誰がための遺言状

最近、遺言信託をする人が増えてきているらしい。実数としてはまだ10万件に満たない数らしいのだが、毎年2割近い増加率で普及しているという。

遺言信託とは、作成された遺言書を管理し、遺言者が死去した際には遺産の目録作成、整理、名義変更、分配などを行うというもの。第三者である信託会社が遺言に沿って厳格に執行するので、遺産を巡って血みどろの争いが始まるということはなくなるし手間も省ける。親族が多い人にとってはうってつけだ。

また、ドラマでありがちな

「実は生前、お父さんから遺言状を預かってたのよ!ここにはね、アタシが全ての遺産を相続する、って書いてあるんだから!」
「なにぃ?そんな馬鹿な話があるか、見せてみろ!おい、筆跡が違うんじゃないのかこれは?」
「いいがかりつけないでよ、確かにお父さんからもらったんだからね!アンタには見せられないわ!」

なーんていうインチキ遺言状が親族間を駆けめぐることも無くなる、というわけだ。「うちの家族は仲が悪いからなあ」と己の死後の家庭円満に不安をお持ちの方は、遺言信託をするというのは一つの選択肢としてあり得るだろう。

で、この遺言信託業務に目をつけているのが銀行だ。何しろ、どのような遺産を持っているのかを把握する事ができるわけであり、整理する際に巧みに自分のところにその遺産を預けてもらえるように誘導ができる。大口新規顧客の開拓が可能というわけだ。旅行貯金なんかで1円ずつちまちまとためている小口顧客なんかよりはるかにメリットがある。

しかし。しかしですぞ。街でこんな宣伝を発見したのであります隊長!

りそなの遺言信託

うーん。ブラックユーモアというかやぶれかぶれというか。

「りそな」の「遺言信託」と読めばいいんですか?

それとも、

「りそなの遺言」「信託」と読めばいいのですか?

おそらく後者なんだろうな、きっと、たぶん・・・?

りそなの遺言を信託されてしまった国民は、結局公的資金の注入で対応するわけね。むむむ。

(2003.06.05)

【後注】りそな銀行は2003年に事実上の国有化となり資本注入を国から受けたものの、2013年に完済し、民間企業に復帰しました。

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