「いいこと考えた♪」

7月頃、つまり弊息子タケにとって2歳4ヶ月になってから彼は急速に喋るようになった。子どもは爆発的に言葉数が増える、ということは予め知ってはいたが、実際我が子にもその事象が発生して僕は正直驚いている。

これまでも親と子の意思疎通はある程度できていたものの、会話として成立しはじめたのは2歳を過ぎてからだ。そして、その会話が、2000年代頃に流行ったような「人工無脳」的なオウム返しな会話ではなく、ちゃんと意味ある会話をするようになったのは2歳数ヶ月になってからだろう。

具体的に何かターニングポイントがあったということはない。が、これまでの彼を観察していると、帰省したり親戚と会ったりするたびにググッと発言量が増え、ボキャブラリーが増えている。たぶん、日ごろ保育園で同級生とワチャワチャやりながら言語の素地は作られているものの、それはマグマのように溜まっているのだろう。で、大人とたくさん出会う機会があると、それを契機にマグマが吹き上がって言葉が表に出てくる。僕はそう見立てている。

そんな彼が時折口にする言葉が、「いいこと考えた♪」というものだった。それを本当に嬉しそうに言う。

夫婦揃って、「いい言葉だなあ。大人じゃなかなか思いつかないし、口にしない言葉だなあ」と感心してしまった。とてもポジティブで、僕が忘れかけていたこの世の中へのワクワク感を思い出させる、そんな素敵な言葉だと思う。

で、彼に「何を考えたの?教えて?」と聞くと、決まって彼は口をつぐんで、答えを教えてくれない。たぶん、彼はまだ具体的な答えを持っていないのだろう。誰かが言った言葉、または絵本の中で出てきた言葉を丸暗記しただけだと思われる。なので、「教えて?」と聞かれても、それに答えようがない。「考える」という概念をそもそも理解していない可能性もある。

とても素敵な言葉なので、僕ら夫婦も「いいこと考えた♪」と言うようになった。しかし、それと入れ替わるように、彼の口からこの言葉は出てこなくなった。

幼児の言葉には流行り廃りがあるようで、自分の中でバズっている言葉はしきりに喋るけど、飽きるとまったく口にしなくなる。「いいこと考えた♪」は今後も喋り続けてほしいものだけれど、もう飽きたっぽいのが残念だ。

9月に入ってからは、「あっちから来る?こっちから来る?」という言葉をしきりに使う。指示代名詞の概念がだんだん身についてきたみたいだ。こういうのは学習教材で教えることはしていないけれど、自然と身につくものなのだな。

(2023.09.16)

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