利子が付かない定期預金

僕のような歳になってくると、これから先の収入というのはほぼ目処がついてくるものだ。もちろん、会社が倒産したとか、クビになったとか、体調を崩したとか、そういう「目減りする」要素はいっぱいあるけど、「増える」要素というのがほぼなく、収入の上限値というのが見えてくる。

ライフプラン表を組んでみて、自分が90歳まで生きたとしてどれだけのお金が入って、出ていくのかを計算していくと、なんともいえない気持ちになる。単なる銭ゲバなエクセルの表ではあるけれど、「イキモノ」としての自分というのをあらためて認識させられる。ああ、宝くじでも当たらない限りは、この想定値から大きく外れることはないのだな、と。自分の人生って何なんだろうなあ、と。

別に不満があるわけじゃなくても、あれこれ考えてしまう。それは、僕が42歳という人生折り返し地点にいるからこその感慨なのだろう。

で、できることといえば今あるお金の運用だ。ライフプラン表を組んで死ぬまでの現実を見てしまった以上、むしろ「一発逆転」を狙ったハイリスク・ハイリターンな投資なんてのはできない。資産防衛をしつつのローリスク・ローリターン投資が基本となる。

いろいろな分散投資をしている中で、ポートフォリオに組み込んでいるのが超短期の定期預金だ。定期預金なんてチキン野郎のやることだ、この低金利時代、預けるだけ無駄だわボケ、とは常日頃思っている。しかし元本保証を放棄するほどノーガード戦法を取るわけにはいかないので、もちろん定期預金は大事。
僕は、年単位で預ける予定のお金については、投資信託や外貨預金に回している。定期預金にしているのは、むしろ流動性をある程度確保したいお金だ。本来の定期預金の趣旨とは矛盾しているけど。

短期間で満期を迎えるにもかかわらず利回りが良い、という定期預金は世の中に存在する。

たとえば、新生銀行の「2週間満期預金」。

2016年9月1日現在、年利0.05%。ゆうちょ銀行の場合、普通預金が0.001%、1年もの定期でも0.01%なので、この金利がものすごく有利なことがわかる。ただし、50万円以上の預け入れが条件となるので、若干ハードルが高い。

2週間で満期を迎える定期預金なので、よっぽど急な出費でもない限りは大丈夫だ。最悪、中途解約して利子を無駄にしたっていい。どうせ元本割れはしないのだから。

さらなる流動性を確保したい向きには、東京スター銀行の「スターワン1週間円預金」。

スターワン

一週間で満期を迎えるという、「定期預金」と呼ぶには超短期の預金だ。こちらも年利0.05%。しかも、10万円からの預け入れとなっていて新生銀行よりハードルが低い。ただし、この定期預金は中途解約ができないルールになっている。緊急の出費がもしあるなら、指をくわえて満期までの数日、我慢しなくちゃいけない。東京スター銀行は、「毎日10万円ずつ定期を組めば、毎日満期があるので安心」という解説をwebサイトでしている。

毎日10万円、一週間で70万円の定期預金。で、毎日10万円ずつ満期がきて、年利0.05%の利回り。額は小さいけど、チャリンチャリンと小銭が入ってくる感覚は楽しそうだ。これだったら、流動性は確保できるし、物は試しでやってみることにした。

律儀に毎日10万円ずつ、7日連続で定期預金を組む。ネットですべて手続きは完了できるので、楽なものだ。やあ、70万円も普通預金にあったお金を定期預金にしてしまったぞ。やべー、何かあったらやべー、と思いながら。

で、お楽しみなのは8日目から。さあ、ここからは毎日が満期日です。チャリンチャリンのスタートです。

・・・と思ったが、何度銀行のサイトにログインしても、お金に変動がない。おかしい。金利がついた分は表示されないのだろうか?解約して、払い出しをした瞬間にジャラジャラ!とお金が出てくるのだろうか。

しばらく様子を見たけど、やっぱりどの定期預金も10万円ぴったりから動かない。これぞまさに塩漬け。なんなのこれ。

そこではたと気が付いた。あっそうか、金利が0.05%だから、10万円ごときじゃ利子がつかないのか、と。なんせ、10万円の0.05%って、年間で50円の利子のはずだ。1週間じゃ、利子がつかないんだな。

じゃあ、待っているうちに利子が付くんだろうな、今は小数点レベルで雌伏の時じゃー。・・・と無邪気に考えているときが僕にもありました。しかし、やっぱり利子が付かない。

そこでようやく、真実に気が付いた。利子って、満期を迎えた時点で端数切捨てじゃん!と。

つまり、10万円で0.05%金利の定期預金の場合、1週間満期だったら

100,000円×0.05%÷365日×7日=0.96円

となり、一週間あたり0.96円の利子がつく計算になる。しかし、1円を下回っていることから、端数切捨ての刑に処せられていたのだった。2016年現在、一般的な金融機関では小数点以下の金利は切り捨てされるのが普通。ギャー。

端数が積みあがって複利で増えていくということもなく、このまま放置していれば延々と無利子のまま10万円が塩漬けになっているところだった。なんてこったい。

このあといろいろ計算して、104,286円預ければ毎週1円の利子が付くということが判明した。それ以下だと、預け損というわけだ。

こういう計算は、「定期預金最適化シミュレーター」というサイトでできるので参考になる。

ここで数字をいじくっていれば、銀行が言う金利というのと実態が結構異なることに気づかされる。金利の端数が切り捨てられるので、額面どおりの金利が得られないからだ。上記の「104,286円」というのも、この金額ジャストで定期預金を組めば、額面どおり「0.05%」となるけど、「105,000円」の定期預金だったら当然利率が下がる。もらえる利子はどちらも1円なのだから。

あと、金額が大きくなってくると、利子に対して20%強の税金がかかるので、その最適化という話も出てくるらしい。僕には関係ないけど。課税されるギリギリの利子になるよう、預け入れ額をシビアに決めるのだという。「手元に100万円あるから、100万円バーンと定期預金一発!」としないで、たとえば「50万円の定期を2つ」みたいにするという。そういう発想は無かったので、目からうろこだ。

しかし、そこまで頑張っても、せいぜい数円レベルでしか儲けが増えないのが現実。厳しいのぅ。

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