、できるだけ毎日1日2回の外出は続けていきたい」と。素晴らしいなぁ。

話を戻す。

公園のアスレチックを途中まで登り、自分の実力の無さをようやく悟ったようで「降りる」といって地上まで折り返していった。途中までは登れたのだから、そのままの調子で進めばアスレチックの上まで登れるのに・・・と傍から見ていると思う。上に進めば進むほど難易度が上がるわけではないのだし。

でも、「これはやばい、引き返そう」という判断が働くということは良いことだ。彼なりの経験値が積み上がってきて、「いける」と「やばい」の境界がわかってきつつある。

単なるビビリで、尻込みするだけなら困る。でも、今の彼のように「ひとまず試してみる。ダメそうなら引き返す」というのは良い傾向だ。無理をさせず、このまま彼のやる気を維持させつつ新しい挑戦をさせていきたい。

(2023.09.14)

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