
仙台市の奥座敷、秋保温泉に「主婦の店 さいち」というローカルスーパーがある。
お店の外観は地味だけど、このお店にひっきりなしにお客さんがやってくる。お店の前の駐車場には車が停めきれないので、第四だか第五くらいまで別の場所に駐車場があるくらいだ。そして車を誘導する警備員さんが店舗前の路上に立っている。大変な賑わいだ。

ここを訪れるお客さんのお目当ては、名物のおはぎ。
あまりに人気すぎて、お店に入ってすぐのところにおはぎ売場への案内看板が出ているくらいだ。「おはぎはどこだ?」と土地勘のない客が店内をウロウロするのはお店にとっても客にとっても都合が悪いからだろう。
冷蔵棚におはぎは並べられるのだが、とにかくその数が異常だ。どんどん補充されてもどんどん売れていくので、売り場面積自体がそもそも広い。この規模のスーパーならば、本来なら冷凍品を売っているコーナーの面積くらい、おはぎが売られている。
そしてそのおはぎ売場に人が群がっているのだから、もっとすごい景色だ。
おはぎは2個入り、3個入り、6個入り、10個入りなど量がいろいろある。そして味は、あんこ、きなこ、ごまの3種類。冬になると納豆味も出るとのこと。確か2個入りで280円だったと思う。
行列を作ってまでおはぎ?仙台駅から車で30分かけておはぎ?と我ながら思うが、ここのおはぎはそれだけ美味しい。おはぎの食べ比べなんてやったことはないが、ここのおはぎは確実にうまいし、人に安心しておすすめできる。
おはぎ本体のふっくら加減が素晴らしいし、まぶしてあるあんこやごま、きなこの風味もすばらしい。特に僕ら夫婦はごまが大好きだ。
お土産にしたいくらいだが、時間が経つと固くなるため、消費期限は当日限りとなっている。現地に行って、できるだけ早く食べないといけない貴重な甘味だ。
和菓子の底力を見せられた気がする。
和菓子って、見た目が繊細な練り菓子を除くと、結構消費者にナメられているんじゃないかと思う。「そこそこおいしいもの」程度の認識なのではないか、と思う。しかし、時々ギョッとするような美味しい和菓子に出会って、「いやぁ・・・これはすごい」とため息が出る。
たとえば東京でいうと、護国寺にある「群林堂」の豆大福。これも当日限りのお菓子だけど、豆の絶妙な硬さと甘さ加減は他の追随を許さない。今まで食べてきた豆大福は一体なんだったんだ?と思えてくるレベルだ。
洋菓子のような華やかさがないし、トッピング等の創意工夫がやりづらい和菓子。でも、まだまだポテンシャルがあるはずだ。
(2023.09.16)
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