弊息子タケは、まだ正しいスプーンの持ち方が定着していない。
スプーンなんてグッと握るだけの簡単なものだと思っていた。しかし、それが間違いだということをようやく今、知った。
正しいスプーンの持ち方は、ペンや箸の持ち方と同じで、スプーンの柄の下から握るやり方だ。しかし、正しいスプーンの持ち方ができない赤ちゃんは、スプーンの柄を上からグッと握りしめる。
このやり方でも食事はできるのだけど、正しい持ち方と比べて細かい動きがしづらい。そして何よりも、これから先ペンや箸を持つようになるためにも、スプーンを正しく持つプロセスは必須となる。
何度も彼に正しいスプーンの持ち方を教えた甲斐があって、彼もスプーンを正しく持てるようになった。僕らはそれを、「おにいさんスプーン」と呼んでいる。しかし、彼にとって「おにいさんスプーン」はどうも使い心地が悪いようだ。すぐに昔ながらの、握りしめるスプーンの持ち方に逆戻りする。
「赤ちゃんなの?」と嫌味を込めて聞くと、「うん、赤ちゃんなのー」と彼は開きなおる。「おにいさんスプーンの方がカッコいいよ」と教えても、彼にとって「カッコいい」という言葉は全く響かないようで、赤ちゃんスプーンを直そうとしない。
むしろ、赤ちゃんスプーンの状態で食事をしているほうが、親があれこれ声をかけてくれるということに気がついて、積極的に赤ちゃんスプーンの持ち方になっている。親の干渉が逆効果になってしまっている。
彼はしつけ箸も使えるようになってきている。しかしこれも、ニヤニヤしながらちょっと親に見せつけるだけで、すぐに使うのをやめてしまう。しまいには、親を挑発するように、箸を使ってスプーンを持ち上げ、僕に見せびらかすくらいだ。
これまではこういう彼の態度を微笑ましく見ていたが、もう少し親の言うことをきかせる時期に来ている気がする。なので、僕の言うことを聞かず「やーだよ」などと言ったら、即座に僕は食べ物を没収するようにしている。彼はその後号泣し楽しい食卓がゴチャゴチャになってしまうのだが、そろそろ親が子に対する態度をシフトチェンジさせていかなければ、と僕は考えている。
(2023.12.18)
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