彼はまだ本当にびっくりしたことがない

野外イベントで貰ったバルーンを嬉しそうに持ち歩く、弊息子タケ。

「人の迷惑になるから、振り回したらダメだよ」と僕らは彼に伝えている。でも、子どもは棒状のものを手にするとテンションが上がるものだ。いや、大人の僕でもそうだ。棒状のものを手にすると、なんとなく嬉しい気持ちになる。

そんなわけで、彼が風船を手にする力がちょっと強かったらしい。パン!と音を立てて、風船が割れた。

眼の前で大きな音が出て、これまで持っていた風船が消えたのだから彼は相当びっくりしたはずだ。しかし、彼は表情一つ変えず、平然としている。びっくりしなかったらしい。

「びっくりする」ということは、「そこにあるべきものの姿、形」を頭の中で思い描いていて、それが実際には異なっていることによって生じる心理現象だ。ひょっとすると、まだ2歳の弊息子タケは、「あるべき姿」を明確にイメージできるほど知識と経験が蓄積されていないので、びっくりすることがないのかもしれない。

そういえば、僕が一人だけ遅い帰宅になったとき、足音を忍ばせて玄関からリビングに向かうことがある。タケをびっくりさせようと思うからだ。すると、僕を見つけたいしは「ひゃあ!」と叫んで飛び上がって驚くのに対し、タケは「あ、お父さんがいるぞ」と僕を発見次第、微笑みながら僕に駆け寄ってくる。「留守にしていていないはずのお父さんが帰宅していたことに対する驚き」を彼は感じていないらしい。

彼は最近、「びっくりしたねー」と言うようになってきた。でも、単にそういう単語を口にしているだけで、のんびりとしている。到底、びっくりしているようには見えない。

彼が本当にびっくりするようになるのはあと何ヶ月後だろうか?それは彼の成長の証でもあると同時に、固定観念ができていることの証でもある。嬉しいような、寂しいような気がするのが親である僕の心境だ。

(2023.11.11)

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