抱っこからおんぶへ

弊息子タケは、外出するとすぐに抱っこをせがんでいた。家の敷地を出た瞬間に「抱っこ!」と言って僕の行く手を塞ぐ。僕が彼を避けて通り過ぎないよう、わざわざ大股開きをして通せんぼをするくらいだ。

公園では走り回るのだから、脚力不足なのではない。「抱っこしてもらえば楽ちんだ。楽な移動手段をリクエストして何が悪い?」と本気で思っているに違いない。

そんな彼だが、最近は「母親におんぶしてもらう」という機会が増えた。朝起きて、寝ぼけまなこでリビングにやってくる時からおんぶしてもらっている。

僕が抱っこしていたときは、彼は僕以外の抱っこを認めようとしなかった。いしが抱っこしようとしても「ダメ!」といって断固拒否をする。「なんでよ、抱っこしたいのに」といしが執拗に迫っても、彼は「やめてよ!」と言っていしをドンと突き放す。

しかし、今年の秋に我々は例年行事である上高地に行く計画を立てている。昨年までと違って、今年はタケを抱っこしていくわけにはいかない。大人の足で2時間かかる徳沢まで、彼自身のちからで歩いてもらわないといけない。もちろん100%彼が徒歩なんて無理に決まっているのだけど、10%でも20%でも歩いてもらわないと、親が大変だ。

そんなわけで、僕は7月頃から事あるたびに「上高地に行くんだから、頼むから歩いてくれ」と彼を安易に抱っこしないようにしてきた。そうすると、彼は「母親のおんぶ」という安住の地を見つけたらしい。

もはや僕に抱っこをせがむことは減った。抱っこをしても、数分で「降りる」と言うようになった。僕の抱っこがつまらないから、というよりも、おそらく彼の身長が伸びてきたので抱っこは居心地が悪くなってきたのだろう。なにせ毎月1センチ身長が伸びているのだから。

彼と僕とが家で遊んでいるとき、彼が「馬になって」と言ってきた。しばらく、四つん這いになった僕の上に彼は乗って遊んでいたが、そのままの流れで僕が起き上がり、結果的に彼をおんぶする形になった。彼はそのままおんぶを受け入れている。

その様子を見たいしが叫んだ。「やめて!せっかくおんぶでタケちゃんと一緒にいられるようになったのに!お父さんまでおんぶしちゃうと、私に勝ち目ないじゃない!背中が大きいし、背が高いし!」

つまり、おんぶは自分の既得権益であり、母子のスキンシップの貴重な方法だ、と。頼むから父親がそれを侵害しないでくれ、というわけだ。はい、気をつけます。

(2023.09.16)

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