氷結「白桃」試飲

先日、キリンビールの某営業部長から「ぜひおかでんさんに試飲してもらいたい新商品があるんですよ、お時間頂けませんか?」と電話がかかってきた。勤務時間中に職場にかかってきた電話なので、「まいったなあ、仕事中なのに試飲だって。酔っぱらって仕事にならないよ」とニタニタしながらその部長さんの到着を待った。

いや、真っ昼間から試飲ってことは、ソフトドリンクの新商品の試飲をして欲しいってことかもしれないぞ。

待て待て、それはキリンビバレッジ社の仕事であって、キリンビール社の範疇ではない。では、やはりアルコール類か。

「いかんなあ、仕事中なのになあ」とわざとらしいため息をつきながら、わくわくして会社の一階ロビーに出迎えに行くと、先方は何やら紙袋をぶら下げている。「これです、どうぞ今度試してみてください」と、紙袋を手渡して「じゃ、これで」と帰っていってしまった。あれれ、その場で試飲大会をやるわけじゃなかったのか。

氷結白桃

中に入っていたのは、今月末(2003年9月)に発売が予定されている、氷結「白桃」だった。まあ、この時期に「新商品の試飲」を持ちかけてくるのだから、恐らく白桃だろうなとは想像がついていたが、そのものずばりだった。

ありがたいことに、発売までまだ半月以上ある商品を、2ケース計6本も頂いてしまった。ありがとうございました、キリンビールさん。

しかし、おかでんごときに試飲用として新商品を託していいんでしょうかね。キリンビールの営業戦略というか広告戦略の地道さ、幅広さに少々ビビり気味というのが正直なところだ。酒販とは全く関係のない1ユーザー・おかでんにさえ、6本もくれるのだ。恐らく、町のいたるところにある酒屋さんに対してはもっと大幅な新商品紹介キャンペーンをやっているはずだ。

それにしても、このキリンビールの営業マンと食事をしながら「昨今の酒販業」についていろいろと話を聞く機会があったのだが、しゃべりながら「つくづく自分ってキリンビールが好きだなあ」という事を実感させられた。

「毬花一番搾り、発売当日に買って飲んだんですよ」とか「ハートランドが好きでして」からはじまって、「最近ローソン限定で売られている発泡酒のハニーブラウン、あれは意外性があって嫌いじゃないです」

なんて、自分がいかにキリンブランドと接しているか、愛飲しているかを熱っぽく語ってしまっていた。「ほら見て、僕はキリンがこんなに好きなんだよ」と一生懸命PRしているような。就職活動中の学生か、おのれは。キリンの社員と接して、ついついこのように「ネコが腹を見せるような行為」をしてしまうのだから、よっぽどキリンビールというブランド戦略は成功しているのだろう。・・・すくなくともおかでんに対して、は。

さて、頂いた「白桃」を早速試飲してみることにする。・・・試飲もなにも、缶ごと貰った以上はゴクゴク飲むことになるのだけど。発売日以降に試飲してレビューしても、一文の価値もないので、いまのうちに。

かしゅ。

缶をあけると、氷結シリーズで毎度おなじみ・缶がぺこっと形がかわる。あんまりこの手触りは好きではないので、「余計なことをせんでも」と思うのだが、激戦続くサワー業界においてはこういう差別化が重要なのかもしれない。

ぐい。

ううむ、なるほど。

手渡しされたとき、部長さんから「今度は白桃なんですけどね、これもちょっと甘いですよ」と言われていた。甘い、といえば前作「白葡萄」の時は激しく甘かった。なんじゃこりゃあ、というくらい甘くて、一体この飲み物を何と一緒に食べればいいの、と首を捻ってしまう甘さだった。

それにくらべて、この白桃、確かに甘いのだが、甘さの極北であった「白葡萄」と比べるとはるかにさっぱりとしている。うん、これはおいしいと思う。缶ごと飲むよりも、ジョッキに氷をたくさん入れて、そこに注いで飲んだ方がおいしいと思う。氷をカラカラならしながら、タンブラーでかき混ぜながら。

白葡萄にしてもそうだが、キリン氷結シリーズは全体的に果汁が上品な味わいだ。余計な甘みをつけなければ、もっと気持ちよく飲めると思うんだけどなあ・・・。

しかしこの系統の味だと、どんな料理に合わせようとしているのかさっぱりわからない。レモンなどの酸味がきいたサワーだと、そこそこの守備範囲はある。では、甘さが「どうだどうだ」と結構でしゃばっているこの白桃の場合は?

・・・ジャンクフードだったら、あうかも。フライドポテトとか。まあ、若者向け居酒屋の甘いサワーに抵抗がなければ、何でも料理にあうのかもしれない。ああ、サンドイッチにもあうだろうな。いずれにせよ、洋食でないとこれはちょっとあわない。

その点では、ワイン的感覚で「料理にあわせる」というスタイルは、サワーの世界では完全に消し飛んでいる。もう料理と飲み物が完全に浮きまくっちゃってるんだけど、おいしくのめればそれでいーじゃん、という感じで。

甘いサワーを新商品として出す背景は、そういう消費者動向があるからに違いないわけだが、一体これからお酒はどこに向かうのだろう。アミノ酸入りサワーとか、カテキン入りカクテルとか、ミネラルバランスビールなんて出てくるのは時間の問題のような気がする。

(2003.09.17)

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