
弊息子タケが、保育園で描いてきた絵を自慢げにカバンから取り出してきた。
「ねえ、見て」
最近の彼は、しきりに「ねえ、見て」ということを言う。これはどの子どもも同じだ。
2歳までが、「一緒にやろう」を口癖だった。つまり、目線はタケ本人と親は同じ方向。そして3歳になると、「ねえ、見て」が口癖だ。つまり、「演じる私と、見るあなた」という構図ができるようになった。こういうところからも、自我の芽生えというものを感じる。
それはともかく、彼が手にした絵は、黒いクレヨンで塗りつぶされた女の子の絵だった。真っ黒すぎて、最初はこれが女の子の塗り絵だとは気が付かなかったくらいだ。
「なにこれ?」
と彼に聞くと、「悪い人!」と自信たっぷりに言う。どうやら、「黒=悪い」という固定観念が、既に3歳児には植え付けられていることがわかる。
「悪い人?女の子みたいに見えるよ」
と指摘すると、彼は即座に「間違えた!女の子!」と訂正した。
髪の毛を緑色に塗っている気配があるので、最初は女の子をちゃんと塗るつもりがあったのだろう。でも、黒いクレヨンを手に取った瞬間、この女の子を悪に染めたくなったのかもしれない。
ここから余談。
子どもが塗り絵をするとき、昔ながらのクレヨンを使っているということに今更ながら驚く。50年前に僕が使っていた頃と、何も進化していない。ひょっとすると折れにくくなった、とか巻紙が外れにくくなった、という工夫があるのかもしれないけれど、基本的に昔っからクレヨンはクレヨンだ。
なんでクレヨンを使うのかというと、子どもは筆圧が弱いからだ、と先生から聞いた。クレヨンだと、雑な持ち方をしても描けるし、弱い力でもすいすいと紙に色が乗る。これに変わる文房具は他にはないらしい。
しかし、一方でこんなアイテムもある。弊息子タケは家ではこれを使っている。
クレヨンには変わりないのだけれど、ペンのようにプラスチックのケースがついているのがこの商品の特徴。なので、途中でポキっと折れたり、手が汚れたりしない。
「ペンの芯」に相当するクレヨンをどうやって使うのかというと、この「くるりら」は口紅と同じ作りになっていて、くるくるとペンを回すと、中のクレヨンがせり出してくる仕組みになっている。これは素晴らしい。
「クレヨンで手をドロドロにしたり、チビて短くなったクレヨンを苦労して使うところに教育の価値がある」と考える人はいると思う。実際そうだとは思うが、親としてはそういうシチュエーションまでいちいち面倒を見ていられない。なので、手が汚れず、快適にお絵かきをしてもらえるこのペンは最高だ。
知らない人がいたら、ぜひおすすめする。
(2024.07.12)
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