ある食卓のスパイシーな事情

ふりかけの定番といえば、なんだ。

やはり王様はのりたまだろう。対抗馬としては、ごましお、わさび、鰹、鮭といったところ。それ以上、ふりかけに何を期待しようっていうんだ。主食であるご飯を手軽にもりもり食べようというのがふりかけの存在意義なんだし。変なバリエーションなんて、余計なお世話だ。

いやちょっと待った、「ご飯を手軽にもりもり」ならば、忘れちゃいけない今や国民食ともいえるカレーライス。これも捨てがたいぞ。

おおそうだそうだ、カレーもご飯が進むよなあ。でも、カレーの場合ルーを温めないといけないからふりかけより面倒だよな。ふりかけならお弁当に使えるけど、カレーはちょっと。

なんだ、だったら結論は見えてるよな。カレーをふりかけにしちまえばいいんじゃないか。

あっ、そうかあ。

という会話があったかどうか知らぬが、発見しましたその名もずばり「カレーふりかけ」。丸美屋製、168円。カレーのふりかけってありそうで無かった商品だったので、つい衝動買いしてしまった。

カレーふりかけ

丸美屋っていえばふりかけの大御所だよな。そこが何でこんな裏ものっぽい商品を出しているんだろう。業績が煮詰まったのだろうか。大体、このパッケージはまずいだろー、「ちびくろサンボ」の絵本が本屋から消えたのと同じで、見る人が見れば「インド人差別」って怒るぞきっと。ターバン巻いて分厚い唇。こんなインド人見たこと無いぞ。

しかも、「カレーふりかけ」というタイトルロゴの下に、何やらインド方面の文字が書かれている。・・・断言しよう、絶対にインドにゃ「カレー」の「ふりかけ」なんて無いぞ。こういった細かいところも突っ込みがいがある、なかなかスパイシーな商品といえよう。

となると、恒例の原材料チェックをせねばなるまい。どれどれ・・・

乳糖、香辛料、澱粉、小麦粉、食塩、牛肉、大豆加工品、砂糖、デキストリン、ブドウ糖、カレー粉、淡白加水分解物、野菜(人参、パセリ、じゃがいも、玉ねぎ)、醤油、食用油脂、鶏卵、エキス(チキン、ビーフ)、脱脂粉乳、コーンシラップ、抹茶

一番トップに出てきたのは乳糖。その次に香辛料。なるほど、そりゃそうだカレーのふりかけだもんな、香辛料の含有量が多くて当たり前だよな。・・・と思っていたら、11番目に「カレー粉」が出てきた。あれれっ、香辛料の集合体がカレー粉じゃないのか。しかも、このカレー粉、「牛肉」や「砂糖」よりも量が少ないらしい。鼻くそ程度にしか入っていないのだろうか。肉よりもすくないカレー粉って一体何だ。

あと、どさくさにまぎれて「抹茶」が入っているというのにはインド人びっくりだ。カレーの隠し味に醤油やソース、コーヒーというのはよく耳にする。しかし抹茶とは初耳だ。きっとこれはカレー史上に歴史を残す新発見だと思うが、誰も騒ぎ立てないところをみると大したことはないらしい。

このふりかけ、ご丁寧に「脳天直激辛」「辛口」と2種類の味を楽しめる仕組みになっている。ふりかけで「激辛」とは一体?試食結果を待て!

【おわびと訂正】
この文章を書いたのは5月上旬ですが、その後いろいろ調べてみたところスリランカに魚カレーのふりかけが存在することが発覚しました。文中では「絶対にインドにゃカレーのふりかけは無い」と断言していましたが、謹んで無知を詫びると共に前言撤回とします。

(2001.07.07)

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